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名 称 |
平泉寺の社叢林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
勝山市:平泉寺町平泉寺(206) | ||
選定理由 |
代償植生であっても郷土景観を代表する植物群落、学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
平泉寺は勝山市南東部に位置する神社で,コケが美しいことでよく知られている.およそ1300 年前に泰澄大師によって開かれ,中世にはよく栄えて6 千坊があったが,天正2 年(1574 年)に一向一揆のために全山焼失したと伝えられている.越前勝山城から社殿に向かう約800m の参道沿いには,「菩提林」と呼ばれるスギ林がある.大きいもので樹高約25m ,胸高直径1m にもおよぶスギが並木状となり,入口近くでは胸高直径156cm にも達する巨木も見られる.かつて植林されたものと思われるが,最近切られた直径1m あまりの切株で200 以上の年輪が数えられたことから,相当の年数を経過した林であることが伺い知れる.このスギは多雪に適応したアシウスギとよばれるスギで,下枝が大きく垂れ下がり地表に接するばかりになっている.林間には,ツクバネ,ネジキ,ナツツバキ,アオハダ,ウラジロノキ,ヒメアオキ,ヤマウルシ,コシアブラ,ヒサカキなどが生育し,中でも半寄生植物のツクバネが多いことや胸高直径36cm もあるナツツバキが目を引く.この林の特筆すべき点として,標高180m 付近からブナが出現することがあげられる.若木が多いが,中には胸高直径50cm を越すものも9 本見られる.また,200 uほどの小林分ではあるが,ブナが優占する二次林も形成されている.本地域は,県内では下限のブナ生育地の一つであり,奧越の低山帯の潜在植生を知る上でも大変貴重といえる.また,神社本殿の後背部にも見事なスギ林が形成され,ここは近年あまり人手が入っていないためにアオハダ,オオバクロモジ,ヒメアオキ,エゾユズリハなどのブナ林の構成種が多く生育している.また,境内の湿潤な環境下ではホソバオキナゴケ,ヒノキゴケ,スギゴケ類などのコケ植物が多く生育している. | ||
保護の現状 と留意点 |
一帯が白山国立公園第三種特別地域に指定され,境内にある玄成院庭園は国の史跡に指定されている.境内には多くの坊跡や石畳道などが発掘されているが,今後とも自然環境の保護を加味した史跡開発が望まれる
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |