福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 新羅神社のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
南越前町(旧今庄町):新羅神社(607)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  新羅神社は,藤倉山(別掲)の東側の山麓に位置し,標高267m の社叢の頂上部には燧ケ城跡がある.藤倉山へは新羅神社の参道より登ることができる.新羅神社の参道に通じる山道を少し登った標高200m 付近に狭い範囲でブナの林分が認められる.このブナ林は面積的には小さいものであるが,本県のブナ林の中では最も低い場所にあるものとされ,本県の森林帯の垂直分布を考察する上で貴重な森林である.ブナ林は,胸高径約80cm ,樹高約18m のブナ10 本ぐらいが林冠を形成し,林間はオオバクロモジ,ウスギヨウラクが優占し,マルバマンサク,コシアブラ,タカノツメ,コアジサイ,エゾユズリハ,イヌツゲ,ユキバタツバキ,ウラジロノキなどが生育する.林床はツルアリドオシ,カンアオイ類,オクノカンスゲ,イヌツゲ,ムシカリ,アクシバ,チゴユリ,ツルシキミなどが生育する.ブナ林の上部域には本県には少ないアカシデ林がある.林冠はアカシデが優占し,アオハダ,ウワミズザクラなどが混生する.林間はエゾユズリハが優占し,ウワミズザクラ,タンナサワフタギ,ヤマモミジ,アズキナシ,ヤマボウシ,オオバクロモジ,ヒサカキ,コアジサイ,タカノツメ,コシアブラ,ウスギヨウラクなどの多くの植物が生育する.林床はチゴユリが優占し,ノギラン,オオバクロモジ,ショウジョウバカマ,ツルアリドオシ,ツルシキミ,イヌツゲなどが生育する.このアカシデ林には,下部のブナ林との共通種が多く生育するところから,ブナ林伐採後に成立した二次林であろうと思われる.現存植生から,この周辺はかつては標高200m 辺りからブナ林で被われていたものと思われるが,今日では植林が進み,伐採後放置されたところはコナラ,ミズナラの二次林となっている.
保護の現状
 と留意点
 旧北陸道の真上にあり,社叢であるため今日までブナが伐採されずに残されてきた.山頂部までの遊歩道が設けられ,ハイキングコ−スとして町民に親しまれている.林冠を構成するブナは保護されているが,林間は伐採されているところもある.貴重な森林であることから,今後とも保全策を講じることが必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)