第5節 騒音・振動・悪臭の防止
1 騒音・振動対策
(1) 法律による規制
騒音については、「環境基準」と「規制基準」が、振動については、「規制基準」が定められている。(
資料編表5−1、2)
知事は、騒音規制法・振動規制法に基づき、住居が集合している地域、病院または学校の周辺の地域、その他の地域で騒音および振動を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域を指定し、この
指定地域内における工場・事業場および建設作業から発生する騒音・振動について基準を定めている。(
資料編表5−5)
なお、騒音・振動が極めて地域性の高い公害であることから、工場立入や行政指導等の規制事務は、市町村長に委任されている。
ア 地域の指定および規制基準
本県では、昭和44年から順次規制地域の指定を行ってきており、平成10年3月末現在、7市12町1村について地域指定を行っている。(表3−1−26)
表3−1−26 騒音規制法・振動規制法に基づく規制地域
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福井市・敦賀市・武生市・小浜市・大野市・勝山市・鯖江市・
松岡町・三国町・芦原町・金津町・丸岡町・春江町・坂井町・
今立町・朝日町・宮崎村・織田町・美浜町・高浜町の各一部 |
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イ 工場・事業場の騒音・振動
工場・事業場のうち、規制地域内において特定施設(金属加工機械、織機等)を設置している工場・事業場(以下「特定工場等」という。)が規制の対象となる。規制地域内で特定施設を設置しようとする者は、事前に当該
市町村長に届け出ることが義務付けられている。
規制地域内に立地する特定工場等および特定施設の総数は、平成10年3月末現在、騒音に係るものが 2,031工場、38,687施設、振動に係るものが 1,042工場、23,662施設である。(
資料編表5−10、12
)
ウ 建設作業の騒音・振動
建設作業のうち、規制地域内において実施される特定建設作業(くい打ち機等を使用する作業等)が規制の対象となる。特定建設作業を伴う建設工事を実施しようとする者は、事前に当該市町村長に届け出ることが義務付け
られている。
平成9年度における特定建設作業の届出件数は、騒音に係るものが17件、振動に係るものが35件であった。(
資料編表5−11、13)
エ 自動車騒音・道路交通振動
騒音規制法では、自動車本体からの騒音の大きさについて、車種ごとに単体としての許容限度を定めている。
また、県では、平成8年3月に「福井県道路環境対策連絡会議」を設置し、道路交通騒音が深刻な地域における総合的な環境対策のための調査、検討を進めている。 この連絡会議では、平成9年3月に「福井県道路交通
騒音対策整備計画」を作成し、総合的な道路交通騒音対策を推進している。
【「福井県道路環境対策連絡会議」の概要】
〇事務局:建設省近畿地方建設局福井工事事務所および福井県道路建設課
〇構 成:国、県警、県、日本道路公団
【主な施策】
〇緊急対策区間の対策内容
・沿道構造対策の内容
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路 線 |
対象地点名 |
対 策 概 要 |
一般国道8号
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福井市渕上 |
高架部のノージョイント化、遮音壁設置、半たわみ性舗装 |
鯖江市長泉寺 |
高架部に遮音壁設置 |
武生市行松 |
高架部に遮音壁設置 |
般国道27号 |
賀市岡山 |
音壁設置 |
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・交通流対策推進
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対 策 の 項 目 |
対 策 内 容 |
管制システムの高度化および
調整等による交通円滑化 |
騒音、排気ガス減少に着目した信号抑制
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ドライバ−への適切な交通
情報提供による交通流分散 |
交通情報提供装置の拡充整備
(VICSへの対応等) |
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・道路利用者への協力要請
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対 策 の 項 目 |
対 策 内 容 |
運輸事業者への協力要請 |
関係機関連携のもとでの過積載防止の啓発活動等 |
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・取締り強化による対策
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対 策 の 項 目 |
対 策 内 容 |
特殊車両の取締り強化 |
無許可特車の通行および過積載車両の取締り強化 |
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〇緊急対策区間外の対応
福井県道路環境対策連絡会議において検討し、交通流対策、交通量抑制対策および発 生源対策などの総合的対策を推進する。
(2) 条例による規制
県公害防止条例では、特定工場において発生する騒音(騒音規制法で規制されるものを除く。)、飲食店営業(風俗営業法で規制されているものを除く。)、ボウリング場営業、カラオケボックス営業および車両洗浄装置
営業における深夜(午後11時から翌朝5時まで)の騒音を規制している。(
資料編表5−6−1、2)
また、午後9時から翌朝8時までの屋外における拡声機放送について、次の行為を除いて禁止している。
@公共のためにする広報
A祭礼その他地域習慣となっている行事において使用する場合
B移動式の店舗において一時的に拡声機を使用する場合であって、周辺の住民の平穏な生活を阻害するおそれがないとき
2 悪臭対策
(1) 法律による規制
悪臭については、知事が、住居が集合している地域など、住民の生活環境を保全する必要があると認める地域を指定することにより、当該地域内における工場・事業場について規制基準が適用されることになる。
本県では、昭和49年から順次規制地域の指定を行ってきており、平成10年3月末現在、7市12町1村について地域指定を行っている。(表3−1−27)
表3−1−27 悪臭防止法に基づく規制地域
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福井市・敦賀市・武生市・小浜市・大野市・勝山市・鯖江市・
松岡町・三国町・芦原町・金津町・丸岡町・春江町・坂井町・
今立町・朝日町・宮崎村・織田町・美浜町・高浜町の各一部 |
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また、地域の実情に応じ、アンモニアや硫化水素など22の特定悪臭物質について、A区域(住居地域、商業地域等)、B区域(準工業地域、工業地域等)の区分ごとに規制基準を設定している。(
資料編表5−8)
なお、悪臭問題は騒音や振動と同様発生源の周辺に限られ、極めて地域性が高いことから、工場立入や行政指導等の規制事務は、市町村長に委任されている。
(2) 条例による規制
県公害防止条例では、悪臭に係る特定施設を定め、当該特定施設の設置に際し、施設の構造や使用方法等を市町村長に届け出ることを義務付けている。また、悪臭防止法の規制地域以外では、工場等の敷地境界線に
おいて、規制基準(臭気指数18)を定めている。(表3−1−28、
資料編表5−9)
条例に基づく特定施設を設置する工場等および特定施設の総数は、平成10年3月末現在、 225事業場、 610施設である。(
資料編表5−14)
(3) 畜産業に対する指導等
畜産業に起因する悪臭については、家畜ふん尿の不適切な処理に起因するところが大きいことから、関係機関が連携しながら農家指導を行っている。
さらに、畜産試験場においては、家畜ふん尿の臭気を低減させる効果のある微生物資材や畜舎の消臭装置の開発等の研究を行っている。
表3−1−28 県公害防止条例に定める悪臭に係る特定施設
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対象工場等 |
特定施設 |
牛、豚または鶏の飼養場
牛:10頭以上
豚:50頭以上(繁殖豚にあっては、5頭以上)
<生後2月未満のものを除く。>
鶏:1,000羽以上 <生後30日未満のものを除く。> |
飼養施設
飼料調理施設
(加熱して調理するものに限る。)
ふん尿処理施設
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けいふんの乾燥または焼却を行う工場
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乾燥施設
焼却施設 |
死亡獣畜取扱場
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解体室
汚物処理施設
焼却炉 |
化製場
(魚介類または鳥類の肉、皮、骨、臓器等を原料とする
飼料等の製造の工場を含む。)
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原料処理施設
(原料貯蔵室および化製室を含む。)
煮熟施設
圧搾施設
汚物処理施設
乾燥施設 |
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