W アメニティ実現に向けて

W−1 アメニティづくりの維進

 本県のアメニティ像を実現していくためには、アメニティづくりの基本的考え方でも整理したように、「地域らしさを知り、地域らしさをいかしながら」、「地域の望ましい暮らしを考え、一致協力して」、「地域への誇りと愛着を培いながら」、「将来を見据え、地道に」を実桟していくことが大切です。
 この4つの考え方に沿って、住民と行政が取り組むアメニティづくりをより効果的に推進していくための重要なポイントは次の4点です。

知    る    こ    と
目 標 を つ く る こ と
行  動  す  る  こ  と
住民と行政が協力すること

 したがって、ここではこの4つのポイントを、今後いかに展開していけばよいかについて明らかにします。


知   る   こ   と

≪身の周りの環境の現状を知る≫
 アメニティづくりの出発点は、まず環境の再発見であり、自分たちの身のまわりに、何があるのかを知ることです。まちやむらの特徴、自慢できるもの、改善しなければならないものなどを自らが再発見し、それらに興味を持つことが大切です。
 これを推進するためには、次のような方法をイベント的に行うことが有効です。

●まちやむらを採倹したり、観察したりする活動
       (タウンウォッチング、まちづくり探検隊など)
●住民が地域の環境の状態を地図などに記録する活動
       (環境カルテづくりなど)
●学校教育や社会教育による地域の環境の学習

≪良い事例(アメニティ)を知る≫
 アメニティづくりは、地域の住民が創意工夫しながら実践するものですが、それにはまず地域にとって、どのような環境がアメニティなのかを知ることが先決です。そのためにはアメニティのある所で生活したり、先進地の良い事例を実際に見たり聞いたりすることが手っ取り早い方法と言えます。これにより、自らのまちの良い点、悪い点が再認識され、さらに自分達のアメニティづくりへの意欲にもつなげていくことができます。
 これを推進するためには、次のような方法により良質の情報を得ることが大切です。

●アメニティづくりに関する広報、広聴
  (パンフレット、ポスター、ビデオ、スライド、新聞など)
●講演会やシンポジウム
●先進地の視察
●アメニティ・アドパイザーなどの派遣


≪地域らしさとは何かを知る≫
 アメニティは、「その土地ならではの住み心地の良さ」ととらえられ、地域の特徴をいかしたアメニティづくりを推進していくことが大切です。そのために、重要なのは、地域の個性すなわち地域らしさとは何かを知ることです。しかしながら、地域らしさの素材は、そこに住む人々の視点から見れば日常的であるものが多く、何気なく見過ごされがちになります。
 したがって、身の回りの環境を知り、他の良い事例を知り、さらに、これに外部の客観的な意見を取り入れることにより、地域らしさを確認することができるといえます。
 外部の意見を取り入れる方法としては、次のようなものがあげられます。

●外部の有識者や専門家を招いて、意見交換を行う
         (研修会、シンポジウム、討論会など)
●観光客や訪問者の意見を聞く
         (アンケート調査、ヒアリングなど)
●老人会とのふれあい活動や体験学習などの交流を通して意見を開く
●県内に移り住んできた人や、他県などへ移り住んだ人の意見を聞く


目 標 を つ く る こ と

 知ることをきっかけとして、地域のアメニティは何なのか、また、何をすればいいのかは、ある程度認識されたといえます。しかしながら、住民のアメニティに関する認識がバラバラでは、より効果的な、また、継続的なアメニティづくりへはつながりません。したがって住民の話し合いの中で、住民一人ひとりの共通認識となる、その地域らしいアメニティづくりの目標をつくることが大切です。
 目標づくりを推進するための方法としては、次のようなものがあげられます。

●会議の場の設置
   (自治会や町内会の活用、まちづくり協議会の設置など)
●地区アメニティ計画づくり、市町村アメニティ計画づくり


行  動  す  る  こ  と

《ディスアメニティ(マイナス要素)を改善する≫
 知ることにより確認できた問題点の中から、まず実践していかなければならないのは、身の阿りの環境の中で、地区のマイナス要素となっているものを改善することです。このような状態は、住民一人ひとりの意識の向上や、行動の仕方しだいで改善できる問題も少なくありません。
したがって、住民の協力と努力により解決できる基本的な問題については、住民自ら改善していくことが大切です。
 これを推進するためには、次のような活動をイベント的に盛り上げながら、継続的行動へ発展させていくことが重要です。

●身近な環境の清掃、美化活動
●環境配慮型の活動
  (家庭雑排水の浄化、ゴミ減量化、リサイクル運動など)
●景観配慮型の活動(看板、広告物への配慮など)
●マナー啓発活動(不法駐車、放置自転車の一掃運動、
】           ゴミゼロ運動、ゴミノーポイ運動など)

《アメニティ(よいもの)を創造する≫
 アメニティづくりに対しては、好ましさや美しさといった、人の感性にうったえるものをつくっていくことの重要性があげられています。これには二つの意義があり、一つは好ましい状態、美しい状態それ自体が地域のアメニティであること。もう一つは、このような状態を住民が実体験することにより、地域の誇りや愛着がめばえ、住民の意識や行動のレベルアップが図れることです。
 したがって、住民自らの創意工夫を強調しながら、地域のよいものをいかし、さらにより良いものをつくっていくことが大切です。
 これを推進するための方法としては、次のようなものがあげられます。

●花いっぱい運動や緑化運動
●まちやむらならではのシンボルづくり
●コンクール、表彰制度、アメニティ○○選などの実施
●街並み景観などのルールづくり
  (建築協定、緑化協定、まちづくり協定、地区計画など)
●楽しく、情緒ある空間づくり

≪楽しみながら行動する≫
 アメニティづくりは、実践していくことに意義があります。決して、汗水流し努力しながら、好ましさや美しさを追及するだけのものではなく、住民が楽しく行動している姿そのものも、アメニティづくりにとって重要といえます。
 楽しく参加し、楽しく行動するというのは、地域活動の一環として、またスポーツやレクリエーション、祭りやイベントとしてなど、日々の生活を楽しみながら、アメニティづくりを実践することといえます。これらは、地域の活性化にもつながり、また、住民の地域への誇りや愛着を培うことにもなります。
 これを推進するための方法としては、次のようなものがあげられます。

●自然に親しむ活動(オリエンテーリング、自然探勝会、
                  バードウォッチングなど)
●歴史や芸術、文化にふれあう活動
    (伝統工芸体験学習、音楽祭、歴史マップづくりなど)
●祭やイベント(雪まつり、盆おどりなど)
●一村一品、一村一美運動

≪なかまをふやす≫
 地域への誇りや愛着が芽ばえれば、いつまでも残しておきたいと感じ、より快適な環境になるよう努力する活動につながります。アメニティづくりは、このような住民一人ひとりの地域への愛着行動が積み重ねられ、住民ぐるみへの活動へとその輪が広がった時に、大きく発展したといえます。
 したがって、自らが積極的にアメニティづくりの活動へ参加していくと同時にコミュニティの輪を広げ、アメニティづくりのなかまをふやしていくことが大切です。
 これを推進するための方法としては、次のようなものがあげられます。

●県民総ぐるみ○○運動の実施(環境週間、除雪日など)
●アメニティづくり、コミュニティづくりのリーダー育成
●アメニティづくり、自主活動グループの育成、支援
●アメニティ講座、アメニティセミナーなどの活動推進


住 民 と 行 政 が 協 力 す る こ と

 アメニティづくりは、住民一人ひとりの理解と協力のもとに、行政と住民がそれぞれの役割を分担しながら、一体となって、実践していかなければ、その実効性があがりません。したがって、ここでは、アメニティづくりを協力し合って推進していく体制づくりを基本として、その留意点を明らかにします。

《役割分担を明確にする≫
 アメニティづくりは、県、市町村、住民(企業、団体を含む。)が、役割と責任を分担しあいながら、推進していくことが大切です。
 このため、ここでは次の4つのテーマについて、それぞれの役割分担を整理します。

◆ アメニティ意識の向上
◆ 組織、体制づくり
◆ アメニティ計画づくり
◆ アメニティづくりの実践



テーマ 県の役割 市町村の役割 住民、企業、団体の役割
アメニティ意識の向上 ・事業を進める立場となる職員一人ひとりが生活人としての感覚を持ち、アメニティ意識を育んでいく必要があります。
・各市町村や住民に対して、アメニティ意識を広く普及・啓発していく必要があります。
・地域に最も密着した行政として、地域の状況を把握し、職員一人ひとりが生活人としての感覚を持ちアメニティ意識を育んでいく必要があります。
・住民とのコミュニケーションを図り、住民にアメニティ意識を普及啓発していく必要があります。
・日常的にアメニティについて、考えあい、参加しあい、また良いものにふれあう中で、自らが守り、育て、つくろうとするアメニティ意識を育んでいく必要があります。
組織、体制づくり ・アメニティづくりに関わる施策や事業などについては国と市町村間のパイプ役として、縦の連絡を強化する必要があります。
・総合的な観点からアメニティづくりを実践するために、庁内における調整能力(横の連絡体制)を強化するとともに、アメニティ的観点からのチェック機関を設置する必要があります。
・住民のアメニティ・ニーズが行政施策に反映されるよう、またアメニティづくりに向けて広く住民の意見を求めるため、住民参加の組織をつくる必要があります。
・県と同様、庁内における調整能力を強化するとともに、アメニティ的観点からのチェック機関を設置する必要があります。
・住民自らのアメニティづくりを活性化するため、自主活動グループを積極的につくる必要があります。
・身近にある活動団体(自治会、婦人会、青年団、子供会など)のアメニティづくり活動に積極的に参加する必要があります。
アメニティ計画づくり ・本プランに示したアメニティ像を実現するために、市町村や住民のアメニティ計画づくりを推進支援していく必要があります。
・本プランに示した各ゾーンのアメニティづくりの基本的方向を参考としながら、市町村の創意工夫のもとに、アメニティ計画づくりに努める必要があります。 ・市町村のアメニティ計画づくりの経過の中で策定会議やアンケート調査を通して積極的に意見を言っていく必要があります。
・自治会や自主活動グループなどの中で地区アメニティ計画を積極的に策定する必要があります。
アメニティづくりの実践 ・県が主体となって行う事業や県の公共施設の整備にあたっては、本プランの内容を踏まえて、好感性、美感性に配慮しながらアメニティづくりを実践していく必要があります。
・市町村や住民が行うアメニティ向上のための施策・活動に対して必要な指導、助言および支援を行う必要があります。
・アメニティづくりに関わる新しい取り組み方や施策、制度などについての研究を行っていく必要があります。
・アメニティ計画に盛り込まれた各種事業や活動を積極的に展開するとともに、県および住民との連絡調整、意見調整を行う必要があります。
・住民に最も近い行政として、住民や企業、団体が行うアメニティ向上のための活動に対して、助言および指導を行う必要があります。
・アメニティづくりに関わる新しい取り組み方や施策、制度などについての研究を行っていく必要があります。
・地域に誇りと愛着をもって、アメニティづくりの活動に参加、協力するとともに自らが実践者となって、地域らしさをいかしたアメニティづくりを行っていく必要があります。


≪組織づくりをすすめる≫
 アメニティづくりは、コミュニテイづくりとも言われます。このため、住民同志、住民と行政、行政内部が交流し、お互いの合意形成を図るための組織が必要です。このような組織は、アメニティづくり推進の中では、中心的役割を担うものであり、意識の普及・啓発から実践まで、具体的な活動内容を企画、堆進していく役割を担っています。

(住民の自主的組織づくり)
 アメニティづくりは、身近な環境の中での自主的な取り組みが重要といえます。現在でも、自治会や町内会単位から県レベルの市民団体まで、住民の自主的な体制の中で、アメニティづくりが展開されています。しかしながら、これらは、応々にして横の連絡がなく、それぞれが独自に活動しているのが実情といえます。
 今後は、それぞれの組職が交流、協力、調整していく中で、アメニティづくりの輪をひろげていくことが望まれます。

(住民参加の組織づくり)
 アメニティづくりの主体は住民です。本プランの策定にあたっては、様々な立場の方々の協力を得て協議会がつくられましたが、このプランで提案されたアメニティ像を、できることから実現していくためには、住民の参加と協力が必要です。今後は、実践のための参加組織として、テーマごとに関係する住民、企業、団体、行政が一つのテーブルにつけるような組織づくりが望まれます。

(行政内の組織づくり)
 アメニティづくりは、住民と行政が、協力して実践していくものですが、これを整理、コントロールしていくのは、行政が主導的となります。
 このため、住民のアメニティ・ニーズに的確に対応した各種行政施策を、効率的・一体的に推進するため、国、県、市町村の縦の連絡を密にするとともに、行政内部においても、総合的な観点からアメニティづくりを実践するための調整能力を強化することが望まれます。

(外部との交流)
 テーマに応じて、国や他府県の協力あるいは学識経験者、コンサルタントなどの協力が必要な場合もあり、これらの人々の参加を得て意見を交換し、各施策・活動に反映していくことが望まれます。《人材(リーダー)の育成≫
 まちづくりの先進地では、そこには必ず地域活動に熱心な人達がいて、彼らがまちづくりを企画、調整、運営し、住民をリードしている姿が見られます。このことから、アメニティづくりにとっては、地域リーダーと行政内の専門職員の発堀、育成が、その成否を握っているといっても過言ではありません。


≪地域のリーダーの発掘、育成≫
 地域の中の牽引者として決断力と行動力があり、地域の実情に明るく、人望もあるという人材を探しだすことは非常に難しいと思われがちです。しかしながら、余暇時間の増加やボランティア活動への参加意欲の高まりを見せている今日、適切な情報の収集や、参加機会の拡大を図ることにより、民主的で活動的なリーダーは、必ず探しだせるものであり、また、リーダーも育っていくものです。

(行政内の専門職員の育成)
 アメニティづくりの中で、行政が実践する道路、公園、公共建築物などの景観やデザインは、住民のアメニティ意識や、住民自らが行うアメニティづくりへの波及効果が大きく、これらの施設のデザイン化、緑化に対する配慮が重要となります。このため、これらに携わる行政職員一人ひとりの、アメニティに対する理解や考え方を向上させるとともに、先進地の視察や研修などにより、景観やデザインに関する専門的な職員を養成したり、これらの職種の人材を登用するなどして、行政内のアメニティづくりの田リーダーとなる職員を育成していくことが望まれます。


≪アメニティづくりを継続的に実践していくためのシステムづくり≫
 アメニティ豊かな環境とは、それをつくっても維持管理する努力を行わなければ、元に戻ってしまう性質のものです。このため、アメニティづくりが一時的なものとならないよう、継続しやすいシステムづくり、維持管理していくシステムづくりが重要となります。

(市町村基本構想等での位置づけの明確化)
 市町村における行政施策のベースとなる計画としては、基本構想、基本計画などがあります。これらに定められた年次計画により、各行政施策が展開され、アメニティに関する施策も、これらの上位計画の中で推進することになります。このため、幅広い行政分野に及ぶアメニティづくりを、一体的・効果的・継続的に推進していくため、これらの上位計画の中で、アメニティづくりを明確に位置づけることが望まれます。

(アメニティ計画づくり)
 アメニティづくりを継続的に実成していくためには、進むべき基本方向を定め、それに対して進捗状況を常に確認し、見直しを行っていくための基盤が必要です。このため、市町村や住民は、アメニティづくりの基磐となるアメニティ計画をつくることが望まれます。

(実践と維持管理のルールづ<り)
 住民と行政が協力してアメニティづくりを計画し、実行し、管理するというサイクルができることによって、『自らが守り、育て、つくった我がまち』という愛着もわき、活力あるコミュニティも生まれます。行政にまかせず、住民がコミュニティの輪の中で、主体的に住宅などの建て方や住まい方のルールをつくり、地域の連帯に支えられた形で、継続的にアメニティづくりを実践していくことが望まれます。

 ◎住民主体のルール
  ・法的に位置づけられた協定……建築協定、緑化協定、地区計画など
  ・民間レベルの協定………………まちづくり協定、環境協定、公共施設などの維持管理協定など

