第5章 廃棄物
 
第1節 一般廃棄物
 
1 ごみの排出量
 平成9年度における県内のごみの総排出量は約28万トンであり、平成8年度(約28万3千トン)と比較して約1%減少した。平成3年度の29万9千トンをピークに平成4年度から減少傾向を示し、ここ数年はおおむね 横ばいで推移している。
 県民1人1日当たりのごみの排出量は 926gであり、平成8年度(937g)から 11g減少しており、ここ数年は、総排出量と同様に横ばい傾向である。(図2−5−1)
 また、ブロック別にみると、福井坂井ブロックが最も多く、13万6千トンで総排出量の48%を占めている。次いで、嶺南ブロック6万3千トン(23%)、丹南ブロック5万9千トン(21%)、奥越ブロック2万2千トン (8%)となっている。(図2―5―2)
 
 図2―5―1 ごみ総排出量と県民1人1日当たり排出量の推移  [→図]
 
 図2―5―2 ブロック別ごみ排出量  [→図]
 
2 ごみの処理状況
 市町村(一部事務組合を含む。)では、通常、収集されたごみを、焼却、破砕、資源化等の中間処理をした上で埋立て処分している。
 平成9年度におけるごみの減量処理率(処理・処分されたごみに対する焼却・破砕・資源化等の中間処理を行ったごみの割合)は94.7%(平成8年度94.0%)となっており、中間処理によるごみの減容化が促進されて いることがうかがえる。
 中間処理されたごみ(27万2千トン)のうち、直接焼却された割合は77.0%となっている。また、焼却以外の中間処理(破砕・選別による資源化等)の割合は17.7%となっている。
 一方、直接埋め立てされるごみの量は約1万4千トン(平成8年度1万7千トン)で、割合は 5.3%となっている。また、焼却残さ等の埋立てを合わせた埋立総量は4万8千トンとなっており、減少傾向を示している (平成7年度5万3千トン、平成8年度5万1千トン)。(図2―5―3、資料編表8−12
 
 図2―5―3 処理別ごみ処理量の推移  [→図]
 
3 リサイクルの状況
 平成9年度に、市町村において資源ごみの分別収集や中間処理により資源化された量は2万5千トンとなっており、平成8年度(2万4千トン)と比較して約1千トン増加している。
 また、住民団体等によって資源として集団回収された量は2万1千トン(平成8年度1万9千トン)である。市町村における資源化と集団回収を合わせた4万6千トンがリサイクルに回されており、リサイクル率は 15.6%となっている(平成8年度14.5%)。このリサイクル率は、市町村の取組みの強化や住民の意識の高まりなどにより、年々増加している。(表2―5―4〜5、図2−5−6)
 表2―5―4 資源化量の推移
                            (千トン)

 
 年 度   5   6   7   8   9
資源化量  19  20  22  24  25

 
 
 表2―5―5 集団回収量の推移
                            (千トン)

 
 年 度   5   6   7   8   9
集団回収量  15  17  19  19  21

 
 
 図2―5―6 リサイクル率の推移  [→図]
 
4 廃棄物処理施設の状況
 市町村では、収集された一般廃棄物を処理するため、ごみ焼却施設、粗大ごみ処理施設、埋立処分地施設等の廃棄物処理施設を設置している。
 平成9年度末現在、ごみ焼却施設は15施設設置されており、処理能力は 1,136トン/日となっている。また、埋立処分地施設は14施設設置されており、残余容量を考慮しながら計画的に新しい施設の整備が進められて いる。
 
5 焼却施設からのダイオキシンの排出状況
 市町村が設置するごみ焼却施設の排ガス中のダイオキシン類の濃度は、平成9年度に行った実態調査の結果、緊急対策が必要とされる基準(80ng-TEQ/Nm3)を超えた施設はなかった。
 しかしながら、恒久対策の基準を達成していない施設もあることから、市町村等においては、一層の維持管理の徹底や施設の改善等の対策を講じているところである。(表2―5―7)
 
 表2―5―7 ごみ焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度(平成9年度実績)

  設置主体
 

  施設名
 
能力

(t/日)

炉形式
 
ダイオキシン類濃度
(ng-TEQ/Nm3)
H14.12から
適用される基準値
(ng-TEQ/Nm3)
福井市 クリーンセンター  345 全連   5.30   1.0
福井坂井地区広域
市町村圏事務組合
清掃センター
 
 222
 
全連
 
 0.47
 
 5.0
 
大野市 クリーンセンター   50 機バ  48.00  5.0
勝山市 クリーンセンター  40 機バ  7.50  5.0
和泉村 清掃センター   6 固バ  26.00  10.0
南越清掃組合
 
