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名 称 |
大滝神社のブナ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
今立町:大滝 大滝神社(522) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
今立町大滝集落にある大滝神社奥の院(300m )付近に,小面積(約1ha )ながらブナ林が残されている.福井県のブナ林の多くは標高600m 以上に分布することから,これほど標高が低いところにブナ林が残されているのは,長期間,社叢林として伐採を免れてきたためと考えられる.大滝神社の拝殿の横から奥の院へ向かう参道を登ると,途中シラカシ林やアベマキ林を通り,標高280m からブナ林に入る.県内でのブナの分布は単木としては標高100m 付近まで下降しているが,ブナ林としては,本林分は今庄町新羅神社社叢林(別掲)と共に下限近くのものである.新羅神社社叢のブナ林は10本程度であるが,本林分は約300 本からなり,胸高直径1m を越す大木も数多く見られる.奥の院の裏から尾根にかけてのブナ林には,植栽されたと思われるスギが混生している.組成は高木にブナやスギ,亜高木にブナやコシアブラ,低木にヒサカキやエゾユズリハ,草本にエゾユズリハやツルアリドオシが優占している.また,奥の院の手前,参道右手の南西斜面のブナ林は,林床にヒノキが植裁されている.植裁時に低木層や亜高木層の伐採が行われたようで,林床は日当たりがよく,低木にヤマウルシやリョウブが多く見られる.ヒノキは樹高3m に成長しているが,現在は放置されている.林床は乾燥ぎみで,ブナの芽生えや低木が極端に少ない.芽生えが少ないのは,奥の院の裏のブナ林も同様であり,今後,自然更新していくかどうかが心配される. | ||
保護の現状 と留意点 |
大滝神社奥の院社叢として,昭和61 年に県指定の天然記念物に指定され,保護されている.しかし,標高の低いところにあり,高温が影響するのか,ブナの低木や芽生えが少ないのが気になる.また,健全な種子の割合も少ない.今後,このブナ林が維持されていくか懸念される.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |