-
●種の特性
-
平地〜山地の日当たりのよい湧き水のある湿地や休耕田に生息する.未熟成虫は発生地で成熟成虫とともに見られるが,遠方まで分散する個体もいる.成熟雄は湿地内の短い草に止まって縄張りを形成する.雌はしばしば雄の警護を伴い,単独で湿地内の浅い水溜りに打水して産卵する.
世界最小型種の一つで,5 〜8 月に発生する.雄は成熟すると赤化し,雌は黄色と褐色の縞模様になる.
-
●生息状況
-
本州,四国,九州に分布するが,産地はやや限られ,離島からの記録はない.
県内では,福井市,永平寺町,敦賀市,美浜町,三方町の丘陵地の湿地で6 月上旬から7 月下旬に記録されている.小型種であるがゆえに,小さな湿地からも記録されている.
-
●存続を脅かす要因
-
かつて,大野市六呂師高原の湿地群や金津町の湿田は,本種の有名な生息地であったが,湿地の埋め立てや湿田の乾田化により,生息地は消滅した.
本種が多産するのは湧き水のある湿地という不安定な環境であるため,長年継続して生息する地点は限られている.本種の生息にとって良好なこのような湿地が,埋め立てによって消失することは,生息状況を大きく悪化させる.
-
●参考文献
-
福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会編.1998 .福井県昆虫目録(第2 版).556pp .福井県.
和田茂樹.2000 .中池見湿地のトンボ相.中池見湿地(福井県敦賀市)学術調査報告書−第二次学術調査結果の報告−:18- 50 .
|