福井県みどりのデータバンク 動物目録(淡水魚類)

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福井県産淡水魚類リスト

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番号 分類(科) 和名 番号 分類(科) 和名 番号 分類(科) 和名
1 スナヤツメ科 スナヤツメ 34 コイ科 ゲンゴロウブナ 66 ハゼ科 ヒメハゼ
2 カワヤツメ 35 ヤリタナゴ 67 アベハゼ
3 ウナギ科 ウナギ 36 アブラボテ 68 ゴクラクハゼ
4 ニシン科 コノシロ 37 イチモンジタナゴ 69 シマヨシノボリ
5 サケ科 イワナ 38 アカヒレタビラ 70 クロヨシノボリ
6 サケ 39 カネヒラ 71 ルリヨシノボリ
7 サクラマス(ヤマメ) 40 タイリクバラタナゴ 72 オオヨシノボリ
8 サツキマス(アマゴ) 41 ドジョウ科 ドジョウ 73 トウヨシノボリ
9 ニジマス 42 スジシマドジョウ 74 カワヨシノボリ
10 アユ科 アユ 43 シマドジョウ 75 チチブ
11 キュウリウオ科 ワカサギ 44 アジメドジョウ 76 ヌマチチブ
12 シラウオ科 シラウオ 45 ホトケドジョウ 77 シモフリシマハゼ
13 コイ科 ウグイ 98 ナガレホトケドジョウ 78 ウロハゼ
14 アブラハヤ 46 ナマズ科 ナマズ 79 ビリンゴ
15 タカハヤ 47 ギギ科 ギギ 80 シンジコハゼ(仮称)
16 オイカワ 48 アカザ科 アカザ 81 ジュズカケハゼ
17 カワムツB型 49 メダカ科 メダカ 82 ウキゴリ
18 ハス 50 サヨリ科 サヨリ 83 スミウキゴリ
19 ビワヒガイ 51 クルメサヨリ 84 シマウキゴリ
20 ムギツク 52 トゲウオ科 河川型イトヨ 85 マハゼ
21 カマツカ 53 降海型イトヨ 86 アシシロハゼ
22 ゼゼラ 54 トミヨ 87 ミミズハゼ
23 タモロコ 55 ボラ科 ボラ 88 シロウオ
24 ホンモロコ 56 メナダ 89 フグ科 クサフグ
25 スゴモロコ 57 セスジボラ 90 ヒガンフグ
26 イトモロコ 58 タイワンドジョウ科 カムルチー 91 コチ科 コチ
27 モツゴ 59 スズキ科 スズキ 92 クロソイ科 クロソイ
28 ニゴイ 60 ヒイラギ科 ヒイラギ 93 カジカ科 河川型カジカ
29 ワタカ 61 シマイサキ科 シマイサキ 94 回遊型カジカ
30 ソウギョ 62 タイ科 クロダイ 95 カマキリ
31 コイ 63 サンフィッシュ科 オオクチバス(ブラックバス) 96 カレイ科 ヌマガレイ
32 ギンブナ 64 ブルーギル 97 イシガレイ
33 ナガブナ 65ハゼ科 ドンコ      


1. 淡水魚類調査の概要
 淡水魚は生活型から3区分され、(1)純淡水魚…全生活史を淡水域で過ごす(フナ、コイ、ナマズなどイワナ、ヤマメなどの陸封魚も含む)、(2)通し回遊魚…生涯の中で必ず海と淡水域を往復する(サケ、マスなど)、(3)周縁魚(周縁性淡水魚)…元来は海水魚であるが、偶然汽水域または淡水域にまで侵入する(スズキ、ギラなどの沿海魚と汽水域を主な生息状況とするマハゼ、シラウオの汽水魚が含まれる)。

 調査では上記(1)〜(3)の3群を対象とし、円口類も魚類に含めて扱った。第2回のみどりのデーターバンク調査は、基本的には1993年に嶺南を、1994年には嶺北西部、1995年には嶺北東部を対象とし、1996年に県内全域を補足調査が行われた。しかし短期間の調査なのでできるだけ多くの資料を得るため、1990〜1992年に採取された魚も加えた。したがって今回の調査の資料は1990〜1996年の7年間によるものである。ちなみに前回(第1回)の調査結果は1964〜1985年の資料によるものである。
 種の同定には中村(1984)、宮地ら(1976)、川那部、水野編監修(1989)、中坊編(1993)などによる魚類検索図鑑を使用した。調査対象魚種と学名はほぼ環境庁(1993)に従ったが、一部調査者の見解によるものも用いている。

2. 淡水魚類相の概要
 第2回調査では全部で24科68種が確認され、前回に比べ4科28種増加した。これは調査を重ね、(1)河川下流域(とくに汽水域)へ侵入する魚種が増えたこと、(2)移入魚の種数が増えたこと、(3)前回1種であった魚種が分類され、種数に増えたことなどによる。この結果、前後2回の調査で判明した魚種は28科97種*(厳密には96種1亜種)で本県の淡水魚相の全貌はほぼこれで明らかになったと考えられる。 
 今回の調査で新たに確認された魚種は38種(うち移入魚は7種)であった。それらはサツキマス、コイ科の8種(ビワヒガイ 、ゼゼラ 、ホンモロコ 、スジモロコ など)、スジシマドジョウ、セスジボラ、ヒイラギ、オオクチバス とブルーギル 、ハゼ科の15種(ヒメハゼ、アベハゼ、ヨシノボリ類5種、カワヨシノボリ、シンジコハゼ、ウキゴリ類の3種など)、ヒガンフグ、クロソイである。

 福井、石川、富山の北陸3県の淡水魚類を在来魚数で比べると、福井県が80種、石川県が67種(石川県、1996)、富山県が67種(田中ら、1993)で福井県が13種多い。そのうち海を通じて移動できる周縁魚と回遊魚の両者を除き、純淡水魚のみで比べると、福井県が34種、石川県が25種、富山県が28種で、やはり本県が北陸3県県の中で最多である。淡水魚類は西日本に多く、東北地方には少ないといわれる。福井県は両地域の間で、北陸3県の南端に位置し、西南日本の魚類相上最も関連が深いことによると思われる。
 魚種別にみると、現在本県が南限になっている魚種に、陸封型イトヨとトミヨ、シマウキゴリがある。アブラハヤ(鈴木ら、1995)とアカヒレタビラ(長田ら、1981)も、本県の西の山陰地方では、極端に分布が狭く、生息数も少なくなるので、本県が南限に近い水域とみてよいであろう。
 一方、本県が日本海側の東限になっている魚種にムギツクとアブラボテがある。両種はともに嶺南にのみ分布し、嶺北には分布していない。スジシマドジョウは近畿以西の本州にと四国に分布するといわれ、本県が東限と思われるが、なお本種の分類学的検討が必要である。
ハスとイチモンジタナゴも嶺南にのみ分布するが、両種は日本海側における唯一の自然分布域で、琵琶湖魚類相と関連が考えられ、生物地理学的に興味深い。カワヨシノボリは北陸3県に分布し、本県では佐分利川にのみ生息する。そこに隣接する由良川にも分布するので、河川争奪による本県への侵入が考えられる。アジメドジョウも北陸3県に分布し、本県では九頭竜川、河野川、笙の川の3河川のみ生息する。京都府の由良川にも生息するので、本県の耳川以西関屋川まではアジメドジョウの分布空白地となっている。
 さらに本県の県境付近の分水嶺を境に、日本海側はサクラマスとヤマメ、太平洋側の琵琶湖・淀川水系と長良川水系はサツキマスとアマゴが分布し、生物地理学的上の分布境界線になっている。泉(1985)によれば、メダカを北日本集団と南日本集団に分け、その境界が岩手県北部から脊梁山脈を通り福井県に至るとしている。

 福井県の淡水魚類相を生物地理学的にみると、九頭竜川水系、北潟湖など嶺北地方は石川県や富山県のそれに類似している。しかし、北川、南川、三方五湖などの嶺南地方では、山陰または琵琶湖・淀川水系の要素をいくらか有し、嶺北の淡水魚類相と少し異なっている。このような差異は本県の淡水魚相の成立と深く関わっていると考えられる。

(* 本ページでは、その後、新たに確認されたナガレホトケドジョウを加え、98種を記載している。)

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出典:「福井県の陸水生物」(1998年3月 福井県県民生活部自然保護課)
出典:「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課)