第10章 環境に対する県民意識と保全活動
 
第1節 意識調査結果
 
 県では、県民の日常生活に密着する諸問題について、県民の関心と要望をとらえ、県政推進の基礎資料とするため、平成9年度に、県内に居住する満20歳以上の男女 1,008人を対象に「環境」に関する意識調査を 実施している。調査結果の概要は次のとおりである。(図2−10−1〜4)
 
 図2−10−1 公害による迷惑率の推移  [→図]
 
                  (資料:「平成9年度県民生活意識調査報告書」以下同じ)
 
 公害による迷惑を受けていると思う人が、全体の28.0%であり、平成7年度の調査時に比べて 8.6ポイント増加した。
 
 図2−10−2 公害による迷惑の種類別内訳  [→図]
 
                           (注:複数回答のため、100%を超える)
 
 公害の種類については、「騒音」が57.3%を占め、前回と比べて 2.3ポイント減少した。
 
 図2−10−3 公害による迷惑の発生源内訳  [→図]
 
                           (注:複数回答のため、100%を超える)
 
 公害の発生源については、「自動車などの交通機関」が55.2%であり、前回と比べて 5.4ポイント増加した。
 
 図2−10−4 身近な環境で迷惑、気になるもの  [→図]
 
                           (注:複数回答のため、100%を超える。)
 
 身近な環境問題については、「道路・河川・海岸へのごみ、空き缶、建築廃材などの放置」が49.0%であり、前回よりも 4.9ポイント増加した。
 
 第2節 公害苦情
 
 県、市町村および県警察本部が平成9年度に受け付けた公害に関する苦情件数は、典型7公害が 259件、典型7公害以外が84件で、前年度に比べ、全数で20件(5.5%)減少している。
 苦情を公害の種類別にみると、大気汚染が最も多く、前年度と比較すると16件(21.3%)増加している。以下、水質汚濁、悪臭、騒音、振動となっており、前年度と比較すると、横ばいか減少している。
 大気汚染による苦情が増加した要因としては、廃棄物の焼却に伴うダイオキシン問題への関心が高まったことなどが考えられる。
 典型7公害以外の苦情は84件で、このうち、廃棄物の不法投棄に関する苦情が35件となっている。(表2−10−5、資料編表7−1
 
 表2−10−5 公害の種類別苦情件数の推移













 
     年度
種 類
H5
 
H6
 
H7
 
H8
 
H9
 
構 成 比
 (%)







 
大気汚染   79   70   68   75   91   26.5
水質汚濁   48   72   67   92   74   21.6
土壌汚染    0   0   1   0   0   0.0
騒音   82   75   60   42   44   12.8
振動    4   10   12   17   4   1.2
地盤沈下    0   0   0   0   0   0.0
悪臭   45   56   58   57   46   13.4
小計   258  283  266  283  259   75.5
典型7公害以外   258  154  108   80   84   24.5
 合計   516  437  374  363  343  100.0
対前年度増減数   -1   -79  -63   -11   -20  
 増減率(%)  -0.2  -15.3 -14.4   -2.9   -5.5  













 
 
 また、発生源別にみると、製造業が最も多く、以下、建設業、サービス業と続いている。前年度と比較して、増減が著しい業種はない。
                    (表2−10−6、資料編表7−1
 
 表2−10−6 公害の種類別苦情件数の推移
      年度
 発生源
 H5
 
 H6
 H7
 H8
 H9
 構成比
 (%)
  農林漁業  22  27  14  30  13   3.8
  建設業  44  48  37  30  43  12.5
  製造業  84  98 100  94  90  26.2
  運輸・通信業   2   5  10   5  10   2.9
卸売・小売業、飲食店  42  24  25  24  24   7.0
  サービス業  20  50  47  44  36  10.5
  家庭生活  21  26  21  24  24   7.0
  その他  254 122  88  81  87  25.4
 不     明  27  37  32  31  16   4.7
 合     計  516 437 374 363 343 100.0











 
 
 
第3節 県内企業等の環境保全に向けた動き
 
 今日の環境問題に対応するには、事業者において、規制の遵守あるいは環境保全上の支障が生じて初めて対処するという対症療法的な対応にとどまらず、予防的な観点から、環境への負荷の低減等の取組みを 積極的に行うことが求められている。
 県内企業においても、環境保全に向けた取組みを進める動きがある。福井商工会議所では、平成10年4月、「地域環境推進室」を設置し、企業および市民との環境保全についての啓発指導等の推進に関する事業、 環境問題に関する技術開発の支援などに取り組むこととしている。この中で、県内企業の環境保全に関する先進的な取組みについて、インターネット等での照会、県民の環境保全に関する意識調査を行うなど活発な活動 が行われている。
 また、本県が全国有数のエネルギー供給県であり、それだけに環境やエネルギーに関わる諸問題について、全県民が高い関心と理解を持つことが不可欠であることから、平成10年3月には、産業界が中心となって、 環境およびエネルギーに関して主導的な役割を担うための全県的な組織として「環境・エネルギー懇話会」が設立され、シンポジウムの開催や会紙の発行などの活動が行われている。
 また、企業の経営管理の一部として、環境保全への取組みを効果的に進めるための「環境マネジメントシステム」を社内に構築する動きが広がってきている。環境マネジメントシステムとは、 組織の経営者が自ら 環境に関する方針を決定し、それを組織の構成員に周知徹底するとともに、 その方針に沿った目標を立て、計画を作成し、 その実行のための組織内の体制や手続、マニュアル類を整備し、 さらに取組の実行状況を監査 して方針の見直しを行い、これを繰り返し行うことによって取組みを推進していこうとするものである。
 この環境マネジメントシステムが構築されているか否かを判断するための共通の基準として定められたのが、平成7年9月に発行された国際標準化機構の国際規格ISO14001であり、国内においても、これに対応する 日本工業規格JISQ14001が同年10月に制定されている。
 この規格の取得については、非常に早い取組みが見られ、平成10年12月末現在、全国で 1,542件が取得し、県内では電気機械業や繊維工業等の事業者21件が取得している。
 
  図2−10−7 環境マネジメントシステムイメージ図  [→図]
 
  表2−10−8 福井県内ISO14001認証取得事業所一覧(平成10年12月末現在)





















 
業  種 事 業 所 名 所在地
繊維工業
 
カンボウプラス(株)福井工場 鯖江市
東洋紡績(株) つるが工場 敦賀市
化学工業 信越化学工業(株)武生工場 武生市
金属製品製造業 中山鉄工(株) 坂井郡
一般機械
 
(株)松浦機械製作所 福井市
コピア(株)福井工場 福井市


電気機械







 
(株)福井村田製作所(武生事業所、宮崎工場、白山工場) 武生市
日東シンコー(株)丸岡事業所 坂井郡
ニチコン(株)大野工場 大野市
松下電器産業(株)家電電装モータ事業部 (武生松下電器(株)含む) 武生市
清川メッキ工業(株) (キヨカワ電子(株)含む) 福井市
若狭松下電器(株) 敦賀市
福井松下電器(株) 福井市
信越半導体(株)武生工場 武生市
オフロム(株) 丹生郡
福井日本電気(株) 坂井郡
リコー  福井事業所 坂井郡
 電気業 日本原子力発電(株) 敦賀発電所 敦賀市
 廃棄物処理業
 
(株)ダイエイ 本社・車両基地・旧社屋
サンワ技研(株)関西支店
武生市
鯖江市
 小売業 (株)ローソン(全国の事務所、店舗(福井県内の店舗・事業所を含む)) 福井市等





















 
                       通商産業省等の調べによる
 

→次へ進む][→目次へ戻る
ERC.PREF.FUKUI.JP