第6章 自然環境
第1節 自然環境保全地域
県では、高山性、亜高山性植生や優れた天然林が相当部分を占める森林または草原の区域、優れた自然環境を維持している海岸、湖沼、湿原または河川の区域、貴重な野生動植物の生息地である区域等を「自然環境
保全地域」に指定することとしている。
現在、敦賀市池河内と池田町楢俣の2箇所を指定している。(表2−6−1)
表2−6−1 県自然環境保全地域の概要
名称
|
所在地
|
指定
年月日 |
面積 (ha) |
保全対象
|
保全対象の具体的内容
|
特別地区 |
普通地区 |
計 |
池河内
|
敦賀市
池河内
|
昭和52.
3.25
|
7.80
うち、野
生動植物
保護地区
7.40 |
103.20
|
11.00
|
湿原植物
の自生地
野生動物
の生息地
|
高層湿原性イヌノハナヒゲ− ハリミズゴケ群落
ヤナギトラノオ(南限種)
ヤチスギラン(西限種)
ハッチョウトンボ |
楢俣
|
池田町
楢俣
|
昭和54.
6.19
|
162.12
|
-
|
162.12
|
優れた天
然林が相
当部分を
占める森
林の区域 |
ブナ−ウスギョウラク−
チシマザサ群落
モミジカラマツ(西限種)
シロウマイノデ(西限種)
シマイヌワラビ(北東限種) |
|
|
第2節 自然公園
本県には、白山山系の山岳公園である白山国立公園、嶺北の隆起海岸である越前加賀海岸国定公園、嶺南のリアス式海岸である若狭湾国定公園、唯一の県立自然公園である奥越高原県立自然公園の4つがあり、その
面積は合計61,432haで、県土面積の約14.7%を占めている。
また、若狭湾国定公園には、三方海中公園地区が指定されている。(表2−6−2、図2−6−3)
表2−6−2 自然公園の概況 (単位:ha)
|
公園名
|
面 積
|
特別地域 |
普通地域
|
海中公園
|
特別保護
地 区
|
第1種・2
種・3種
特別地域 |
白山国立公園 |
5,206.0 |
220.0 |
4,986.0 |
|
|
越前加賀海岸国定公園 |
7,530.0 |
92.0 |
7,257.0 |
181.0 |
|
若狭湾国定公園 |
15,457.0 |
67.0 |
15,185.0 |
205.0 |
30.2 |
奥越高原県立自然公園 |
33,239.0 |
|
19,927.0 |
13,312.0 |
|
計 |
61,432.0 |
379.0 |
47,355.0 |
13,698.0 |
30.2 |
|
|
第3節 野生鳥獣
野生鳥獣の生息は、自然の豊富さを表すバロメーターと言われており、野生鳥獣を含む多様な生物が人間と共存できるよう、自然環境を適正に保全していく必要がある。
本県では、絶滅種・外来種を含め鳥類 317種、陸生哺乳類45種が確認されている。 このうち、鳥類については、本県で記録される鳥類のおよそ3分の2が冬鳥、夏鳥等の渡り鳥で占められており、本県が日本海側
における重要な渡来経路にあたっていることを示している。また、織田町の六所山に設置されている環境庁の一級観測ステ−ションにおいても、日本最初のチョウセンメジロや希少鳥類の記録があり、それを裏付けている。
一方、獣類では、大型獣として特別天然記念物ニホンカモシカ、ツキノワグマ、ニホンザルの分布がみられ、天然記念物のヤマネなどの小型獣も生息している。
これらの野生鳥獣類の生息に適した環境は、近年における各種の開発行為や都市化の進展に伴い、次第に減少しているが、一方で、サル、イノシシ、カモシカ等の特定の獣類が増加し、特に、嶺南地方では農林業に
被害を与えている。
県では、鳥獣保護事業計画を策定し、野生鳥獣の適切な保護管理を図ってきている。平成9年度末の鳥獣保護区等の設定状況は表2−6−4のとおりである。
表2−6−4 鳥獣保護区等の設定状況(平成10年3月31日現在)
|
区分 |
箇所数 |
面積 (ha) |
備考 |
鳥獣保護区 |
41 |
26,256 |
|
(特別保護地区) |
(12) |
(876) |
(鳥獣保護区内に指定) |
休猟区 |
27 |
28,181 |
|
銃猟禁止区域 |
44 |
23,422 |
|
計 |
112 |
77,859 |
