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名 称 |
三ノ峰周辺の植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
亜高山落葉広葉高木林・亜高山草原・雪田植生 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
大野市:六本檜〜三ノ峰避難小屋周辺(23,24,37) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
三ノ峰(2128m )は,白山山系の2000m を超す山嶺の中では南端に位置し,その南方には,二ノ峰(1962m ),一ノ峰(1839m )が連なっている.頂上は福井県に含まれないため,本県で最も標高の高いところは,山頂からやや南に下がった三ノ峰避難小屋の立つ標高2095m 地点となる.上小池からの登山道沿いでは,六本檜付近から山頂にかけて自然植生がよく残り,ブナ林からダケカンバ林,風衝低木林,亜高山高茎草原へと垂直的に植生が変化していく様子が明瞭に認められる.ダケカンバ林は,標高1500m 付近から出現し,主に石川県側でよく発達するが,本県側でも黒坊平に林分が見られる.三ノ峰の植物相で特筆すべき要素は,剣ケ岩(標高1671m )付近より上部に出現する北方系の種である.白山の高山帯は,日本の高山帯の最西端となるため,ハイマツをはじめクロユリ,ハクサンコザクラ,アオノツガザクラなど100 種を越える北方系の植物がこの地域を分布の西限もしくは南限としている.これらのうち70 種以上が本県にまで分布を広げているが,三ノ峰はその多くを産し,学術的にも重要な位置にあるといえる.県内では三ノ峰にだけ分布が知られている種も多く,ハイマツ,イワギク,ハナイカリ,キバナノコマノツメ,グンナイフウロ,タカネバラ,クルマユリ,ミヤマダイコンソウ,ミヤマハタザオ,イワベンケイ,キンバイソウなどがある.三ノ峰は,気候帯としては亜高山帯に属するが,高山帯の自然植生であるハイマツ低木林や雪田草原も小規模ながら見られる.雪田は避難小屋から岐阜県側に少し下りた地点にあり,夏に雪がとけた場所には,ハクサンコザクラ,クロユリなどの雪田特有のお花畠が成立する. | ||
保護の現状 と留意点 |
白山国立公園特別保護地区に指定されているため,開発等の心配はない.また,登山者も現在のところそう多くはないため,避難小屋周辺を除けば踏圧による被害も少ない.ただし,人目が少ないだけに貴重な植物が採集される危険性があることは,今後の保護を考える上で留意すべきであろう.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |