Ciconia (福井県自然保護センター研究報告) データベース

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表題 オオタカ Accipiter gentilis の生息状況と河川区域内の植生環境との関係
著者名 柳町邦光
掲載巻 Ciconia Vol.10
発表年 2002
分類 鳥類
要約  絶滅危惧U類に指定されているオオタカは,冬期間の主な餌場として河川区域を利用しているが,河川改修や樹木の伐採等によりその生息環境が狭められている.河川敷の樹木環境とオオタカの生息環境との関係を明らかにするため,福井市内の足羽川で1998 年11 月〜2000 年3 月までの冬期2 シーズンに亘って,樹木のある河川区域約100ha に飛来するオオタカの出現頻度を調査した.オオタカが餌場として利用している環境は,河川区域の全樹木植被度が(m+σ=12.07%)を超えたJ,K,L,N およびここに挟まれたM の5 区域で出現頻度が高かった.またこれらの区域の中高木の植被度はm=2.6%を超えている樹木環境であった.特に中高木の被植度とオオタカの出現頻度の間には正の相関があった.しかし,県道の橋や歩道橋など人間社会の活動域の付近では,100〜200m の範囲でオオタカに影響を与えていると思われる.河川区域における樹木帯には治水上の機能および環境上の機能が備わっていることから,それらを有効に導き出すような樹木管理が必要である.それによって河川環境の多様性が保全され,冬期に餌場として利用する猛禽類を保護できるものと考えられる.

Copyright (C) 福井県自然保護センター
出典「Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)」(福井県自然保護センター発行)