環境教育副読本 かんきょうはみんなの仲間 ―ふくいの環境―  資料編


福井県のすがた

・位置
 福井県は、本州日本海沿岸のほぽ中央にあり、石川、岐阜、滋賀、京都の各府県に接しています。本州中部に位置しているため、生息可能な南限、北限にあたっている植物の分布が数多く見られ、その品種も多種にわたっています。

・地勢
 敦賀市東部の木の芽山地を境にして、北を嶺北、南を嶺南と呼んでいます。
 嶺北は、福井平野、白山火山地などから成り立っています。福井平野は、九頭竜川、日野川、足羽川からできた沖積平野で米作に適した穀倉地帯を形成しています。
 嶺南は、背後を若狭山地、前面を日本海に囲まれ、若狭湾に沿って南西に長く、敦賀・三方・小浜の小平野があります。
 海岸線は406.1kmと長く、ほぼ全域が越前加賀海岸国定公園と若狭湾国定公園に指定され、美しい景観を誇っています。また、若狭湾沿岸は全国的にも有名なリアス式海岸となっています。

・気候
 本県は気候は、四季の区別がはっきりしており、冬の北西の季節風にふる降雪のため、全国でも降水量が多く、豊かな水に恵まれています。
 夏は、天気が安定していて気温は30度前後の日が続き、冬は晴れの日が少なく、平均3度前後の気温となります。



気温・降水量の月変化(平成11年) 平成10年男女別5歳階級別人口



新国民生活指標(PLI)にみる福井県の「豊かさ」の指標  (経済企画庁調査)

分野 項         目 原  数  値 順位

データ年
住  む 持ち家比率が高い 76.5% 1993 6位
人口当たりの公園面積が大きい 12.8u/人 1997 8位
費やす 貯蓄年収比が高い 1.90倍 1994 5位
人口当たり個人破産件数が少ない 2.99件/1万人 1997 2位
働  く 失業率が低い 2.49% 1995 3位
女性就業率が高い 54.9% 1995 1位
育てる 高等学校等への進学率が高い 98.2% 1998 3位
人口当たり児童館数が多い 10.76館/3〜11歳人口1万人 1996 1位
癒  す 人口当たり救急告示病院が多い 7.12/10万人 1996 1位
人口当たり特別養護老人ホーム定員数が多い 1715.1/65歳人口10万人 1996 3位
遊  ぶ 人口当たり公園・遊園地数が多い 3.02/10万人 1996 1位
人口当たりホテル・旅館客室数が多い 22.93/千人 1997 4位
学  ぶ 人口当たり図書館数が多い 4.70/10万人 1996 2位
人口当たり社会教育関係職員数が多い 5.51/1万人 1996 4位
交わる 社会奉仕活動行動者率が高い 38.0% 1996 2位
パソコン普及率が高い 19.3% 1994 6位
※個別データ139項目のうち代表的な16項目を掲げた



県の木「マツ」
 岩場でも育つたくましい木です。質実剛健の県民性をあらわしています。
(昭和41年9月指定)

県の花「スイセン」
 冬の荒波に面した越前海岸で花をつけます。香りのよい気品のアル花です。
(昭和29年5月指定)

県の鳥「ツグミ」
 毎年秋の終りにシベリアから日本海を越えてくる渡り鳥です。スズメの倍ぐらいの大きさです。
(昭和42年12月指定)

県の魚「越前がに」
 荒々しい日本海で育ち、冬の味覚の王者として親しまれています。
(平成元年3月指定)

(広報課県民相談室 わたしたちの福井県より)



ツグミの飛行コース

ひと口メモ

メモ1 福井県の鳥「ツグミ」
 ツグミは、福井県のシンボルとして、昭和42年12月に「県鳥」に指定されました。
 福井県には、10月中旬、東部シベリア法面から渡ってきます。飛行の経路は、日本海を越えて能登半島に入り福井に渡ってくるコース、カムチャッカ半島から北海道、日本海沿岸地方を経て福井に渡ってくるコースなどが知られています。
 渡ってくる時は、大群で行動していますが、普通は少数の群れや一羽が多く農耕地の森林で、植物の種子や昆虫を食べて生活しています。


メモ2 福井県の花「スイセン」
 水仙は、昭和29年5月に「県花」に指定されました。
 世界中に、原種およびそれに準ずるものが60種以上もあり、それらの交配種が一万以上といわれています。
 越前水仙は、一般的にニホンズイセンと呼ばれ、水仙伝説にあるように、古くから越前海岸一帯で栽培され、切り花として出荷されたことから、この名が用いられるようになりました。

〈水仙伝説〉
 源平争う平安末期、山本五郎左ェ門は長男一郎太とともに京に攻め上る木曾義仲の軍勢に加わっていた。留守を守っていた次男次郎太は、ある日、波間から美しい娘の命を助け、日に日に2人は親しくなっていった。月日が流れ、父の戦死の報とともに片足を失った一郎太が帰国、これまた、娘に心を奪われた。そして、とうとう兄弟は娘をめぐって大暴風雨の中決闘することになった。それを知った娘は、責任を感じ荒れ狂う海に身を投じた。そこは、以前助けられた場所、刀上海岸だった。
 翌年春、海岸に美しい花が流れつき、村人たちはあの娘の化身として大事に育て、その年、美しい花をつけたのであった。



メモ3 福井の魚「越前がに」
 福井県でとれた新鮮で美味しい魚を全国でアピールするため、平成元年3月に「越前がに」を県の魚に指定しました。
 この福井県で「越前がに」と愛称されているズワイガニは、山陰地方では「松葉がに」、新潟では「タラバガニ」と呼び名がちがいます。また、ズワイガニは商品名もいろいろあり、「越前がに」の雄は大きい順に大ガニ、中ガニ、山ガニと呼ばれており、雌はセイコまたはクロコと呼ばれています。金沢では雌はコウバコと呼ばれています。
 ズワイガニ漁場の水深は、日本海で220m〜400mですが、北の方ほど浅くなり、オホーツク海では180mでも漁場になっています。
 カニ類は脱皮のたびに硬い組織を脱ぎ捨てるため、他の動物のように、骨、鱗、歯などから年齢を推定することはできません。そこで、各脱皮年齢の脱皮間隔を求め、それを合計して年齢としています。


メモ4 福井県の「マツ」
 万国博覧会の日本開催決定と福井国体開催(昭和43年)に合わせて県民公募により、昭和41年9月13日に県の木として指定しました。
 マツは清楚で、岩や砂地にも育つ生命力の強さは質実剛健な県民性を消長していることと、福井藩主が海岸へマツ林の造成を推進したことから決定したそうです。



主な獣類の生息状況

番号 科 名 種  名 生  息  状  況 摘  要
@ オナガザル ニ ホ ン ザ ル 若狭地方に多い。
A ウ サ ギ トウホクノウサギ 県内の森林に生息。
B リ   ス ニ ホ ン リ ス 少数が生息している。
C
ニッコウムササビ 県内の森林に生息。
D ヤ マ ネ ヤ   マ   ネ 数列が知られる。 天然記念物
E カプロミス ヌ ー ト リ ア 大飯郡に少数生息。
F ウ   マ ニホンツキノワグマ 県内の森林に生息。
G イ   ヌ ホ ン ド タ ヌ キ      〃
H
ホ ン ド キ ツ ネ      〃
I
ニホンオオカミ 県内産の頭蓋骨2個が国立博物館にある。 絶    滅
J イ タ チ ホ ン ド テ ン 県内の森林に少数生息。
K
チョウセンイタチ 少数が生息する。
L
ホ ン ド イ タ チ 県内の森林に生息。
M
ニホンアナグマ      〃
N イ ノ シ シ ニホンイノシシ 若狭地方に多い。
O シ   カ ホンシュウシカ 若狭地方に多い。
P ウ   シ ニホンカモシカ 県内の森林に生息。 特別天然記念物
     合計      11科      17種
(注) 獣類とは、鳥獣保護および狩猟に関する法律の適用を受けるもので、水産哺乳類、食中目(モグラなど)、翼手類(コウモリ)、齧歯目のうちネズミ科を除く。



主な天然記念物および国内希少野生動物植物種

区 分 種  名 福 井 県 の 現 状
特天(希) ト    キ 絶滅(明治初年度までは生息していたと見られている)
特天(希) コウノトリ 絶滅(昭和40年代までは生息していたと見られている)
特天(希) タンチョウ 稀に渡来する
特天(希) イ ヌ ワ シ 減少している
 天 マ ガ ン 冬期少数飛来する
 天 ヒ シ ク イ 同   上
 天(希) オジロワシ 冬期4〜5羽が飛来する
 天(希) オ オ ワ シ 冬期1〜2羽が飛来する
(注)
天…天然記念物
特天…特別天然記念物
(資料:H9、福井の鳥とけものたち)
(希)…絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で国内希少野生動物に指定されたの



狩猟者による鳥獣捕獲数 (10年度)

鳥類名 捕獲数 獣類名 捕獲数
カモ類 6,167 イノシシ 2,485
スズメ類 3,393 ノウサギ 49
キジ 1,979 クマ 32
ヤマドリ 1,361 タヌキ 57
カラス類 883 オスジカ 347
キジバト 755 テン 46
ヒヨドリ 1,593 キツネ 20
ムクドリ 147 アナグマ 7
シギ類 113 リス類 1
コジュケイ 2 オスイタチ 2
ゴイサギ 5
バン 1
16,399 3,046
(資料:自然保護課)



県自然環境保全地域の概要(P6) (平成11年3月31日)

名称 所在地 指 定
年月日
面積(ha) 保全対象 保全対象の
具体的内容
特別地区 普通地区
池河内 敦賀市
池河内
52. 3.25 7.80
うち、野生動植物保護地区
7.40
103.20 111.00 湿原植物の自生地・野生動物の生息地 高層湿原性イヌノハナヒゲ−ハリネズミゴケ郡落
ヤナギトラノオ(南限種)
ヤチスギラン(西限種)
ハッチョウトンボ
楢  俣 今立郡
池田町
楢俣
54. 6.19 162.12 162.12 天然林が相当部分を占める森林の区域 ブナ−ウスギョウラク−チシマザサ郡落、モミジカラマツ、シロウマイノデ(西限種)
シマイヌワラビ(北東限種)
(資料:自然保護課)



本県で確認された主な爬虫類および両生類

爬 虫 類 両 生 類
カメ クサガメ
イシガメ
スッポン
サンショウウオ アベサンショウウオ
クロサンショウウオ
ヒダサンショウウオ
ハコネサンショウウオ
ヌマガメ ミシシッピーアカミミガメ オオサンショウウオ オオサンショウウオ
ヤモリ ヤモリ イモリ イモリ
トカゲ トカゲ ヒキガオル ヒキガエル
ナガレヒキガエル
カナヘビ カナヘピ アマガエル アマガエル
ヘビ タカチホヘビ
シマヘビ
ジムグリ
アカジムグリ
アオダイショウ
シロマダラ
ヒバカリ
ヤマカガシ
アカガエル トノサマガエル
ダルマガエル
ウシガエル
ニホンアカガエル
ヤマアカガエル
タゴガエル
ツチガエル
クサリヘビ マムシ アオカエル シュレーゲルアオガエル
モリアオガエル
カジカガエル
資料:福井県の両生類・爬虫類・陸産及び淡水産貝類目録  平成9年3月

 これらのうち、アペサンショウウオは、これまで国内での生息は兵庫県および京都府の一部のみとされておりましたが、本県においても生息が新たに確認されました。本種は「絶滅のおそれのある野生動植物の保存に関する法律」で国内希少野生動植物に指定された両生類です。



本県を北(東)限および南(西)限とする植物

嶺北地区を南(西)限とする植物 嶺南地区を北(東)限とする植物
オクノコウリンウメモドキ (勝山市)
アオモリトドマツ( 〃 )
イワイチョウ( 〃 )
アオジクスノキ( 〃 )
タテヤマオウギ(大野市)
ミヤマネズ( 〃 )
ウダイカンバ( 〃 )
オクチョウジザクラ(和泉村)
ハクサンシャクナゲ( 〃 )
トウゴクミツバツツジ( 〃 )
タマアジサイ(丸岡町)
ミヤマカワラハンノキ(池田町)
オオバツツジ(今立町)
ヤマモモ(敦賀市)
ヒメユズリハ( 〃 )
クロバイ( 〃 )
カナクギノキ( 〃 )
ヤマイバラ(三国町)
アリドオシ( 〃 )
オオバヤドリギ( 〃 )
ケサンカクズル(小浜市)
ホウライカズラ( 〃 )
ヤマヒョウタンボク(高浜町)
カナメモチ(大飯町)
クロガネモチ( 〃 )
コショウノキ( 〃 )
タマミズキ(名田庄村)
ニシノヤマクワガタ( 〃 )
(以上福井県1927より)
シャシャンボ( 〃 )
ナタオレノキ( 〃 )
ツクバネガシ( 〃 )
(以上渡辺1987より)
資料:ふるさと福井の自然 昭和63年3月



メモ5 カラス
 本県に知られるカラス科の鳥は5種あり、そのうちハシボソガラスとハシブトガラスの2種が多く存在します。
 ハシボソガラスは平野部中心に各地で見られ、特にゴミ処理場や市街地のビルなどで多く見られます。細めのくちばしを持ち、ガーッ、ガーッとにごった声で鳴くことが多く、鳴くときは体を上下します。
 これに対してハシブトガラスは、ハシボソガラスよりやや大きく、くちばしの大きさで区別できます。本県ではハシボソガラスより数がずっと少なく、海岸や海岸に近い森林に見ることが多いですが、内陸でも局地的に分布し、所によってはハシボソガラスと同時に見られます。くちばしが先まで太く、おでこがでっぱった感じで、カア、カアと鳴きます。


メモ6 タンポポ タンポポは北半球の温帯と亜寒帯を中心に見られ、熱帯や亜熱帯にはめずらしく、世界中に400種ぐらいあるといわれています。このうち日本で見られるのは約20種類ぐらいです。
 ニホンタンポポというものは存在しません。近頃になって、ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポ、アカミタンポポが急にふえ出して、昔から日本にあったカントウタンポポ、エゾタンポポ、カンサイタンポポなどどんどん減ってきています。



福井県で見られるタンポポ

花  名 特            徴
シロバナタンポポ
(児童編P10参照)
関東地方以西から九州の道端や、人家の近くにはえる。高さ30p〜40pになり、その頃に白色の頭状花をつける。
カンサイタンポポ 本州近畿地方から沖縄の草地や道端に多い。
関東地方のタンポポに比べて総包の内外片の長さが著しく不連続である。
セイヨウタンポポ
(児童編P10参照)
都市周辺や北海道などの原野に多く、日本各地に帰化し、ヨーロッパ原産。日本産タンポポに似ているが、総包の外片が下向きである。



お知らせ【地域環境ジュニアパトロール】
 県では毎年、県内の小中学生を対象に、身近な環境問題をテーマとして、自主的に調査研究してもらう「地球環境ジュニアパトロール」を実施しています。
 活動内容としては、夏休み期間中に小中学生のグループ(1グループ6名程度、指導者1名)が、身のまわりの川や海・湖、大気、自然、ごみ、地域の様子などの中から関心のある環境分野をテーマに掲げて、自分たちの住んでいる町を調査し、問題点や提案等を話し合いながらレポートとしてまとめるのです。
 ぜひ参加して、自分たちのすんでいる地域をパトロールしてみましょう。

年間スケジュール(平成11年度)
平成11年4月参加グループの募集開始
      6月参加グループの決定(県内7市町村より21グループの応募)
      7月メンバー証交付式の開催(パトロール手帳、Tシャツの配布)
      8月活動機関
      9月活動報告書の提出
平成12年1月活動報告会の開催(国際交流会館)活動報告集の配布