第2章 自然と共に生きることができる環境の推進
 
第1節 生物の多様性の確保
 
(1) 野生動植物の生息、生育状況調査
 自然界の多様な野生生物は、それぞれが有機物の生産、消費、分解等の役割を担いながら、互いに網の目のような関係を結んで、生態系の循環システムを形作っており、生物の多様性は自然環境の豊かさの指標 ともなっている。しかし、近年では、開発や乱獲、環境汚染など様々な人間活動により、生物の多様性が急激に減少している。
 ア 自然環境保全基礎調査
 県では、環境庁の委託を受けて、昭和48年度以降、自然環境保全基礎調査を継続して実施しているが、平成6年度からは生物多様性保全のための基礎資料とするため、野生動植物の分布概況および「特に生存基盤 が脆弱で、減少傾向にある種」についての詳細な分布と生育状況の調査を行っている。
 イ 自然環境管理計画
 県では、昭和60年度に、貴重な動植物、特異な地形地質、優れた景観等の分布状況等を取りまとめた「みどりのデ−タバンク」を作成し、自然保護行政や環境アセスメントの基礎資料として活用してきた。しかし ながら、作成後、10年余が経過していること、身近な自然環境の保全、生物多様性、種の絶滅、保存といった新たな課題に対応する必要があることなどから、平成4年度から10年度の予定で、新たに「自然環境管理計画」 の策定を進めている。
 自然環境管理計画では、みどりのデ−タバンクのデ−タの更新を行うとともに、本県の自然環境の特性、保護、保全すべき動植物・地形など、保全上配慮すべき事項等を取りまとめることとしている。
 ウ 大型野生動物生息動態調査
 ツキノワグマは、その生息密度、繁殖率が低いことから、生息環境の減少・悪化や狩猟、有害駆除等の捕獲による生息個体数への影響を受けやすく、四国と九州の全域および本州の一部の個体群は絶滅の危機に直面 している。
 このため、平成5年度から8年度まで、ツキノワグマを対象とした大型野生動物生息動態調査を実施した。調査結果では、 本県のツキノワグマの生息個体数は
600± 200頭、 その個体数の変化は、嶺北地方では横ばいの傾向にあること、嶺南地方では減少傾向にあり、独立個体群を維持するレベルを下回っている可能性があることなどが明らかになっている。
 
(2) ビオト−プのネットワ−クの形成
 ビオト−プとは、多種類の動物・植物が一つの生態系を構成し、共同体として生息・生育できる、あるまとまりをもった環境を意味している。生物の多様性を高めていくためには、こうした「ビオトープ」のネット ワークの形成を図ることが重要であり、今後、技術的手法に関する調査・研究を行うとともに、生き物の生息・生育環境に配慮した河川・緑地の整備、昆虫類の食樹・食草、鳥類が好む実のなる木の植栽などを進めていく。
 
(3) 絶滅のおそれのある動植物の生息、生育環境の整備
 ア 希少野生動植物種保護増殖事業(ヤシャゲンゴロウ)
 ヤシャゲンゴロウは、本県の今庄町の夜叉ケ池にのみ生息し、絶滅のおそれが高いことから、平成8年1月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定された。 その生態等については未知の部分が多く、生息状況、生息環境等に関する基礎資料の収集が不可欠であることから、平成8・9年度において、本種の生態や生息環境に関する調査研究を行った。
 その結果、気象条件、地形条件、食物連鎖の関係から、ヤシャゲンゴロウは夜叉ケ池の環境条件によく適応していることが確認された。また、生息地が小さな閉鎖環境であり、個体数に限りがあると考えられている。 なお、報告を取りまとめるに当たり、ヤシャゲンゴロウの保護に関する提言を行っている。
 イ 希少野生生物種保存事業(イヌワシ)
 国内希少野生動植物種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)、天然記念物(文化財保護法)に指定されている希少猛禽類であるイヌワシについては、本県においても生息環境の悪化が指摘されて おり、平成2年度から6年度まで生息状況の調査を行った。
 その結果、当初の推定個体数より少ない12〜20羽の生息しか確認されず、生息および繁殖状況から、今後もさらに個体数が減少していく可能性が高く、継続的な調査検討が必要であることが確認された。
 このため、平成8年度から、生息地ごとに、繁殖状況、繁殖失敗原因の推定、繁殖成功に必要な餌動物量の推定などについての詳細な調査を行い、保護対策の検討を進めている。
 
