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●種の特性
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国蝶に指定されている著名な大型タテハチョウで,翅表は濃紫色と黒色地に白紋を散りばめる.やや似ているゴマダラチョウは少し小型で紫色ではない.コムラサキは紫色が弱く,翅の外縁に凹凸があるので区別に容易である.
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●生息状況
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エノキを幼虫の食草とし,成虫は低山地から産地に見られ,北海道から九州まで広く分布する.福井県でも広く分布し,成虫は6 月下旬から7 月下旬に出現し,渓谷を緩やかに滑空し,樹液,果実に飛来する.母チョウはエノキに多数産卵し,幼虫で越冬し,翌年に成虫となる.福井市八幡山や大野市南六呂師など学生や市民観察地でも食樹のエノキを目当てに見ることができる.
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●存続を脅かす要因
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食草のエノキはどこにでもあるが,人為的開発の環境に対する適応度はゴマダラチョウに比べると低く,自然度の指標生物としての有効性が高いと考えられる.地形,植生,人為的開発度などを考慮した総合的な保護施策が必要である.
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●参考文献
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福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会編.1998 .福井県昆虫目録(第2 版).556pp .福井県.
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