Ciconia (福井県自然保護センター研究報告) データベース

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表題 福井県大野市平家平の鳥類相とその保全
著者名 大迫義人・三原学
掲載巻 Ciconia Vol.10
発表年 2002
分類 鳥類
要約  1997 〜1999 年度の3 月を除く2 月から11 月まで,福井県大野市の平家平において鳥類相とその生息状況について調査を行なった.定線センサス,定点観察,定点捕獲および任意観察の計70 日の調査で,8 種のワシタカ類を含む計11 目27 科82 種の鳥類が記録された.そのほとんどは低山帯の森林を主な生息地とする鳥類であったが,亜高山帯を繁殖地とする種も記録された.また,環境省指定の「日本の絶滅のおそれのある野生生物」の絶滅危惧IB 類のクマタカ,イヌワシ,準絶滅危惧のミサゴ,ハチクマ,ハイタカ,ノジコ(?)が,福井県が日本の繁殖地のほぼ西限となるビンズイ,カヤクグリ,マミジロ,クロジ,ウソ,ホシガラスが記録された.繁殖の確認された種として計9 種が,留鳥として計21 種が,夏鳥として計22 種が,冬鳥として計17 種が記録された.また,観察密度の高い種は,春夏期にはミソサザイ,コルリ,ウグイス,ヒガラ,シジュウカラ,ホオジロなどで,秋冬期にはヒヨドリ,コガラ,アトリ,マヒワなどであった.秋期には,渡りをするイワツバメ,ツグミ,アトリ,マヒワ,カケスの大きな群れも観察された.生態系ピラミッドの上位に位置するワシタカ類が計8 種も記録されたこと,低山性と亜高山性,深山性,広葉樹林性と針葉樹林性の鳥類が生息していることから,当地の鳥類相は多様性が高いといえる.そのため,当地の現在の環境を保全すること,希少種や渡り鳥の調査を継続すること,そのための施設を造ることが求められる.

Copyright (C) 福井県自然保護センター
出典「Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)」(福井県自然保護センター発行)