第4章 地球環境保全への貢献
 
第1節 地球環境問題への取組み
 
 平成4年6月に、ブラジルのリオデジャネイロで「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)が開催された。この会議において、「環境と開発に関するリオ宣言」、「アジェンダ21」が発表され、持続可能 な開発に向けての世界的な合意が形成されるなど、地球環境保全への取組みが進められている。(資料編表8−2
 一方、国内においては、平成元年に「地球環境保全に関する関係閣僚会議」が設置され、「アジェンダ21行動計画」(平成5年)や「生物多様性国家戦略」(平成7年)などを決定しており、平成9年6月には 「地球環境保全に関する当面の取組−環境と開発に関する国連特別総会を控えて−」を申し合わせている。
 また、地方においては、国の施策に参加・協力するとともに、県民・事業者・行政が地球環境問題の重大さを十分に認識・理解した上で、日常の行動を見直し、実施可能なものから環境に配慮した行動に変えて いくような具体的な施策を講じることが重要である。
 こうしたことから、本県では、平成2年に関係20課で組織する「福井県地球環境問題連絡会議」を設置し、県における地球環境問題に対する取組み方策等についての検討を重ねてきたが、今後は、平成10年10月 に設置した「環境政策推進会議企画調整部会」を通して、より効率的な対策の推進に努めていく。
1 地球温暖化の防止
(1) 地球温暖化の防止に関する内外の動向
 国においては、地球温暖化対策を総合的に推進するため、平成2年10月、地球環境保全に関する関係閣僚会議において、地球温暖化防止行動計画を決定した。国の地球温暖化防止行動計画の概要は表3−4−1 のとおりである。
 
 表3−4−1 地球温暖化防止行動計画の概要











 


二酸化炭素の

排出目標

 
 官民挙げての最大限の努力により、行動計画に盛り込まれた広範な
対策を実施可能なものから着実に実施し、一人当りの二酸化炭素排出
量について2000年以降概ね1990年レベルで安定化を図る。
 さらに上記と相まって、太陽光、水素等の新エネルギー、二酸化炭
素の固定化等の革新的技術開発等が、予測される以上に早期に大幅に
進展することにより、二酸化炭素排出総量が2000年以降概ね1990年レ
ベルで安定化するよう努める。


講ずべき対策

 
 20年間(1991年〜2010年)に構ずべき対策として、二酸化炭素排出抑
制対策、メタンその他の温室効果ガスの排出抑制対策、森林等の二酸

化炭素吸収源対策、科学的調査研究、観測・監視、技術開発およびそ
の普及、普及・啓発、国際協力等広範な対策を掲げている。











 
 
 また、平成6年に発効した「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づき、条約の目的に沿った政策および措置ならびに温室効果ガスの排出と吸収に関する目録等をまとめた日本国報告書を平成6年9月に、 第2回日本国報告書を平成9年11月に条約事務局に送付している。
 平成9年12月には、1日から10日までの日程で「気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)」が京都において開催され、法的拘束力のある数値目標を含む京都議定書が 採択された。京都議定書の概要は表3−4−2のとおりである。
 京都議定書の採択を受けて、国では、中央環境審議会の「今後の地球温暖化対策の在り方について」の中間答申を踏まえ、平成10年10月、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定されている。
 
 表3−4−2 京都議定書の概要






































 
数量目標(第3条)
 @ 対象ガス  : 二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFC、PFC、SF6
 A 基準年   : 1990年(平成2年)
 B 吸収源の取扱: 1990年以降の新規の植林、再植林および森林減少を対象とした温室効果ガス吸収
         量を加味
 C 目標期間  : 2008年(平成20年)から2012年(平成24年)
 D 削減目標  : 先進国全体の対象ガスの人為的な総排出量を、目標期間中に基準年に比べ全体で
         少なくとも5%削減する。
           日本の割当量 基準年の94%(6%削減)
 E バンキング : 目標期間中の割当量に比べて排出量が下回る場合には、その差は、次期以降の目
         標期間中の割当量に加えることができる。
政策・措置(第2条)
 先進国は数量目標を達成するため、例えば、エネルギー効率の向上等の措置をとる。
共同達成(バブル)(第4条)
 数量目標の達成の約束を共同で果たすことに合意した先進国は、これら諸国の総発生量が各締約国の
割当量の合計量を上回らない場合には、その約束を果たしたとみなされる。
排出権取引(第16条その2)
 先進国は、議定書の約束を達成するために、排出権取引に参加できる。条約の締約国会議は、排出権
取引に関連する原則やルール、ガイドライン等を決定する。数量目標の達成を果たすため、すべての先
進国は、他の先進国から割当量を移転または獲得することができる。
 京都会議においては、排出権取引に関し、第4回締約国会議において関連規則などの作成を行うこと
などを決めた。
排出削減ユニット(第6条)
 数量目標を達成するため、先進国は、発生源による人為的排出を削減すること、あるいは吸収源によ
る人為的除去を増進することを目的としたプロジェクトによる排出削減ユニットを他の先進国に移転し、
または他の先進国から獲得することができる。
 先進国と開発途上国との共同実施は、クリーン開発メカニズムの下で行うことができる。
クリーン開発メカニズム(第12条)
 クリーン開発メカニズムは、開発途上国の持続可能な開発と気候変動枠組条約の目的達成を支援し、
かつ先進国の数量目標の達成を支援するものである。
 本メカニズムにより、開発途上国は排出削減につながるプロジェクト実施による利益が得られ、先進
国はこうしたプロジェクトによって生じる「承認された削減量」を自国の数量目標の達成のために使用
できる。
不履行(第17条)
 本議定書の第1回締約国会合で、条約の不履行に対する適正かつ効果的な手続および仕組み、例えば、
不履行の原因、態様、程度や頻度を考慮に入れた不履行の内容に関するリスト等について承認される。
発効要件(第24条)
 本議定書を批准した先進国の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全先進国の合計の排出量の55%
以上を占め、かつ、55か国以上の国が批准した後、90日目に発効する。






































 
 
(2) 県における取組み
 県では、地球温暖化防止京都会議が21世紀の地球温暖化防止に関する極めて重要な国際会議であり、議長国である日本に課せられた責任も重大であるとの認識から、京都会議の成功に向けて種々の取組みを行った。
 まず、平成9年11月20日には、知事による「地球温暖化防止京都会議の成功に向けて」と題したアピールを表明した。
 また、「ストップ!地球温暖化〈列島縦横エコリレー〉全国実行委員会」による自転車をバトンとした全国縦断リレーに協力した。
 さらに、京都会議の初日である12月1日には、福井市とともに福井駅前で「地球温暖化防止街頭キャンペーン」を実施し、通行人にパンフレットや知事のアピールを配布し、京都会議を契機とした地球温暖化 防止のための行動を呼びかけた。
(3) 地球温暖化対策推進計画
 県では、地球温暖化防止京都会議の成果を受け、京都議定書で新たに定められた温室効果ガスの削減目標を踏まえて、地球温暖化対策推進計画の策定に取り組んでいく。策定に当たっては、平成11年度に策定する こととしている新・省エネルギーに関するビジョンやごみ減量化・リサイクル日本一に関する推進計画など、関連計画との整合を図っていく。
(4) 二酸化炭素の排出の少ない生活様式の普及啓発
 二酸化炭素の排出の少ない生活様式の定着をめざして、平成9年6月から「エコライフ 100万人の誓い−私が止める温暖化−」を実施している。これは、「人を待つときや荷物の積みおろしをするときは、 自動車のエンジンを切る」といった地球温暖化の防止につながる12の日常生活における行動の中から、自分が実践する行動を選び、誓いとして県に登録する事業である。
 県では、この取組みを県民に広く呼びかけるため、「ふくい環境展」や「環境にやさしい社会づくりフォーラム」でのチラシの配布、環境科学センターの「みどりネット」による広報を行った。市町村等の 協力を得て、こうした普及活動を行った結果、 100万人の目安となる「人口1万人当たりの参加者数 100人」を平成9年10月末に全国のトップを切って達成した。また、参加者数の人口比は、11月まで本県が全国1位 であり、最終報告(平成10年3月末)では7位であった。
 本県に報告のあった参加者数は、平成10年3月末現在で 9,115人である。このうち、県内在住の参加者 8,983人による誓いが実行された場合の効果を環境庁の手法によって試算すると、年間の二酸化炭素の 排出削減量は約 503トン(炭素換算では約 137トン)となる。12の誓いと誓い別の県内在住参加者数は図3−4−3のとおりである。
(5) 二酸化炭素以外の温室効果ガス排出抑制対策
 フロンについては、主としてオゾン層の保護の観点から、関係業界・市町村等で組織する「福井県フロン回収推進会議」を活用し、市町村等のゴミ処理場や再生資源事業場でのフロン回収機の整備やフロン 回収協力事業所の認定制度を設けたほか、回収フロンの処理場への一括輸送体制の整備等を推進している。
 また、揮発性の高い炭化水素類については、平成8年に県公害防止条例を全面的に改正し、貯蔵施設等を規制の対象として平成9年3月から施行した。
 
 
 図3−4−3 誓い別県内在住参加者数  [→図]
 
        (平成10年3月末現在で県に報告のあったもの)
 
 [エコライフ100万人の誓い −私が止める温暖化−]












 
 1 レジ袋やブックカバーを断り、自分の買い物袋やカバンなどを利用する。
 2 缶、ビン、スチロール・トレーなどは分別し、リサイクルする。
 3 冷暖房の温度設定を夏は28度以上、冬は20度以下にする。
 4 蛍光灯や電気機器はこまめに消し、使わないときには主電源を切り、コンセントも抜く。
 5 近くの買い物などには歩くか自転車で行き、休日の外出には公共交通機関を使う。
 6 洗面や歯磨きをするときなどは、こまめに水をとめる。
 7 食器洗いなどの給湯の温度は冷たく感じないギリギリの低めの温度に設定する。
 8 日用雑貨や台所用品などにはエコマークのついた商品を購入する。
 9 食材をムダなく使い、省エネを心がけて調理するエコクッキングを行う。
10 環境家計簿をつけて、環境にやさしい日常生活となっているかをチェックする。
11 人を待つ時や荷物の積みおろしをする時は、自動車のエンジンを切る。
12 3階程度の昇り降りはエレベーターを使わず、階段を使う。
自分 自分で考えた誓い












 
 
2 オゾン層の保護
(1) オゾン層保護に関する内外の動向
 オゾン層を保護するための国際的な取組みとして、昭和60年に「オゾン層の保護のためのウィ−ン条約」が締結され、同条約に基づき採択された「モントリオール議定書」によって、フロンの生産規制が 取り決められた。
 これによって、オゾン層の破壊力が大きい特定フロンCFCについては、平成7年末で生産が全廃され、また、代わって使用され始めた代替フロンHCFCについても2020年末までに順次生産が廃止される ことになっている。
 我が国内では、昭和63年に「オゾン層保護法(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)」が制定され、モントリオール議定書に沿ったフロンの生産規制をはじめ、排出の抑制や使用の合理化等 を推進している。
 一方、冷蔵庫やカーエアコンの冷媒として既に使用されているフロンについては、機器の廃棄に伴い、大気中に放出されるため、地方自治体や自動車業界等の関係団体を中心に、フロン回収に取り組んでいる。
(2) 県における取組み
 平成7年に、学識経験者・消費者団体・関係業界・市町村等で組織する「福井県フロン回収推進会議」を設置し、平成7年度は廃家電品、平成8年度は冷凍空調機およびカーエアコンについて、それぞれ冷媒用 フロンの回収システムづくりに向けた条件や問題点等を検討し、フロン回収のあり方として取りまとめた。(図3−4−4)
 この検討結果を踏まえ、市町村・一部事務組合を対象に、フロン回収機を購入する際の補助制度を平成7年度から開始しており、平成9年度までに県内14か所のすべての粗大ゴミ処理場がフロン回収機を整備した。
 フロン使用機器を取り扱う関係業界に対しても、積極的にフロン回収に取り組むよう働き掛けるとともに、平成8年10月から、廃冷蔵庫等が多く集積する再生資源事業所等にフロン回収機の貸出しを行っている。
 また、消費者にフロン回収事業所を知ってもらい、フロン回収の輪を広げていくことを目的に、平成9年4月から、フロン回収協力事業所の認定制度を開始した。
 認定の対象は、自らフロン回収機を整備する事業所のほか、フロン回収を回収事業所に依頼する家電販売店等としており、認定事業所に対してシールを配布するとともに、インターネット(ホームページ http://www.erc.pref.fukui.jp/ )を通じて、事業所名を公表している。
 こうして市町村や関係事業所で回収されたフロンは、県の調整の下、破壊処理施設へ一括して輸送することとしており、平成9年までに約 900kgのフロンが広島県の破壊処理施設で一括処理されている。 また、平成10年も一括処理することとしている。
 
 図3−4−4 冷媒フロンの回収・再利用・破壊システム  [→図]
 
 
3 酸性雨対策
(1) 酸性雨対策に関する内外の動向
 国では、欧米における酸性雨被害の情報等を踏まえ、昭和58年度から酸性雨対策検討会を設け、第1次(昭和58〜62年度)、第2次(昭和63〜平成4年度)、第3次(平成5〜9年度)の酸性雨対策調査を 実施している。
 一方、酸性雨の影響の未然防止のためには国際協同・協力の取組みが不可欠であることから、東アジア各国との酸性雨モニタリングネットワークの構築を図っており、現在、試行稼働期間中の暫定ネットワーク センターが新潟県に設置されている。
(2) 県における取組み
 県では、昭和48年度から酸性雨の調査を独自に進めていたが、昭和62年度からは、全国的に統一された方法により実施している。現在、国設酸性雨測定所を含む県内4地点(福井市、敦賀市、勝山市、越前町) で継続して監視を行っている。
 また、酸性雨による土壌や植生、陸水等生態系への影響についても、国の実施する酸性雨対策調査に参画し、継続的なモニタリング調査を行っている。
 
4 その他の地球環境問題に対する取組み
(1) その他の地球環境問題に対する内外の動向
 平成9年6月に国連環境開発特別総会(UNGASS/リオ+5)がニューヨークで開催され、平成4年の国連環境開発会議(UNCED/地球サミット)における合意事項の実施状況のレビューと今後優先的に 取り組むべき課題についての検討が行われ、「アジェンダ21の一層の実施のための計画」が採択された。
 また、この包括的なレビューを平成14年のUNGASS(リオ+10)で行うことが定められ、これに向けた分野別テーマや分野横断的テーマなど、持続可能な開発委員会(CSD)の作業計画が示された。 (表3−4−5)
 国内においては、平成9年6月に、「地球環境保全に関する関係閣僚会議」が開催され、 地球環境保全のための国際的な枠組みの形成・強化、 地球環境に関する調査研究や観測・監視の促進、 国内の持続 可能な社会の実現に向けた取組みなどを柱とした当面の取組みがまとめられた。
 また、平成9年12月には、気候変動枠組条約第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)も開催されるなど、平成9年はいわば「環境年」とも言える重要な年であった。
 
 表3−4−5 1998〜2002年におけるCSDの作業計画
  年 最優先課題 分野別テーマ 分野横断的テーマ 経済部門/主要グループ
1998年
 
     
     
     
貧困、消費と
生産パターン
     
     
     
淡水管理に係る
戦略的アプローチ
技術、教育等の移転
 
   産業
 
1999年
 
  海洋
 
消費・生産パターン
 
   観光
 
2000年
 
陸上資源の統合的
アプローチ
資金、貿易と投資、
経済成長     
   農業
 
2001年
 
大気、エネルギー
 
情報、国際協力  
 
エネルギー、交通
 
2002年
 

 

 
包括的レビュー
 

 










 
 
(2) 県における取組み
 ア 熱帯雨林の保護対策
 公共施設工事において、コンクリート型枠として使用していたラワン合板(熱帯雨林の木材)の代替材料として、「針葉樹合板」、「ラス型枠」および「フラットデッキ型枠」等の使用基準を定めることは、 熱帯雨林の木材の使用を削減し、地球環境保護に寄与することになる。
 このため、「福井県の営繕工事における熱帯雨林保護対策実施要領」を定め、大規模工事を中心にラワン合板以外の型枠を積極的に使用している。
 今後とも、施設の工事に当たっては、可能な限りラワン合板の代替材料を使用することにより、熱帯雨林木材の使用の削減を図っていく。
 イ 公的施設における取組み
 公的施設への省エネルギー型設備の導入や余剰エネルギーの有効利用など、環境への負担の少ないエネルギーシステムの導入を促進する必要がある。
 県の施設においては、「さわやかシルバー病院」での太陽熱利用給湯システム、「若狭総合公園温水プール」でのコージェネシステムなどがあり、蓄熱式空調システムも「国際交流会館」、「県立大学看護福祉 学部棟」などに導入している。
 今後とも、その有効性等を考慮しながら、環境への負担の少ないエネルギーシステムの導入を図っていく。
 
第2節 国際環境協力
 
1 環境分野における人的国際交流
 開発途上国等の環境問題解決に寄与することにより、地球環境の保全に貢献するため、環境分野における研修生の受入れや専門職員の交流に取り組んでいる。
 平成9年10月には、中国浙江省で、共通の課題である「環境」をテーマに「地域づくり国際フォーラム」を開催し、フォーラムでは、地球規模の環境問題の解決のためには、地域の環境保全が原点であり、 今後とも、浙江省と本県は協力し合い、地域レベルでの環境協力を進めていくことが大切であることを確認し合った。
 また、平成9年度から、県環境科学センターで海外からの研修生の受け入れを行っており、平成9年10月から平成10年10月までの1年間、中国浙江省からの研修生1名が同センターで研修を受けている。
 
第3節 循環型社会づくり
 
1 リサイクルの促進
 廃棄物の中には、古紙や空き缶、瓶など、リサイクル(廃棄物の再利用、再資源化)できるものが多く含まれており、これらをリサイクルすることは、減量化をはじめ、省資源・省エネルギ−、地球環境 保全の観点から重要である。
 資源ごみの分別収集、再生資源や再生品の利用など、県民・事業者のリサイクルへの取組みを促進するため、市町村において、分別収集体制の整備や住民の意識啓発を行っている。県においても、 ごみスリム・スリム運動の展開による県民の意識啓発や、産業廃棄物減量化等指導員制度による事業者の自主的な取組みの促進を図っている。
 今後は、ごみの減量化・リサイクルの取組みを一層強化するため、「ごみ減量化・リサイクル日本一」をめざし、県民、事業者、市町村、県それぞれの役割分担のもと、総合的な対策を進めていく。
 
2 省資源・省エネルギー
(1) 「福井県新エネルギー・省エネルギービジョン(仮称)」の策定
 地球環境負荷の少ない地域づくりの実現をめざし、「福井県新エネルギー・省エネルギービジョン(仮称)」を平成11年度に策定予定であり、本ビジョンに基づき、再生可能エネルギーやリサイクル エネルギー等の新エネルギーの導入、省エネルギーの推進について、県民や事業者など、地域レベル、個人レベルにおける一体的取組みの展開を図ることとしている。
(2) 省資源・省エネルギーに関する企業の診断・指導
 これまでのような多大なエネルギーを使用した大量生産による産業活動は、地球温暖化やオゾン層破壊、資源の大量消費など、地球規模での環境問題を引き起こしており、今後は、企業においても、 エネルギー使用の合理化、特定フロン等からの代替品・代替技術への転換、再生資源の回収再利用の推進など、産業活動を巡るエネルギー環境問題への対応が急務となっている。
 このような中、平成9年12月には「地球温暖化防止京都会議」が開催され、我が国における二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減目標(2008年〜2012年の間に1990年比で 6.0%削減)が取り決められた。 この結果を受けて、政府は「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の改正を行い、平成11年4月から施行することにしているが、この法改正に伴い、企業等に対する省エネルギー対応への要求は さらに厳しさを増すものと予想される。
 このため、県では、(財)福井県産業情報センターを通じて、次の事業を実施し、本県の中小企業の省資源・省エネルギー対応を支援し、地球環境保全への貢献を図っている。
 ア エネルギー環境対応診断事業
 エネルギー環境対応診断事業は、エネルギー等の使用の合理化、再生資源の利用等に関する事業活動に積極的に取り組もうとする中小企業を対象に、問題点の分析を行うとともに、実情に即した適切な 解決策を具体的に指導するものである。
 平成9年度に2件の診断を実施しており、平成10年度も2件実施することとしている。
 イ エネルギー使用合理化設備導入促進指導事業
 エネルギー使用合理化設備導入促進指導事業は、中小企業事業団からの委託事業であり、電力や燃料等の省エネルギー対策に取り組もうとする中小企業に対して専門員(専門知識を有する指導員)を派遣し、 対応方法や省エネルギー設備の導入等について指導するものでる。
 平成9年度に18件実施しており、平成10年度も随時申し込みを受け付けている。
 ウ 中小企業エネルギー対応情報提供事業
 中小企業エネルギー対応情報提供事業では、省エネルギー関連の講習会を開催しているほか、省エネルギー対策関連の調査を実施し、企業に役立つ情報を創出すると同時に、省エネルギー対策や環境対応関連の 図書、雑誌、ビデオ等を収集し、企業等に対して閲覧・貸出サービスを行うなど、企業が対策を講じる際に参考となるような各種情報の提供に努めている。
 
3 県民運動の推進
 近年、我が国のエネルギー消費は、国民生活のゆとりと豊かさの追求を背景とするライフスタイルの変化等により、引き続き増加傾向にある。特に、家庭では、家電製品や車の大型化、複数所有等により、 エネルギー消費が拡大している。
 私たちの豊かな社会は、このようにエネルギーの消費によって支えられているが、エネルギー需要の面からみれば、我が国は極めて脆弱であると言わざるを得ない。
 環境の面からも、地球温暖化、オゾン層の破壊、資源の枯渇など、地球規模での環境問題が深刻化してきており、私たちの環境に対する関心は高まりつつある。
 こうした中で、省資源・省エネルギーの重要性について、私たちの認識も深まりつつあると言えるが、具体的な実践となるとなかなか実行されていないのが現状である。
 私たちの行動に結びつくための契機となる省資源・省エネルギーに関する情報の提供が必要とされており、県では、「資源とエネルギーを大切にする運動福井県推進会議」(以下「推進会議」という。)と 連携を図りながら、家庭や身近な地域でのエネルギー消費のあり方の見直しや地球にやさしいライフスタイルの構築を通して、省資源・省エネルギー運動を推進している。
 この推進会議は、消費者関係団体、経済・業界団体、地方公共団体等で構成され、推進団体の自主的な省資源活動についての情報交換や連絡調整および普及啓発事業
を行い、県民の資源とエネルギーに対する理解と関心を高めるとともに、県民の求 める情報の提供を行っている。
 推進会議では表3−4−6のような事業を実施している。
 
 表3−4−6「資源とエネルギーを大切にする運動福井県推進会議」における実施事業

























 
情報提供および啓発運動の推進


 
県民に対する街頭キャンペーン
推進会議の構成団体の各広報誌利用による啓発
官公庁、事務所および関係団体に対する省エネルギーの要請
ポスター、チラシ等の省エネルギー資料の配布
消費者団体のリーダー等を対象

にした省エネルギー講座の開催

省資源・省エネルギー活動のリーダー養成
 
省資源・省エネルギーに関する
ポスターの募集・作成配布

 
県下児童を対象にしてポスターの募集を行い、優秀作品に
ついては表彰するとともに、金賞作品の一点を図案として
使用した省資源・省エネルギー意識啓発ポスターを作成し
配布している。
省資源・省エネルギー展示会の
開催
消費者総合生活展の会場において、ポスター、入賞作品、
パネルによる展示会を開催している。
省資源・省エネルギー月間運動
等の実施



 
@省エネルギー月間等(2月)
A省エネルギー総点検の日(8月1日および12月1日)
B省エネルギーの日(毎月1日)
これらが、県民の省資源・省エネルギーを考える契機となる
ように、チラシ、ポスターの配布や各種媒体を通じての啓発
を行っている。
適正包装の推進


 
過剰・過大な包装は資源の浪費であるという認識を広げる
ため、「商品の適正な包装に関する基準」を定め、市場調査
および公開試買検査を行うとともに、事業者、消費者に対し
て、普及啓発活動を行っている。
省エネ県民大会の実施

 
物質的な豊かさを求めるライフスタイルを見直し、省資源・
省エネルギー型のライフスタイルを構築するなど、広く省資
源・省エネルギー意識の啓発と生活の場への定着を図る。

























 
 

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