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名 称 |
黒河の湿原植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
低層湿原 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市:黒河国有林(871) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
敦賀市の黒河川流域に,野坂岳と三国山を結ぶ稜線と黒河川本流とに挟まれた支流がある.この支流を遡ると,最上部(標高500m 付近)に北東から南東方向に長さ約200m ,幅約30m の凹地が見られる.その周囲は北側及び東側を中心に伐採が進んでいるが,西側の斜面からの伏流水が花崗岩質の土壌を通して滲出し,ここは常に湿潤な環境にある.最も過湿な中心部には,イヌノハナヒゲ,ミカヅキグサ,ヒメシロネ,マアザミ,サワヒヨドリ,モウセンゴケ,オオミズゴケ,クログワイ,ヒメホタルイなどが主に生育し,ムラサキミミカキグサやカキラン,キンコウカもかなり見られる.一方,北東側のやや傾斜したところでは,オオミズゴケ,キンコウカ,カキツバタ,コバギボウシなどに混じり,レンゲツツジやハイイヌツゲなどの低木の進入が見られる.また,中央部や周辺部の一部では,それらの低木とともにヨシ,ススキ,ノリウツギ,ミヤコイバラ,ミズナラ,マルバマンサクなどが生育し,乾燥化が進みつつあるように思われる.規模は小さいながら湿原性の植物に覆われ,特にキンコウカが多くみられることやミカヅキグサ,カキラン,イヌノハナヒゲなど県内でも希少な種をかなり含むことは注目に値する.また,敦賀市周辺には他にも池河内湿原などがあるが,これらの湿原の成因や植物相を比較検討する上で,本湿原の植生は極めて重要といえる. | ||
保護の現状 と留意点 |
当地域は国有林になっているが,林道が延長されつつあり,この湿原の北東側の一部は既に壊されている.これ以上周辺域の伐採や林道敷設が行われれば,湿地全体が消失しかねない.また,近年,イノシシの出没よって一部がその沼田場になり,植生にかなり変化が見られることも心配される.早急な保護対策が望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |