福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 柳ヶ瀬断層・板取の宿
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
南越前町(旧今庄町):板取[上板取・下板取](646,647,683,684,725,726,727)
選定理由 典型的な構造地形,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  柳ケ瀬断層は,見事な直線上の断層谷が地形上に現れている活断層である.柳ケ瀬断層は,南に向かっては,板取−
栃ノ木峠の県境を経て,滋賀県の椿坂峠,さらには木之本町から琵琶湖の西岸に達し,北に向かっては,越前海岸河野村の断層崖を形成する甲楽城断層に連なる活断層である.この断層は,板取から南方には明瞭な断層谷を形成するが,板取から北では不明瞭になっている.地形的には不明ではあるが,断層の存在は地質の分布(南西側に花崗岩,北東側に中生層)にも反映されている.断層による破砕帯は板取においても確認されている.破砕帯の幅は60 〜100m にも達し,“板取の宿”集落の東方の山麓では破砕帯に沿う表層崩壊が現在も起こっている.柳ケ瀬断層の断層破砕帯は,板取以南では至る所で確認でき,いずれも,断層谷の西と東では地質の層相が大きく異なっている.板取の集落は,砂岩優勢な砂岩・頁岩の互層および崖錘性堆積物の上に作られている.集落の基礎をなす岩石は,近くの山から崩壊して来たものであり,角礫状であり,さらに打撃を加えると容易に破砕する.集落が存在する平坦面そのものは,河川が侵食して残った崩落堆積物の地形面である.その上部の崖錘性堆積物は,洪積世後期と沖積世の堆積物の両者を被覆している.上板取の東岸には緑色岩が産出し,西岸には砂岩・頁岩および花崗岩による接触変成作用を受けた中生層と花崗岩が分布する.地勢上では,今庄−木之本および今庄−敦賀を結ぶ交通の要所であり,北国街道の宿場として繁栄した所である.
保護の現状
 と留意点
 当地方における断層破砕帯に作られる断層谷の地形・地質学的観察と研究に貴重な地点である.歴史地理の観点からは,近代の歴史を学ぶ所でもある.今庄町が現在‘町起こし事業’として,宿場町やスキ−場さらには温泉開発を行っている.自然との調和を保った開発が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)