第1清掃センター  100 准連  1.70  5.0
第2清掃センター  30 機バ  3.40  5.0
鯖江広域衛生施設
組合
鯖江クリーンセンター
 
 120
 
准連
 
 5.70
 
 5.0
 
敦賀市 清掃センター  100 准連  29.00  5.0
美浜・三方環境衛生 組合 美方清掃工事
 
 30
 
機バ
 
 3.80
 
 5.0
 
小浜市 清掃センター  40 機バ  2.50  5.0
上中町 環境美化センター   6 固バ  50.00  10.0
名田庄村 清掃センター   3 固バ  33.00  10.0
高浜町 清掃センター  30 准連  16.00  10.0
大飯町 エコターミナル  14 機バ  1.30  10.0




















 
 
 (注)ng:ナノグラムと読む。1ナノグラムは10億分の1グラム
   TEQ:毒性等量。ダイオキシン類は多くの異性体を持ち、それぞれ毒性が異なる。
     異性体の中で最も毒性の強い2,3,7,8‐TCDDの毒性を1とし、各異性体の毒性を毒性等価係数により換算した量
   Nm3:Nはノルマルと読む。0℃、1気圧の状態の気体の体積
 
 
第2節 産業廃棄物
 
1 県内発生状況
(1) 県内総発生量
 平成7年度に本県で発生した産業廃棄物は2,911千トンであり、平成2年度の2,052千トンと比較すると、約1.4倍に増加した。
  (注)産業廃棄物の実態調査については、県内事業所から産業廃棄物排出事業所を抽出し、アンケ−ト調査により実施している。調査は5年ごと実施しており、直近のデ−タは、平成7年度値である。
     なお、従来は汚泥の発生量を脱水後の値で捉えていたが、平成7年度値は他県と同様、脱水前の値で捉えることとしたため、それに合わせ、平成2年度値も脱水前の値に改訂した。
 
(2) 種類別発生量
 産業廃棄物の発生量を種類別にみると、汚泥の発生量が最も多く、1,362千トン(全発生量の47%)、次いで、がれき類707千トン(24%)、廃プラスチック類179千トン(6%)、家畜ふん尿165千トン(6%)、紙くず 137千トン(5%)、ばいじん115千トン(4%)の順で、この6種類で全体の92%を占めている。(図2−5−8)
 (注)「がれき類」とは、従来「建設廃材」と呼んでいたものであるが、厚生省は平成10年6月17日以降、「がれき類」という呼び方に変更した。
 
  図2−5−8 種類別発生量構成比  [→図]
 
 
(3) 業種別発生量
 産業廃棄物の発生量を業種別にみると、製造業が最も多く、927千トン(全発生量の32%)、次いで、建設業842千トン(29%)、電気・水道業635千トン(22%)の順となっており、この3業種で83%を占めている。 (図2−5−9)
 
  図2−5−9 業種別発生量構成比  [→図]
 
 
(4) 地域別発生状況
 地域別発生量をみると、福井坂井地域が最も多く、1,795千トンで全発生量の62%を占めている。次いで、嶺南地域424千トン(15%)、丹南地域396千トン(14%)奥越地域296千トン(10%)である。(図2−5−10)
 
  図2−5−10 地域別発生量構成比  [→図]
 
 
2 処理処分状況
(1) 処理処分状況
 発生量2,911千トンの処理処分状況は、資源化量 1,136千トン(39%)、減量化量 1,502千トン(52%)、最終処分量 264千トン(9%)等となっている。
 平成2年度と比較すると、再生利用等の資源化が進み、最終処分量が大幅に減少している。(図2−5−11)
 
(2) 種類別処理状況
 汚泥については、 1,362千トンの発生量があるが、75%が減量化され、最終処分量は6%となっている。
 がれき類については、 707千トンのうち、82%が資源化されている。
 廃プラスチック類では、 179千トンのうち、80%が減量化されている。このように高い率になっているのは、廃プラスチック類の発生量のうち74%を占めているパルプ・紙製造業において、99%が減量化されている ことによる。(図2−5−12)
 
  図2−5−11 平成7年度の処理処分状況  [→図]
 
  図2−5−12 平成7年度の種類別処理状況  [→図]
 
(3) 最終処分状況
 最終処分量は 264千トンで、発生量の9%にあたる。
 最終処分量を種類別にみると、がれき類が115千トン(全最終処分量の44%)で最も多く、次いで、汚泥が84千トン(32%)、廃プラスチック類が18千トン(7%)の順となっている。(図2−5−13)
 
  図2−5−13 種類別の最終処分量の構成比  [→図]
 
 
3 広域移動状況
 平成8年度の産業廃棄物収集運搬業者の実績報告によると、県外から県内に搬入された産業廃棄物は71千トンであり、県内から県外に搬出された産業廃棄物は82千トンである。(表2−5−14)
 
 表2−5−14 平成8年度の県内への搬入量および県外ヘの搬出量 (単位:千トン)



 
 種 類 汚泥 燃え殻 廃プラ類 がれき類 鉱さい その他 特管産廃 合 計
 搬入量  31   2  21   9   2   4   2 71
 種 類 汚泥 ばいじん がれき類 廃 油 廃プラ類 その他 特管産廃 合 計
 搬出量  17   9   3  26   6  10  11 82



 
 
4 産業廃棄物処理業の状況
 産業廃棄物の処理は、原則的には排出事業者自ら行わなければならないが、処理業者は、排出事業者から処理の委託を受けて産業廃棄物の処理を適正に行うことにより、排出事業者処理責任を補完する役割を担っている。
 本県における産業廃棄物処理業の許可件数は、平成10年3月末日現在、665件で、これを業の種類別にみると、収集・運搬業のみ(特別管理産業廃棄物の収集運搬業を含む。)の許可が552件で、全体の83%を占めている。 (表2−5−15)
 
 表2−5─15 産業廃棄物処理業許可件数   (平成10年3月31日現在)

許 可 区 分
 
収集運搬
のみ
 
中間処理
のみ
 
中間処理・
収集運搬
 
最終処分・
収集運搬
 
最終処分・
中間処理
 
最終処分・
収集運搬・
中間処理
合計

 
産廃許可業者数   467   21    72      4     3    4  571
特管産廃許可業者数    85   2    6    0    1    0  94




 
 
5 産業廃棄物処理施設の状況
 廃棄物処理法第15条に基づく許可を受けている産業廃棄物処理施設数は、平成10年3月末現在で 132施設である。
 産業廃棄物処理施設のうち、焼却施設(汚泥、廃油、廃プラスチック、その他)は71施設で、全許可施設の約5割を占めている。これらの施設は、廃棄物処理法に基づき、ダイオキシン削減対策講じていく必要がある。
 また、平成10年3月現在、埋立て中の産業廃棄物最終処分場は13施設であり、そのうち、安定型が9施設、管理型が4施設である。管理型4施設のうち2施設は、事業者自らが排出する産業廃棄物を埋立処分する最終 処分場(いわゆる自社処分場)であるため、一般の排出事業者が搬入できる管理型処分場は、県内では2施設である。(表2−5−16)
 
 表2−5─16 県内における産業廃棄物処理施設設置状況
       (廃棄物処理法第15条に基づく許可施設)(平成10年3月31日現在)












 
   施設名   許可対象となる処理能力 施設数
@汚泥の脱水処理施設
A汚泥の焼却施設
B廃油の油水分離施設
C廃油の焼却施設
D廃酸・廃アルカリの中和施設
E廃プラスチックの破砕施設
F廃プラスチックの焼却施設
Gシアン分解施設
H産業廃棄物焼却施設
I最終処分場(安定型)
J最終処分場(管理型)
    10m3/日超
5m3/日超、200kg/時以上または火格子面積2u以上
    10m3/日超
1m3/日超、200kg/時以上または火格子面積2u以上
    50m3/日超
     5t/日超
  0.1t/日超または火格子面積2u 以上
     すべて
  200kg/時以上または火格子面積2u以上
     すべて
     すべて
 34
 10( 4)
 3
 8( 7)
 1
 7
 52(17)
 4( 1)
 24(14)
  9
  4
   合計    132












 
      ※・@〜H:中間処理施設 I、J:最終処分場
       ・( )は重複数
       ・合計の数字については重複数があるため合致しない。
       ・最終処分場の数は、現在埋立中のものである。
 
 県と福井市の出資により設立された(財)福井県産業廃棄物処理公社においては、破砕施設、焼却施設と管理型・安定型の最終処分場を有している。
 
  表2−5─17(財)福井県産業廃棄物処理公社の施設概要(平成10年3月31日現在)




 
  破砕施設
 
 硬質系1式(能力5t/時)
 軟質系1式(能力1t/時)
  焼却施設  1式(能力5t/時)
  最終処分場
 
 管理型  面積 94,700m2  容積 537,000m3
 安定型  面積 23,100m2  容積 90,450m3




 
 
 

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