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●種の特性
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サクラマス(降海型)は,稚魚が川で1 年(稀に2 年)の生活後,春(本県では3 〜5 月)に降海する.さらに海で1 年の生活後の春(2 〜5 月)に遡河し,上流域で秋(9 〜10 月)に成熟,産卵する.海では小魚や浮遊動物を餌として,体長約50cm に成長する.
ヤマメ(河川残留型)は,水の澄んだ上流域にすみ(水温20 ℃以下),イワナ域の下手に分布し,すみ分ける. 主に水生・陸生の昆虫を餌として,1 年で体長約11cm ,2 年で12 〜21cm に成長し,成熟する(雄の一部は1 年で成熟).産卵期は本県で10 〜11 月,瀬頭の砂れき底にくぼみを作り産卵する.
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●生息状況
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降海型は北海道,本州(太平洋側では神奈川県以北・日本海側では熊本県以北),朝鮮,シベリア,沿海州になどに分布する.本県では九頭竜川水系,北川,三方湖,北潟湖などでごく僅かに確認される程度である.
河川残留型は,降海型の生息する全区域の他,本州(太平洋側は酒匂川以北,日本海側はほぼ全域),九州(瀬戸内海流入河川を除く),台湾(大甲渓)などに分布し,本県では九頭竜川水系,笙の川,耳川,北川,南川などに僅かに生息する.
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●存続を脅かす要因
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ダムや砂防堰堤の敷設・護岸工事,森林の伐採と道路敷設,水質汚濁,アマゴの放流などで,ヤマメの生息環境が著しく悪化し,生息数が極度に減少したものと思われる.
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●参考文献
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福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
加藤文男.1989 .福井県河川に生息するヤマメの生活史.福井市自然史博物館研究報告(36):87- 106 . 加藤文男.1990 .福井県の水域に見られるサクラマスの生活史に関する2 ,3 の知見.金沢大学日本海域研究所報告(22):153- 172 . 宮地伝三郎・川那部浩哉・水野信彦.1976 .原色日本淡水魚類検索図鑑.462pp .保育社,大阪. 中村守純.1984 .原色淡水魚類検索図鑑.262pp .北陸館,東京.
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