-
●種の特性
-
水の澄んだ河川の上流域(水温約15 ℃以下)に生息し,生涯を淡水中で過ごす.本県では降海型はみられない.瀬や淵,岸の岩陰に潜み,主に水生・陸生の昆虫を食う.産卵期は11 月上・中旬で,川幅2 〜3m 以下の枝谷に集まり,砂れき底にくぼみを作って産卵する(水温,9 〜11 ℃).稚魚は5 月上旬頃ふ上し,1 年で体長約8cm ,2 〜3 年で13 〜20cm に成長し,成熟する.
-
●生息状況
-
本州,北海道に分布するが,降海型は太平洋側で北上川以北,日本海側で新潟県以北に分布する.
本県では,九頭竜川水系,笙の川,北川水系の各上流域に分布し,南川は移入によるものである.いずれの水域でも生息数が激減し,一部の水域で放流が行われている.
-
●存続を脅かす要因
-
ダム,砂防堰堤,護岸工事,森林の伐採と道路敷設,水質汚濁などで本種の生息環境が悪化し,釣り人の乱獲も加わり生息数が極度に減少したものと思われる.
-
●参考文献
-
福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
宮地伝三郎・川那部浩哉・水野信彦.1976 .原色日本淡水魚類検索図鑑.462pp .保育社,大阪. 加藤文男.1992 .九頭竜川水系のイワナの形態と生態・金沢大学日本海域研究所報告(24):35- 48 . 加藤文男.1993 .九頭竜川水系のイワナの初期生活史・金沢大学日本海域研究所報告(25):71- 82 .
|