GEO-1
環境課題と施策の変化 [表紙へ][次章へ]

( CHANGING PRIORITIES AND RESPONSES )

国際的な政治体制と団結力は、前進を生み出すにはあまりに弱く、
「なされるべきこと」と「なされたこと」とのギャップが広がりつつあります。


 くつかの分野での進歩にもかかわらず、過去十年間、地球環境は 劣化を続けています。最も深刻な問題にも対処できるだけの技術と知見は あるのですが、国際的な政治体制と団結力は、前進を生み出すにはあまりに弱く、 「なされるべきこと」と「なされたこと」とのギャップが広がりつつあります。

環境課題の変化

 GEO-1は、各地域の顕著な類似性とともに明白な相違点を示しています。 環境についての優先課題は社会の成熟に伴い変化します(下図参照)。 最初に貧困と食料確保の課題があり、次に産業開発に伴う課題があり、最後に 環境の健全さや資源の利用度、そしてオゾン層枯渇などの地球的規模の環境課題に 至ります。

社会の成熟に伴う環境の優先課題の変化

施策の変化

 同様に環境施策についても焦点が次のように変化します。 最初に制度上ならびに法体系上の取組があり、 次に特定のテーマについての施策実現や法施行に移ります。 やがて焦点は、総合的な環境計画の策定へと移り、 市場原理に基づく自主的な行動や社会のすべての主体の広範な参加を促す 誘導策の開発につながります。 最近、「パイプの出口での規制」に代わる「よりクリーンで簡素な生産活動」や、 「揺りかごから墓場まで」的な環境勘定システムが試されようとしています。 しかし、今のところ、どの地域でも、それらが完全な潜在力を発揮するまでには至っていません。
 リオでの地球サミット以降、環境施策が社会の最貧層を益するようなやり方で 取り組まれたという事例は多くありません。 社会のすべての主体が環境問題に 参加することの重要性は、現在、広く認知されていますが、 そのような参加は、政府の施策が未熟なところでは低調です。 しかし、地域の協力が次第にうまく機能しつつあることは明るいきざしです。

今後の取組

 もし、GEO-1から、国際社会が速やかに取り組むべき4つの 優先分野を抽出するとすれば、以下が明瞭な選択です。


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