福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 小丹生の離水波食棚の差別侵食とビーチロック
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:小丹生(844)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  小丹生の海岸には国見累層中部の砂岩,泥岩,凝灰岩が分布している.これらの地層はN15 〜20 °E前後の走向を持ち西に47 〜50 °傾斜している.地層は大きく傾斜しているが砂岩や凝灰岩の頂部を連ねた面は海抜3 〜4m の平坦面を形成している.これは,歴史時代の地震により海岸が隆起し,離水したものと考えられる.一方,泥岩は侵食され,ほぼ現在の海水準付近に平坦面を持った波食棚が形成されている.これは砂岩や凝灰岩が続成作用によって基質部に炭酸塩鉱物が形成され固くなり,波に対する耐性が大きくなっているのに対して,泥岩は波で侵食されやすいために形成された差別侵食による地形である.差別侵食によりできた地形は各地で見られるがこのように規模が大きく,はっきりしたものは少ない.このような作用によりできた離水波食棚の先端部付近には,北陸では大変珍しいビーチロックが報告されている.ビーチロックは,1 万年より若い時代(完新世)の炭酸カルシウムによるセメント作用によって膠結された砂や礫のことをいい,一般には熱帯や亜熱帯において見られるもので沖縄に見られるイタビシはその代表的なものである.小丹生のビーチロックは,波食棚先端部の粗粒砂岩と泥岩との間のできた波の直接被らない陸側の泥岩による溝を埋めるように,海抜は2 〜2.5m 前後のところに形成されている.大味の海岸でも転石同士が炭酸カルシウムで膠結するという現象が見られ,“ひっつき岩”と呼称されている.これもビーチロックの可能性がある.
保護の現状
 と留意点
 越前加賀海岸国定公園内にあり,“弁慶の洗濯岩”という名称で観光地となっている.


 (図上のNO.99ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)