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●種の特性
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他のヨシノボリと同様,雄は沈み石に巣を作り卵を保護する.淡水域で一生を過ごすものものや両側回遊型の生活をするものなど生態的にいくつかの型がある.
雑食性で底生小動物や水生昆虫などを主体に,付着藻類も食う.ヨシノボリ類中最も成熟体長や外部形態に変異があり,今後の研究によって,さらにいくつかの型あるいは種に分けられることが予想される.尾鰭の基部に橙色斑を持つことが和名の由来である.
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●生息状況
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琉球列島を除く日本全国の河川や湖沼に広く分布する.本県では敦賀市の小河川,九頭竜川水系,北潟湖に注ぐ観音川,九頭竜ダム湖と真名川ダム湖の各流入河川などに生息している.このうち自然分布は敦賀市の1 河川が確実で,他はほとんどアユなどの各種放流用種苗に混入し移入されたものと思われる.
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●存続を脅かす要因
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自然分布しているのは嶺南の一河川で,流程数km の小規模である.このような小河川は,今後の改修による環境の変化が大いに懸念される.また,本種は今後の研究によっていくつかの型あるいは種に分類される可能性があり,自然分布である本河川の意義は大きい.
また移植されたトウヨシノボリの分布域が徐々に広がっていており,この状況がさらに続くと,交配の結果,本県産のトウヨシノボリの特性が失われる可能性がある.
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●参考文献
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福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
加藤文男・松田隆喜.1994 .福井県河川におけるヨシノボリ類5 種とカワヨシノボリの分布.福井市自然史博物館研究報告41 :63- 76 .
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