福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 東尋坊地域で観察できる地質構造
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
三国町:米ケ脇(651,652,693,694)
選定理由 特異な地質構造が見られる地点,その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  荒磯(ありそ)遊歩道と呼ばれる散策道に沿って多様な海浜植物が生育している.安島の北の休憩所では大きな看板に海浜植物が図示されている.自然に関する解説掲示板や地域に関係する文学者の言葉を彫り込んだ碑も多く配置されている.荒磯遊歩道から急峻な崖を海岸まで下る階段がいくつも整備されており,荒磯遊歩道での地形・植物の観察のみならず,海岸での地質の観察の両方が可能である.柱状節理で有名な東尋坊を中心とした地域一帯は様々な地質・地形の観察に適している.東尋坊より南側では1,500 万年前の火山活動を思い起こさせる溶岩,火山性堆積岩,火山砕屑岩などがよく露出している.火山活動に伴う変動地域に堆積した地層は曲がったり,切れたりしている.特に,製塩場跡(地図上の矢印NO.11)では,安山岩溶岩が熱いまま粘土質堆積物の中に入り込み,急激に冷却した様子(冷却縁)と,その後に起った東尋坊の柱状節理を持つ安山岩がほぼ水平な断層(衝上断層)で乗り上げている様子が見られる.東尋坊のすぐ北側では,東尋坊安山岩と堆積岩との接触関係が現れており,そこでは,安山岩が堆積岩に貫入したことを示す.東端では本安山岩が米ケ脇累層下部層(礫岩層)へ分岐して貫入している.松島の海岸(●13)では,車石と呼ばれる放射状の節理を持つ玄武岩が存在する.このように東尋坊から松島までの間にもいくつもの地質,地形観察地点がある.本地域においては新生代新第三紀中新世の米ケ脇累層(●14)の下部層とそのスランピング構造,堆積岩岩脈,ピソライト(火山豆石)及び下部層への火山岩の貫入などが観察できる.凝灰岩層が大きくうねるように折れ曲がり,地層が逆転していたり,礫が下位の地層に入り込んでいたりしているのがよく観察できる.また,本層への東尋坊安山岩の貫入状態が観察できる.特に貫入部では,緻密な急冷周縁相や下部層が熱変質して黒色で硬質化している.この地点は,米ケ脇累層からの唯一の貝化石産地であり,化石による地質時代決定と堆積環境の推定に大きく貢献したところである.
保護の現状
 と留意点
 国定公園特別保護地区及び天然記念物に指定されており,既に規制にかかっている.今後とも,海岸露頭であるので,護岸工事等に当たっては露頭をなくさないよう配慮が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)