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名 称 |
仏峠付近の針葉樹林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
温帯針葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
和泉村:荷暮、野野小屋谷(20,2122) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
和泉村の荷暮集落は,九頭竜ダム建設に伴い一時は廃村となった.しかし,近年,夏期に帰村する人が多くなり,平成7 年には電気もひかれ,村に賑わいが戻ってきている.荷暮川を野野小屋谷の方にさかのぼると,痩尾根や急斜面に針葉樹が目立ってくる.針葉樹がまとまった範囲に優占する代表的な林分は仏峠付近や滝波山の尾根に見られる.仏峠付近では,高木層の優占種としてヒノキ,キタゴヨウ,その他にコウヤマキなどが混生している.林間にはマンサク,ソヨゴ,シロモジ,マルバノキ,ホンシャクナゲ,リョウブ,ネジキなどが多く生育している.林床には乾性の立地を反映してサラサドウダン,ウラジロヨウラク,ゴヨウツツジ,バイカツツジ,ウスノキ,アクシバなどのツツジ科植物の他,イワカガミ,シノブカグマなどが見られる.組成的な特徴としてマンサク,シロモジ,マルバノキなど太平洋側を中心に分布する種が高い頻度で出現することがあげられる.植物社会学的には,シノブカグマ,コウヤマキが出現することからシノブカグマ−ヒノキ群集に属すると考えられる.この森林が成立する立地は,土壌層の薄い痩せた尾根や岩上であり,植物にとっては厳しい生育環境である.このことは,調査林分に見られた径11cm のヒノキの切株の年輪が,90 年を越えていたことからも読み取れる.県内で,このような針葉樹林が発達しているのは本地域の他には,屏風山(大野市),蝿帽子峠(大野市),大谷トンネル周辺(和泉村),金草岳(池田町)などであるが,いずれも小規模なものである. | ||
保護の現状 と留意点 |
急な斜面に成立しているが,所々に大径木の切株が見られ,かつてはヒノキなどが切り出され,利用されていたことが伺える.現在はあまり人手が加わっている様子は見られないが,林道が整備され容易に入山できることから,シャクナゲなどの鑑賞価値の高い植物が乱獲されることも懸念される.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |