福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 東荒井の春日神社のタブノキ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
坂井町:東荒井(582)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  本神社は,芦原街道から100m ほど入ったところの,坂井郡坂井町東荒井の地籍にある.この神社には,漆で黒く輝いていることから通称「黒仏様」と言われている阿弥陀如来像がある.この像は手法,表現等から鎌倉期のものと考えられており,昭和48 年に福井県指定有形文化財に指定されている.この神社に隣接して平成5 年に,公園(面積約5ha )が造成されている.坂井平野には,かつてこの辺り一帯が照葉樹林に覆われていたことを物語る形跡が,社叢林としてあちこちに残っており,その一つが本神社にも見られる.本神社の社叢は,敷地面積1ha におよび,タブノキ林とスギ林からなっている.この林は近郷の人々によって鎮守の森として代々守られてきたものである.坂井平野に残るタブノキ林の中でも本林分は規模の大きなもので(約0.5ha),良く保存されている.この社叢林の林冠を形成するのはタブノキ,モチノキ,ケヤキ,ムクノキで,林間にはヤブツバキが目立つ.林冠を構成するタブノキは,5 本程度で本数は多くはないが,中に胸高直径約1m ,樹高20m 以上におよぶ大きなものも生育している.林床には,暖地性植物であるカラタチバナが多く生育し,また,オモトが生育しているのも特徴的である.本地域のカラタチバナ,オモトは日本海沿岸域における北限域に近く,植物地理学的に重要な植物である.また,この境内にはオオウバユリが目立って生育しているのも興味深いことである.本神社のタブノキ林は,組成的にはイノデ−タブノキ群集の下位単位であるカラタチバナ変群集に属すると考えられる.
保護の現状
 と留意点
 社叢林として保護されてきたために良好な状態で残っている.しかし,隣に公園が造成されるなど周辺環境は改変されつつあり,本林分への影響が懸念される.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)