ロシア船籍タンカー油流出事故に関する
環境保全技術対策プロジェクトチームについて


  1. 設置
     1月16日、福井県は、油流出事故に伴う環境影響に関する実態の把握と環境保全対策等について技術的な観点から情報を収集整理し、被害の拡大防止、環境保全を行うため、3部局8機関によるプロジェクトチームを設置しました。

  2. 検討事項
    (1)油流出による環境汚染状況の調査および把握
    (2)油流出による環境影響に関する情報収集および解析
    (3)油流出による環境影響予測
    (4)生態系等自然環境および漁場環境の回復・復元等に関する技術的検討

  3. 経過
    1月16日(木) プロジェクトチーム発足(これまでに6回の会議を開催)
            (環境政策課、自然保護課、水産課、衛生指導課および
             各試験研究機関の技術担当職員12名で構成)
    2月13日(木) 環境、自然、水産など6名の専門家をアドバイザーとして委嘱
            (上記チームとの合同会議を2回開催)
            (調査方法、調査結果の評価などについて助言を受けた。)

  4. 調査結果と今後の取り組み(平成9年6月13日)
    区分 調査地域これまでの取り組み 今後の取り組み
    調査結果と評価
    環境大気安島周辺
    5地点
    ・漂着直後、一時的にやや高い濃度が認められたが、以降一般環境と同レベルとなった。 調査終了
    水質
    底質
    全県域26
    〜30地点
    ・油分は低レベルの濃度もしくは不検出であり、油処理剤は全地点とも不検出であった。
    しかし、油分および重油含有成分が検出された地点があるため、調査を継続する。
    継続調査
    自然水鳥県下全域 ・水鳥の保護、洗浄、リハビリ、放鳥を実施した。 一般の傷病鳥獣として対応
    植生雄島、三里浜
    の2地点
    ・一部、海浜植物への重油付着が認められたが、その生育への影響については、継続調査を行う必要がある。 継続調査
    水産磯根資源全県域20地点 ・漁場における重油は、水中部ではほとんど確認されなかった。
    ・イワノリは油に覆われ、ほとんどの地点で商品価値がなくなっていると認められた他、一部の地区の潮間帯や潮上帯で動物の種類数の減少や海藻の変色がみられた。
    ・全体としては、サザエ、ウニ等水産生物の個体数に著しい変化はみられず、食味テストでも油臭は感じられなかった。
    ・また、国が実施した水産生物の油成分分析結果でも、魚類、貝類、海藻類について明瞭な油分の蓄積は認められず、油処理剤についても、含有量は油の漂着していない地域と同程度であった。
    ・サザエ、ウニ等の生育・成熟や繁殖、餌生物の状況等については、さらに継続した調査が必要である。
    継続調査
    廃棄物回収油県下全域 ・6月11日までに約18,800klが回収され、海上災害防止センターにより広島県の処理業者などへ搬出された。 適正処理の指導

  5. 国との連携
    環境庁、水産庁と協力して調査を進めており、今後とも情報交換など連絡を密にしていく。
    <参考> 環境庁:関係府県連絡会議(1月17日)、環境影響評価総合検討委員会(2月10日、4月25日)、海域・海浜生物影響検討委員会(2月27日、5月13日)、海鳥類影響調査検討会(2月5日)
    水産庁:現地連絡協議会(2月6日、6月3日)