県土面積の18.6% |
|
|
また、食物連鎖の頂点に位置する猛禽類は、全国的に生息数が減少しており、国では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」によって、その保護を図っている。このうち、国の天然記念物および
国内希少野生動植物種に指定されているイヌワシについては、平成2年度から行っている調査の結果、県内では12〜20羽が生息していると推定されている。
第4節 ふるさとの環境
1 名水100選
昭和60年3月、水質保全への認識を深め、優良な水環境を積極的に保護をすることなど今後の水質保全行政の推進を目的に、全国から「名水 100選」が選定された。本県からは、「瓜割ノ滝」(上中町)、「お清水」
(大野市)、「鵜の瀬」(小浜市)の3か所が選ばれている。
2 星空の街・あおぞらの街
環境庁が昭和61年度、62年度に「あおぞらの街」、「星空の街」として選定した自治体を母体に「星空の街・あおぞらの街」全国協議会が結成され、平成9年度現在で 269団体の自治体が加入している。なお、本県
では、福井市、小浜市、大野市が加入している。
同協議会では、郷土の環境を活かした地域おこしの推進と大気環境保全意識の高揚を図ることを目的として、情報の交換等を行っているほか、毎年度、大気環境保全の啓発・普及、大気環境の観察等の分野で優れた
活動を行った団体・個人に対する表彰を行っている。
3 日本の音風景100選
環境庁では、人々が地域のシンボルとして大切にし、将来に残していきたいと願っている音の聞こえる環境(音風景)のうち、音環境を保全する上で特に意義があるとして認められるものを、平成8年7月に
「残したい“日本の音風景 100選”」として認定した。
本県では、「蓑脇の時水湧水」(武生市)が認定されている。
4 水源の森100選
豊かで良質な水の安定的な供給や、快適な生活環境の形成等の面で森林への要請が高まっている中で、「緑と水」の源泉である水源の森を後世に引き継ぐためには、国民一人ひとりの理解の下に保全・整備していく
ことが必要である。
このため、平成7年度、林野庁では、我が国の代表的な水源の森を「水源の森100選」として選定し、その役割や重要性について普及啓発を図っている。
本県では、「八ケ峰水源の森」(名田庄村)、「九頭竜国民休養の森」(和泉村)、「上根来水源の森」(小浜市)の3か所が選ばれている。
5 日本の水浴場55選
水質が良好で快適な水浴場を広く普及することを目的に、平成10年3月、全国55か所の水浴場が「日本の水浴場55選〜清潔安心楽しい水辺〜」として選定された。 本県からは、「市営松原海水浴場」(敦賀市)、
「和田海水浴場」(高浜町)の2か所が選ばれている。
6 ふるさと福井の自然100選
本県の豊かで美しい自然を次代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた重要な責務である。
この優れた自然を再認識してもらうため、県では地域のシンボルとして親しまれている優れた自然を募集したところ、3,933件の応募があり、380か所について推薦があった。この中から、学識経験者や市町村の意見を
取り入れながら、平成7年3月、原始的な自然から鎮守の森のような身近な自然まで幅広く 100か所を「ふるさと福井の自然 100選」に選定している。(表2−6−5)
表2−6−5 ふるさと福井の自然 100選
番号 |
名称 |
所在地 |
番号 |
名称 |
所在地 |
1 |
文殊山 |
福井市・鯖江市 |
51 |
平家岳 |
和泉村 |
2 |
武周ケ池 |
福井市 |
52 |
石徹白川流域・天狗岩 |
和泉村 |
3 |
亀島〜鉾島 |
福井市 |
53 |
九頭竜湖一帯 |
和泉村 |
4 |
足羽三山 |
福井市 |
54 |
大堤 |
三国町 |
5 |
一乗谷 |
福井市 |
55 |
瀧谷寺の森 |
三国町 |
6 |
国見岳 |
福井市 |
56 |
雄島 |
三国町 |
7 |
小丹生海岸・弁慶の洗濯岩 |
福井市 |
57 |
越前松島 |
三国町 |
8 |
三里浜 |
福井市 |
58 |
東尋坊・荒磯遊歩道 |
三国町 |
9 |
気比の松原 |