(4) 狩猟、有害鳥獣駆除の現況
 ア 鳥獣保護区、休猟区等の設定
 野生鳥獣の保護と狩猟の適正化を図るため、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に定める「鳥獣保護事業計画」(現在は第8次計画)に基づき、毎年度、鳥獣保護区、鳥獣保護区特別保護地区、休猟区、銃猟禁止区域を 設定している。(表2−6−2)
 イ 狩猟
 狩猟をするためには、知事の行う狩猟免許試験に合格し、狩猟免許を取得した後、狩猟をしようとする場所を管轄する知事に狩猟者登録をすることが必要である。
 平成9年度の狩猟免許交付状況、狩猟者登録証交付状況および狩猟者による鳥獣捕獲数は表3−2−1〜表3−2−3のとおりである。
 
 表3−2−1 狩猟免許交付状況




 
     免許区分   交付数
 甲種(網、わな)
 乙種(散弾銃、ライフル銃)
 丙種(空気銃、ガス銃)
    173
    829
    123
       計   1,125




 
 
 表3−2−2 狩猟者登録証交付状況




 
 登録区分  県内者  県外者  計
  甲種
  乙種
  丙種
  144
  751
   81
   44
  859
    3
   158
 1,610
    84
   計   946   906  1,852




 
 
 表3−2−3 狩猟者による鳥獣捕獲数













 
  鳥類名   捕獲数   獣類名    捕獲数
 カモ類
 スズメ類
 キジ
 ヤマドリ
 カラス類
 キジバト
 ヒヨドリ
 ムクドリ
 シギ類
 コジュケイ
 ゴイサギ
 バン
  7,660
  2,809
  2,091
    713
    982
    585
    481
     78
    115
      8
      1
      1
 イノシシ
 オスジカ
 ノウサギ
 タヌキ
 クマ
 キツネ
 テン
 アナグマ



 
   952
   124
    60
    15
    50
    11
    11
     1



 
  計  15,524   計  1,224













 
 
 狩猟者により捕獲される鳥獣のうちでは、特に、イノシシが近年著しく増加している。
 鳥獣の違法捕獲等の法令違反の取締りについては、関係機関と連携し、違反・事故の根絶に努めており、特に、カスミ網による密猟については、ヘリコプタ−による空からの監視を行っている。
 また、狩猟鳥の保護増殖のため、人工飼育されたキジを鳥獣保護区および休猟区に標識を付けて放鳥するとともに、放鳥効果測定のための生息状況等の追跡調査を行っている。
 ウ 有害鳥獣の駆除
 鳥獣による農林水産業、生活環境への被害を防止するため、被害者等の申請により、有害鳥獣駆除許可証を交付し、適切な駆除に努めている。(ただし、クマについては、人または家畜に危害を及ぼすおそれのある 場合に限る。)
 従来、この許可については知事の権限となっていたが、できるだけ速やかに駆除が行えるよう、平成9年4月からは市町村長に権限が委譲されている。
 
 表3−2−4 有害鳥獣捕獲許可による鳥獣捕獲数





 
  鳥類名   捕獲数   獣類名   捕獲数
 カモ類
 カラス類
 ドバト
 その他
    95
 2,027
   137
    81
 クマ
 イノシシ
 サル
 オスジカ
   27
  117
  211
   22
  計  2,340   計   377





 
 
 
第2節 多様な自然環境の保全と回復
 
1 貴重な自然の保全
(1) 自然環境保全条例に基づく保全
 自然環境保全地域、自然公園、保安林、都市公園、市街化区域、用途地域および風致地区等の区域以外における一定規模以上の開発行為は、「福井県自然環境保全条例」に基づき、事前に届け出ることが義務付けられ ている。届出を要する行為は、宅地の造成、ゴルフ場、スキー場、遊園地またはキャンプ場の建設、水面の埋立てまたは干拓および土地の開墾その他土地の形質の変更で、一団地の土地の総面積が1ha以上のものである。
 これらの行為に対し、県は、自然環境の保全のために必要があると認めるときは、助言または勧告をすることができる。
 平成4年度から9年度までの5年間の届出(国・地方公共団体の通知を含む。)状況は表3−2−5のとおりである。
 
 表3−2−5 その他の地域における届出状況







 

年度
 
 宅地造成
 
ゴルフ場
建設
 事務所等
 用地造成
 土石採取
 
 その他
 

 
面積ha 面積ha 面積ha 面積ha 面積ha 面積ha
10  35.6 0   0.0 4  10.0 5  15.5 4  111.0 23 172.1
4   5.9 0   0.0 2   2.0 2  37.7 7  33.5 15  79.1
4  45.3 0   0.0 3  14.7 4  34.8 1   9.3 12 104.1
4   7.3 0   0.0 4  17.8 4  35.9 2   8.6 14  69.6
3   7.1 0   0.0 3   5.1 2  15.6 1  39.9 9  67.7







 
 
(2) 自然公園区域の拡大、自然環境保全地域の指定
 自然的条件やそれを取り巻く社会的条件により自然公園の景観が変化したときは、適切に公園区域を見直している。直近では、越前加賀国定公園が平成5年度に、若狭湾国定公園が平成2年度に、奥越高原県立自然公園 が平成元年度にそれぞれ見直しを行っている。その際には、既に市街化が進んでいる地域については、公園区域から除外するとともに、現公園区域に隣接して比較的良好な自然環境が残されている地域は、自然公園区域に含めて、 自然公園の質的向上に努める。
 また、近年の都市化の進展、産業活動、観光開発等により改変されつつある優れた自然を後世に残すため、法的保護手段が講じられていない地域を自然環境保全地域に指定し、保全するよう努めていく。
 
(3) 自然環境保全のための土地の買上げ等
 県では、大野市上打波の刈込池周辺(白山国立公園の第一種特別地域内) 268.3haを買上げ、優れたブナ林を保全するとともに、解説板等を設置し、自然とのふれあいや自然学習の場としての活用を図っている。
 こうした取組みは、近年では県下の市町村でも徐々に行われつつあり、大野市が平家平の優れた自然環境を保全するため、 196haを買い上げている。
 また、池河内湿原は、県内でも傑出した貴重な自然環境を有しており、県では、この貴重な湿原を保全するため、管理用木道( 604m)を整備するとともに、地元区に水路の草刈り等の管理を委託している。
 
2 森林資源の保全・整備
(1) 多様な森林整備
 森林は、木材の供給をはじめとして、県土の保全、水資源のかん養、生活環境の保全・形成、保健休養の場の提供など、県民生活に密接な関わりを有しており、こうした森林の多様な機能を発揮するためには、適正な森林の 保全・整備が不可欠となっている。
 このため、造林事業等により、保育・間伐の推進をはじめ、複層林施業や天然林施業等を通じた保水能力の高い森林の育成・整備など、多様な森林整備を推進している。
(2) 保安林の指定とその保全、管理
 森林の機能を高度に発揮させるため、国の第5期保安林整備計画(平成6〜15年度)に基づき、保安林(県内では、平成10年3月末現在、民有林99,126ha、国有林37,591haの森林が指定)の整備を計画的に進めている。
 また、保安林の働きを十分に発揮させるためには、より一層行き届いた施業と管理が必要であり、さらに、地形や地質等の条件が悪く機能が十分に発揮されていない保安林では、機能を回復させるための整備が必要である。
 このため、県では、第9次7か年計画(平成9〜15年度)により、治山事業(山地治山、防災林造成、保安林整備等)を積極的に行っていくとともに、山地防災ヘルパーおよび山地災害情報モニターからの情報収集と森林 保全巡視員による森林のパトロールを実施している。
(3) 採石、土採取場跡地の緑化
 砕石および石材は、道路の路盤材あるいはコンクリートに混入する骨材等として用いられており、社会資本の整備に必要不可欠の資源となっている。しかし、その原料である岩石の採取に当たっては、大規模な森林開発を 要する場合が多く、森林の保全との調整が重要である。
 県内では、25か所あまりの露天掘の岩石採取場が現在稼行中であり、主に、山腹の森林を伐採した後に表土を除去して地下の岩石を採取する形態となっている。
 事業者は、採石法に基づき、採取計画を知事に提出し、認可を受けて操業しており、採取計画に従って、岩石の採取が最終岸壁に達した部分から順次緑化を実施し、採掘終了後の緑化に遺漏のないよう努めることとされている。
 土の採取については、県土採取条例により、土の採取に伴う土砂の崩壊、流出等の災害が発生するおそれのある区域を土採取規制区域(現在、県内24区域)として指定している。
 また、規制区域内において土の採取を行う場合は、届出を義務付けるとともに、土の採取に伴う土砂の崩壊流出等の防止のための必要な措置を講じること、ならびに自然環境の保全、森林緑地の回復、景観および崩壊防止の ため重要と思われる樹木については、その全部または一部の保存を極力図ること、採取跡地の法面の植草、植樹や種子吹付けなどによる緑化の義務付けなどを規定している。
 さらに、県では、採石、土採取跡地の緑化等がより一層促進されるよう、巡回パトロ−ル等を通じて、事業者に対し指導・監督を行っている。
 
3 農村環境の保全
(1) 農村が持つ環境保全機能を考慮した農村の環境整備
 農村は、自然が本来持っている循環機能を基礎とする農業生産活動を通じて、食料の安定供給に加え、県土や自然環境の保全、水資源のかん養、緑や景観に接する場の提供など、公益的・多面的な機能を持っている。
 この農村の生産、生活環境を向上させ、人々の憩いの場と環境保全機能を兼ね備えた水と緑および農村特有の自然景観を保全・創造していくことは、地域住民のみならず、農業農村に接する機会を求めている都市住民に 対しても極めて重要である。 このため、中山間地域総合整備事業(9地区)、農村総合整備事業(22地区)、農業集落排水事業(36地区)、水環境整備事業(4地区)等の事業により、豊かな緑・水・ゆとりのある空間と いった農村地域の良さを活かした農村づくりを進めている。
 
(2) 多用な生物が生息・育成できる農業用用排水路の整備
 農業用用排水路は、水路網による面的な広がりを持って地域の水環境を形成し、水生生物等の生息空間として農村地域の生態系を支えている。
 そこで、農村地域の景観の形成、親水機能の発揮等のほか、生態系の保全、回復を図るため、水辺の動植物の生態に配慮し、魚介類・水生昆虫・水鳥等の多様な生物が生育と再生を繰り返せる護岸や水路の整備を進めて いる。
 
4 水辺環境の保全
(1) 河川における自然環境の保全
 ア 生態系や親水性、景観等に配慮した工法の推進
 河川改修や河川環境整備事業の実施に当たり、生態系や周辺の利用状況に配慮するため、自然石の利用など自然を活かした川づくりに努めるとともに、親水性が確保できる施設の整備を進めている。平成10年度の 施行例は表3−2−6のとおりである。
 
 表3−2−6 河川改修・河川環境整備における事例








 
  施工河川       内          容
魚見川(上流)
 
河床の掘削により流下能力の確保を図るとともに、現
況の生態系を復元し、魚介類の生息環境を確保
一乗谷川


 
特別史跡「一乗谷朝倉氏遺跡」を貫流する区間につい
て、ふるさとの川整備事業に認定を受け、「戦国の川
の再現」を目指して発掘された石を採用するなど、史
跡公園と一体的な整備を推進
日野川(南条)
 
自然とふれあえる河川をめざし、河川敷に手軽に降り
ていけるような親水性のある護岸の整備を推進








 
 
 イ 水生生物の生息に必要な水の流れの確保
 市街地等を流れる中小河川では、コンクリ−トの護岸に覆われ、また、水深も浅いことから、自然環境が損なわれ、水質も悪化している区間がみられる。このような区間において、自然な河岸や瀬と淵を創出し、 良好な河川環境を再生することを試みており、福井市の狐川では、低水路を設けて、水深や流速の確保を増大させることにより、自然浄化機能の回復と魚が泳げる水深の確保を図っている。
(2) 海岸における自然環境の保全
 海岸保全施設は、本来、国土の保全を目的に整備されるものであるが、近年、レジャー指向が強まり、海岸も重要な余暇空間として位置付けられるとともに、海岸には魚介類をはじめとして野鳥、海藻、海浜植物等の 多様な動植物が生息していることから、海岸に配置される施設についても、環境に対する配慮が求められている。 海浜空間をよりよい環境として維持・保全していくため、食見海岸等では、高い堤防や消波ブロックなど、 陸域から海岸へのアクセスの障害となる構造物は極力廃し、緩傾斜護岸や階段工等の設置等を進めることによって、水辺空間を身近に実感できるよう配慮している。
 また、自然景観や生態系を考慮し、人口リーフ(潜堤)など、自然環境を保全しながら海岸づくりを行うとともに、自然と人間が共生する海浜空間の形成を進める保全計画を推進している。(表3−2−7)
 
