要 約
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- 福井県におけるカモ類の種数と個体数の経年変化について,1970〜1999年に行なわれたガンカモ科鳥類生息調査の結果をまとめて比較・分析してみた.
- 全県で,1970〜1999年の30年間に,計23種のカモ類が記録されていた.記録された種数は平均15.8種/年,個体数は平均16,956羽/年,および観察密度は平均7.1羽/ha/年であり,それらは1985年まで徐々に増加し,以後,安定状態となっていた.また,個体数や観察密度は、マガモ,カルガモ,コガモなどで高く,その多くは1985年前後に変化していた.
- 1978〜1999年の22年間に,年あたりの平均で種数,個体数および観察密度が最も多く記録された調査地は,それぞれ菅湖,日野川および大堤であった.
- 全県での記録個体数の経年変化に影響を与えた種はマガモ,カルガモ,コガモ,ヒドリガモ,キンクロハジロなどで,この5種で変化のほとんどを説明していた.
- 全県での記録種数の経年変化に影響した調査地は水月湖,小浜湾などであった.また,記録個体数の経年変化に影響した調査地は日野川,小浜湾,菅湖,九頭竜川中流域,大境堤などで,この5個所で変化のほとんどを説明していた.
- 全県での記録個体数の経年変化において,ある種の組み合わせでは正または負の相関関係があった.
- 全国と比べ,本県でシノリガモが記録されなかったのは,本種の主な生息環境である岩の多い海岸を調査地として含んでいないことを反映した結果と考えられる.
- 全国と比べ,本県で記録された各種の個体数の優占順は,オナガガモを除き,調査地の個所数や面積が結果に反映されていたと考えられる.
- 福井新港は,その付近が多くのカモ類の渡りのコース,中継地または越冬地となっている可能性があり,設定の変更または範囲の拡大が必要であろう.
- 個体数や観察密度の経年変化の要因について,気候変動,環境変化や狩猟庄などとの分析も必要であろう.
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