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●種の特性
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本種は,1984 年に日本産の新しいハゼとして記録され,分類や生態面でまだ不明な点がある.イサザアミやイトミミズなどの小動物を好んで食べ,飼育下では産卵期になると雄が盛んに巣穴を掘ることから,ジュズカケハゼに似ていると推測されている.汽水域に生息するが,近縁種のビリンゴに比べれば塩分変化に対する適応性は低いと考えられている.形態はビリンゴやジュズカケハゼによく似ているが,頭部の感覚管開孔の数や位置で区別できる.
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●生息状況
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島根県の宍道湖で初めて確認されたが,近年では富山,石川,福井でも確認されている.
本県では北潟湖での生息が確認されている.
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●存続を脅かす要因
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今後調査が進めばさらに分布域は広がる可能性はあるが,現在のところ確認されている唯一の生息地である北潟湖は,生活排水の流入や農薬散布により環境の悪化が深刻である.また,ブルーギルやオオクチバスなどの放流による食害も懸念される.
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●参考文献
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福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
越川敏樹.1989 .シンジコハゼ.日本の淡水魚.川那部浩哉・水野信彦編・監修:614- 615 .山と渓谷社,東京. 中坊徹次編.2000 .日本産魚類検索.1748pp .東海大学出版会,東京.
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