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名 称 |
野坂岳のブナ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市:野坂岳(869) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
野坂岳(913.5m )は,敦賀市街の南西部に位置する同市では最も高い山である.山体は,ほとんど花崗岩からなり,南は県境の三国山(876.3m ),乗鞍岳(865.8m )に連なっている.山頂からは敦賀湾,若狭湾をはじめ伊吹山,比叡山,加越山地,白山が一望できる.敦賀市内より見ると富士山に似ていることから,「敦賀富士」とも呼ばれ,名勝柴田氏庭園の借景にも使われている.また,登山口付近には野坂いこいの森,敦賀市少年自然の家があり,多くの市民に親しまれている.近年,山頂付近まで伐採が進み,スギ植林地に置き替わっているが,山頂付近ではかなり広範囲にブナ林が広がっている.萌芽林ではあるが,胸高直径50cm ほどのものも見られる.林冠には優占するブナの他にミズナラが混生し,林間にはマルバマンサク,ブナ,リョウブ,クロモジ,オオカメノキなど,林床にはクロモジ,イヌツゲ,アセビ,ツリガネツツジなどが生育している.中でも嶺北のブナ林では見られないアセビが生育していることは興味深い.本地域の植物相には,暖地性要素として,ツクバネガシ,ウラジロガシ,シラカシ,アカガシ,カナクギノキ,ハゼノキ,ガンピ,ウラジロ等,日本海地域要素としては,ツノハシバミ,トキワイカリソウ,エゾユズリハ,マルバマンサク,ハイイヌツゲ,ヒメモチ等が見られる.また,北東限種として,モミジチャルメルソウが見られる.野坂岳の林相は,嶺北に広がるヒメアオキ−ブナ群集につながる組成を見せながら,かなりの暖地性の植物や本地域を分布北限とする植物を含み,たいへん貴重と思われる. | ||
保護の現状 と留意点 |
場所により植林がかなり進んでいるが,これ以上の植林が行われないことが望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |