福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 沢の春日神社のスダジイ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
あわら市(旧金津町):沢 春日神社(502)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  春日神社は,金津町の中心街から北東へ5kmほど離れた,牛ノ谷峠に通じる県道153 号線沿いの山麓にある.社殿は,急な石段を登ったところの山麓高台にある.参道入口の東側には一本のスギの老巨木(町指定天然記念物)がある.この木は,主幹の幹周り3.9m ,樹高15m あり,一つの枝が特に長大に生長し,参道の上を横断して大きなア−チを形成している.そのため参詣者はこのア−チをくぐって本殿に向かうようになっている.社殿を取り囲むようにして,面積約1ha の良く保存されたスダジイ林が広がっている.坂井平野の所々の神社には常緑広葉樹林が残されているが,そのなかでも特にこの社叢林は規模の大きなものである.この社叢林の植相は,スダジイ,モチノキ,サカキ,ヒサカキ,ヤブコウジ,シラカシなどの暖地性要素の植物が多い.特に嶺北の照葉樹林には少ないサカキが本林分に多数生育することは興味深い.また,胸高直径25cm ,樹高8m ほどにもなる大きなネジキが生育しているのが注目される.スダジイが優占する社叢林は,胸高直径約90cm ,樹高16m 以上におよぶスダジイの大木が何本も林立し,重厚な景観を呈している.林冠を形成する高木層には,優占するスダジイの他に,モチノキ,ソヨゴなどが僅かに混生し,林間の亜高木層,低木層ではモチノキ,シラカシ,サカキ,ヒサカキ,ヤブツバキ,ヒメアオキなどの常緑広葉樹の他,ウリカエデ,コシアブラ,ヤマウルシなどが見られる.林床にはヤブコウジ,ツルシキミ,ツルアリドオシ,シシガシラ,ベニシダなどの常緑植物が多い.これらの構成種は,日本海沿岸域を新潟県まで北上するスダジイ,モチノキ,ヤブコウジなどを標徴種とするヤブコウジ−スダジイ群集の組成を示している.
保護の現状
 と留意点
 神社周辺部では伐採,スギ植林が進められており,この社叢林だけが残されている状態である.植林が社叢林にまで及ばないか懸念される.今後とも郷土の景観を代表する社叢林として,保護の手だてを講じることが必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)