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名 称 |
荒島岳の植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林・亜高山高茎草原 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
大野市:荒島岳(142,143,164,165) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
荒島岳(1523m )は大野市街地の南東にそびえ,コニ−デ型の山容から「大野富士」とも呼ばれ親しまれている.日本百名山の一つに数えられるようになってからは,県内外の登山者の人気を集め,特に新緑や紅葉の時期には訪れる人も多い.勝原からの登山道沿いでは,山麓から標高800m 付近までは伐採が進み,クリ,コナラ,ミズナラ,カエデ類,シデ類などの二次林やスギ植林となっている.しかし,登山道西側には谷沿いの斜面にトチノキ林やミズナラ林など自然度の高い植生も見られる.海抜800 〜1200m 付近まではブナの自然林が尾根沿いによく残っている.林冠を形成するブナは大きなものでは樹高約18m ,胸高直径80cm ほどにも達する.林間には,オオバクロモジ,ナンゴクミネカエデ,ハウチワカエデ,リョウブ,エゾユズリハが多く生育している.林床には,チシマザサ,トクワカソウ,エゾユズリハ,ヒメモチ,ツルシキミ,ハイイヌガヤ等が多く生育して高い植被率を示している.標高1200m を越すころからダケカンバの疎林が出現する.林床にはチシマザサが密生し,その他には,僅かにシノブカグマ,ノリウツギ,シラネワラビなどが生育するだけである.ダケカンバは,チシマザサの上1 〜2m ほどまでしか幹を伸ばさず,樹高は低く見えるが,根元径は大きい.これは積雪の作用によって屈曲したものである.山頂は一面チシマザサ草原となり,所々にシモツケソウ,クガイソウ,ノリウツギ,ヒトツバヨモギ,イタドリなどの小群落が見られる.また南斜面には亜高山高茎草原が形成され,ハクサンフウロ,シモツケソウ,タテヤマウツボ,ニッコウキスゲ,コバイケイソウ,ヤハズハンノキなどが生育している.また,本山を分布の西限ないしは南限とするミヤマツボスミレ,タカネマツムシソウも見られる. | ||
保護の現状 と留意点 |
.しかし,最近登山者が急増していることから,希少植物の採集,植生への踏圧などの被害が懸念される.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |