福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
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名   称 ウミスズメ
学   名 Synthliboramphus antiquus
分 類 1 鳥類
分 類 2 チドリ目ウミスズメ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
  • レッドリスト(福井県):県域絶滅危惧T類 / レッドリスト(環境省):絶滅危惧TA類(CR)
解   説  種としては,太平洋をとりまく地域,日本海沿岸,千島列島,カナダ沿岸にかけて繁殖する.冬期は南下し,中国東岸部から台湾沿岸あたり,また,北アメリカ大陸のカリフォルニア沿岸まで現れる.日本では,北海道の天売島と岩手県の三貫島で少数が繁殖し,冬期はほぼ全国の沿岸に現れる.本県でもそれまでに稀に記録されていたが,1997 年1 月に起こったナホトカ号沈没に伴う重油流出事故で,多くの個体が犠牲となり記録されている.繁殖期には岩礁や離島に上陸するが,それ以外はほとんど洋上で生活する.岸から数km の沖合にいるが,遠く洋上に出ることはなく大陸棚の範囲内に生息する.時々沿岸に近づき,海の荒れた日などに港湾内にはいってくることがある.洋上に浮いて活発に潜って餌を捕る.主としてオキアミなどのプランクトン性の甲殻類やイカナゴなどの小魚類も食べる.
保護の現状
 と留意点
 現在,「鳥獣保護法」により本種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.主に中部以北で越冬するので,本県の海上では少数しか渡来しないと考えられるが,生態的な情報の少ない種である.また,個体数の減少や絶滅が危惧されている種でもあるので,詳細な調査が必要である.北日本の沖合で行なわれる,サケ・マス流し網漁やアカイカ流し網漁で混獲による死亡は確認されている.一方,本県における漁業での混獲の情報はないが,注意は必要である.また,重油流出事故で多くの個体が犠牲になったように,化学物質や油類による海洋汚染は致命的である.事故の場合の救護体制の整備が求められる.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)