敦賀市 |
59 |
北潟湖 |
芦原町・金津町 |
10 |
池河内湿原 |
敦賀市 |
60 |
刈安山・剱ケ岳 |
金津町 |
11 |
黒河川上流域 |
敦賀市 |
61 |
竹田川上流域 |
丸岡町 |
12 |
水島・明神崎 |
敦賀市 |
62 |
丈競山 |
丸岡町 |
13 |
門ケ崎 |
敦賀市 |
63 |
紀倍神社の森 |
春江町 |
14 |
西方ケ岳〜蠑螺ヶ岳 |
敦賀市・美浜町 |
64 |
春日神社の森 |
坂井町 |
15 |
金ケ崎城跡・天筒山一帯 |
敦賀市 |
65 |
花筐公園 |
今立町 |
16 |
野坂岳 |
敦賀市 |
66 |
権現山・柳の滝 |
今立町 |
17 |
鬼ケ岳 |
武生市 |
67 |
大滝神社の森 |
今立町 |
18 |
日野山 |
武生市・南条町 |
68 |
冠山〜金草岳 |
池田町 |
19 |
村国山 |
武生市 |
69 |
龍双ケ滝一帯 |
池田町 |
20 |
蘇洞門海岸 |
小浜市 |
70 |
部子山 |
池田町 |
21 |
百里ケ岳・根来坂 |
小浜市 |
71 |
杣山 |
南条町 |
22 |
蒼島・加斗海岸 |
小浜市 |
72 |
野見ケ岳・武周ケ池 |
南条町 |
23 |
久須夜ケ岳・エンゼルライン |
小浜市 |
73 |
夜叉ケ池 |
今庄町 |
24 |
鵜の瀬渓流・白石神社 |
小浜市 |
74 |
木ノ芽峠〜鉢伏山 |
今庄町 |
25 |
多田ケ岳 |
小浜市 |
75 |
日野川上流域 |
今庄町 |
26 |
六呂師高原 |
大野市・勝山市 |
76 |
藤倉山〜鍋倉山〜燧ケ城址 |
今庄町 |
27 |
赤兎山 |
大野市・勝山市 |
77 |
矢良巣岳 |
河野村・武生市 |
28 |
刈込池一帯 |
大野市 |
78 |
越知山〜花立峠 |
朝日町 |
29 |
荒島岳 |
大野市・和泉村 |
79 |
蛇ケ岳・蛇ケ池 |
宮崎村 |
30 |
経ケ岳 |
大野市・勝山市 |
80 |
城山 |
越前町 |
31 |
九頭竜峡 |
大野市 |
81 |
呼鳥門 |
越前町 |
32 |
姥ケ岳〜平家平〜倉ノ又山 |
大野市 |
82 |
ガラガラ山 |
越廼村 |
33 |
一ノ峰〜三ノ峰 |
大野市 |
83 |
越前夫婦岩一帯 |
越廼村 |
34
|
亀山
|
大野市
|
84
|
水仙群生地
|
河野村・越前町
・越廼村 |
35 |
銀杏峰・宝慶寺 |
大野市 |
85 |
六所山 |
織田町 |
36 |
真名峡・麻那姫湖 |
大野市 |
86 |
賀茂神社の森 |
清水町 |
37 |
笹生川流域・伊勢峠 |
大野市・和泉村 |
87 |
三方五湖・梅丈岳 |
三方町・美浜町 |
38 |
平泉寺一帯 |
勝山市 |
88 |
常神半島・御神島 |
三方町 |
39 |
取立山 |
勝山市 |
89 |
雲谷山・観音川流域 |
三方町 |
40 |
岩屋川上流域・岩屋観音 |
勝山市 |
90 |
三方海中公園・烏辺島 |
三方町 |
41 |
杉山川流域・夫婦滝 |
勝山市 |
91 |
耳川上流域・屏風ケ滝 |
美浜町 |
42 |
法恩寺山・弁ケ滝 |
勝山市 |
92 |
水晶浜・丹生の浦 |
美浜町 |
43 |
西山公園 |
鯖江市 |
93 |
瓜割の滝 |
上中町 |
44 |
足羽川中流域・鳴滝一帯 |
美山町 |
94 |
頭巾山・野鹿の滝 |
名田庄村 |
45 |
松岡古墳公園 |
松岡町 |
95 |
八ケ峰 |
名田庄村 |
46 |
吉野ケ岳 |
松岡町 |
96 |
鷹島・城山公園 |
高浜町 |
47 |
九頭竜川鳴鹿橋一帯 |
永平寺町 |
97 |
音海断崖 |
高浜町 |
48 |
浄法寺山〜冠岳 |
永平寺町 |
98 |
青葉山 |
高浜町 |
49 |
大仏寺山・永平寺 |
永平寺町 |
99 |
父子川流域・父子不動の滝 |
大飯町 |
50 |
吉峰寺一帯 |
上志比村 |
100 |
赤礁崎 |
大飯町 |
注)番号は整理番号であって優先順位を示しているものではない。
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