 表3−2−7 自然環境や景観に配慮した海岸保全事業





 
漁港海岸名 事業主体    H9実施内容      H10計画内容
鮎川海岸   県 人口リーフ L=40.0m 人工リーフ L=80.0m
長須浜海岸   県 人工リーフ(暫定) L=40.0m 人工リーフ L=22.0m
食見海岸   県 人工リーフ L=100.0m 人工リーフL=70m,養浜工V=12千m3
勢浜海岸   県 人工リーフ(暫定) L=54.0m 人工リーフ(暫定) L=44.2m
大浜海岸   県 人工リーフ L=12m,養浜工V=7千m3 人工リーフ L=69m,突堤 L=33m





 
 
第3節 自然とふれあえる場の確保
 
1 自然公園等の整備
(1) 自然公園内の施設等の整備・管理
 自然公園は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その健全な利用を増進することを目的としている。特に、近年、余暇時間が増大する中で、人々の自然指向が高まり、自然公園施設へのニーズが多様化している。 このため、より快適で質の高い施設の整備に努めている。(表3−2−8)
 
 表3−2−8 自然公園の施設整備の状況
















 
公園名   場   所 (公園事業名)    整備施設
白山
国立公園
大野市上打波 (経ケ岳三ノ峰線)
 
公衆トイレ
 
越前加賀海岸
国定公園


 
三国町崎〜安島(海浜自然公園)


越前町高佐  (高佐園地)
福井市浜住町 (鷹巣園地)
バーベキュー棟、
野外炉、
野外バーベキュー施設
公衆トイレ、歩道
公衆トイレ
若狭湾
国定公園


 
美浜町和田  (和田園地)
小浜市青井  (青井園地)
美浜町菅浜  (敦賀半島周回道)
美浜町早瀬  (近畿自然歩道)
高浜町中山  (近畿自然歩道)
車道、歩道、デッキ
休憩所、駐車場
公衆トイレ
歩道
歩道
奥越高原
県立自然公園
勝山市暮見  (暮見芳野ケ原線)
和泉村下山  (中出荒島下山線)
公衆トイレ
歩道
自然公園
区域外
武生市〜   (中部北陸自然歩道)
    敦賀市
休憩所、標識、
公衆トイレ
















 
 
 さらに、三方海中公園地区の三方町食見地区において、海の利用とふれあいの拠点施設として、福井県海浜自然センターの建設を進めている。(平成11年度に開館予定)
 この施設では、スノ−ケルを用いた海中観察会、磯の生物の観察会、海に関する各種の研修会等を開催することとしている。
(2) 滞在型の拠点施設の整備
 恵まれた自然の中で、家族やグループでゆっくりと自然にふれあえる施設として、和泉村に朝日前坂家族旅行村、名田庄村に八ヶ峰家族旅行村、大飯町にふるさと海浜公園が整備されている。
 また、(財)国民休暇村協会、県、三国町が一体となって宿泊施設、野営場、園地等の整備を行い、平成9年7月に「休暇村 越前三国」として開村している。
(3) 長距離自然歩道の整備
 多くの人々が、四季を通じて手軽に、楽しくかつ安全に歩くことにより、沿線の豊かな自然環境、景観、さらには歴史や文化に触れられるよう、全国的に長距離自然歩道の整備が進められている。本県では、平成7年度 から中部北陸自然歩道、平成10年度から近畿自然歩道について整備を進めている。(表3−2−9)
 
 表3−2−9 長距離自然歩道整備計画






 
  歩道名   県内ルート   整備内容   整備年度

中部北陸自然歩道
 
金津町
 〜   227.0km
敦賀市
 標識設置
 歩道改良
 路傍休憩所
 平成7年度
  〜
 平成12年度

 近畿自然歩道
 
敦賀市
 〜   115.9km
高浜町
 標識設置
 歩道改良
 路傍休憩所
 平成10年度
  〜
 平成12年度






 
 
2 森林や水辺等とのふれあい
(1) 水辺の楽校プロジェクトの推進
 現代の子供たちは、屋外や集団で遊ばない傾向にあり、このことが自然体験、生活体験の不足につながっている。
 そこで、自然環境あふれる安全な水辺の創出と、子供たちの水辺の遊びを支える地域連携体制の構築を図ることを目的に、水辺に近づける護岸等の整備を進めている。平成9年度の実施河川は次のとおりである。
 
 〇魚見川(上流)



 
  河床の掘削により流下能力の確保を図るとともに、現況の生態系を復
 元し、魚介類の生息を促進するため多自然型川づくりを進めるとともに
 近くの小学校と連携し、子どもたちが水辺に近づき自然を体験できるよ
 うな階段や広場の整備を行う。



 
 
(2) 渓流の整備
 渓流は、その水が人々の日常生活に利用されているばかりでなく、多種多様な生物の生息の場でもあり、潤いとやすらぎのあるせせらぎ空間を創出する源にもなっている。
 そこで、このような渓流を軸とした潤いのある豊かな生活環境を創出し、中山間地域の活性化に寄与するため、渓流が元来持っている機能の復元を図り、生き物が活発に活動できる場、人が気楽に渓流にふれあうことの できる場を渓流と一体的に整備する「いきいきさわやか渓流整備事業」や、樹林帯の土砂災害防止機能を利用しながら同時に良好な自然環境を創出する砂防樹林帯を整備する「緑の砂防ゾ−ン創出事業」を実施している。
 
 《平成10年度の事例》
 〇いきいきさわやか渓流整備事業 : 三味線川、窪谷川
 〇 緑の砂防ゾ−ン創出事業    : 常宮川、河内川、北谷川
 
(3) 里地・里山等の二次的自然の保全
 山村の過疎化に伴う生産活動の低迷によって、森林の管理が手薄になっていく反面、レクリエーションや違法な行為を目的とした森林への入り込みが多くなっており、それに伴うトラブルが増加している。
 このため、地域住民等を含め地域が一体となった森林保全活動が不可欠となっており、県と市町村は、パトロール等により保全活動を展開、支援している。
 また、森林の転用・開発に当たって、林地開発許可や保安林制度等の手続きが必要なものについては、森林の持つ公益的な機能と周辺の自然環境に配慮したものに指向するよう指導するとともに、地域住民による 保全活動とも連携し、里地・里山等の二次的自然の保全を図り、生き物と親しむことができる場の確保に努めている。
(4) 森林の整備
 ア 森林空間総合整備事業
 自然とのふれあいの場として、森林の利用に対する県民の多様なニーズが高まっていることから、森林とのふれあいの場、活動の場、学習の場などとして、森林空間を活用した施設の整備が必要となっている。
 このため、鯖江市の農林業体験学習館「ラポーゼかわだ」と連携し、平成9年度から、花木の森や四季折々の表情が楽しめる森の造成、簡易な休憩施設の整備、車椅子や自転車の通行にも配慮した林内歩道等の 整備を進めている。
 イ 環境保全保安林整備事業
 市街地等の周辺に存在する森林は、山地災害等が発生すると甚大な被害を及ぼす危険性が高い。また、反面、この森林は、市街地等の良好な生活環境の形成に重要な役割を果たしている。
 このため、山地災害の防止に加え、災害発生時の避難地としての役割を果たす防災広場、火災の延焼遮断等の災害緩衝地としての防災森林の造成等の整備を図るとともに、森林の保健機能をはじめ、国土保全、 水源かん養機能等の森林の公益的な働きを高度に発揮できる森林の造成、改良等の整備を図っている。(図2−7−3)
(5) 自然とのふれあいの促進
 ア イベント等の開催
 近年、優れた自然に親しむ各種のイベントが県内各地で活発に行われるようになっている。平成9年度に県が主催して実施した主な行事は表3−2−10のとおりである。
 
 表3−2−11 すぐれた自然に親しむイベント














 
    行事名  場所   日程          内容
マリン・セミナー
 (海中公園自然観察会)
三方町
 
8/30〜31
 
スノーケリングで海の自然を楽しむ
 
全国自然歩道を歩こう大会 織田町 10/25 全国の自然や文化に恵まれた自然歩道を歩く
自然に親しむ運動
各市町村

 
7/21〜8/20 自然環境の保護と利用につき国民の理解を深める
自然とふれあうみどりの日の集い 4/23〜29 「みどりの日」を記念し自然の恩恵に感謝する
自然観察会 年7回 福井のすぐれた自然に親しむ(動植物等の観)
自然観察ウォーク 年2回       〃      (自然の風景を巡る)
愛鳥教室

自然保護
センター


 
1/25 ペットボトルで作るバードフィーダー
天体観望会 年67回  
プラネタリウム投影 年239回  
天文教室 年3回 天体観察の方法を指導・普及する
特別天体観望会 年6回 ヘール・ボップ彗星を見よう
夏の特別企画 年3回 昆虫教室、植物標本教室、夜の動物を観よう
冬の特別企画 年1回 福井の鳥と獣たち














 
 

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