 ◎アメニティづくりを支援していくルール
  ・行政施策への支援システム………修景工事の1%上乗システムなど
  ・民間の協力による支援システム……アメニティ基金制度など




W−2 ゾーン別の施策・活動

 アメニティづくりを広義にとらえると、それは行政のあらゆる施策と住民のあらゆる環境形成活動を含んでおり、その範囲は膨大なものとなります。
 また、アメニティづくりは実桟していくことに意義があり、まずできることから始めることが重要です。このような観点から、県内で現在までに進められてきた、アメニティづくりの行政側の施策と住民の活動を基本的条件として尊重した上で、ここでは、今後、行政や住民が推進すべき施策活動を体系的に整理します。
 さらに、これらのアメニティづくりの施策・活動を効果的に推進するための主な技術手法や運用手法について、事例を交えて紹介します。
 なお、これらの体系化にあたっては、第V章で整理した5つのゾーンの各基本目標を基盤として、各ゾーンごとの施策・活動を展開します。


(1) 山のゾーンの施策・活動

基 本 目 標 推進すべき施策・活動
@ 山の貴重な自然を保護する ・自然植生の保全
・山の貴重な動植物の保全
・保安林の指定、保全
・自然保護意識の普及・啓発
A 山の景観の保全と創造を図る ・山林開発にあたっての周辺環境との調和
・季節の変化が感じられる木、花の植栽
・山の景観のシンボルとしての活用
・産業廃棄物、ゴミ等に対する行動ルールの確立
・景観保全意識の普及・啓発
B 山に学び、山とのふれあいを促進する ・山の自然に親しむ施設などの整備と利用促進
・山の自然に親しむ活動の促進
・自然の恵みとのふれあいの促進
・施設の維持管理体制の確立
・山に親しむマナーの確立
イメージ


●山の開発にあたつての景観保全の手法例

○道路
 ・法面の緑化をすすめる。
 ・積極的に修景する。
 ・ガードレールなどの色彩や材料に配慮する。
○開発における留意点
 ・開発可能区域、開発許可条件の設定をする。
 ・地形改変をできるだけ小さくとどめる。
 ・法面の緑化に努める。
 ・宅地開発
   建物の高さをおさえる。
   建物意匠、色彩に配慮する。
   周辺との境界部に保全ゾーンをつくる。
   緑化協定、建築協定の実施を検討する。
 ・施工上の配慮
   表土を保全する。
   木樹を保全する。
   適切に土捨場、土取場を設定する。
○その他工作物
 ・利用目的に応じた整備水準とする。
 ・周辺環境との調和をはかる。
 ・適切な維持管理を行う。


●山からの眺望を保全するための手法例

 ・下方に見える建物屋根の色彩を統一する。
 ・工作物の規制、指導をする。
 ・電線などの地下埋設をすすめる。
 ・眺望範囲の森林は皆伐を避け、適切な育林施業をする。
 ・まちなかに見える緑を大切にする。
 ・眺望点周辺の環境整備に努める。


●緑豊かな山を創出するための手法例

 ・皆伐を避け、できるかぎり択伐とする。
 ・植林地では、除伐、間伐、技打ち等の育林を 適切に行い、美林をめざす。
 ・植林地をむやみに拡大せず、広葉樹林を残して、森林の多様性を保つ。
 ・山の遠景、近景に配慮する。


●山の自然に親しむ施設の例

前坂家族旅行村(和泉村)
 家族旅行村は、特に家族、グループ利用を主とした保健休養と余暇活動の場として、自然と親しみ、ふれあいを求める自然志向型の総合的な観光レクリエーション地区です。子供を安心して遊ばせられる芝生広場やバーベキュー広場、ログケビン15棟などがあります。また、キャンプ場は500人を収容することができます。
杣山史跡森林公園(南条町)
 南条町、今庄町両町にまたがる標高500mの杣山は城跡として国指定史跡となっており、この歴史性をいかし、キャンプ場や登山道、遊歩道が生活環境保全林整備事業の一環として整備されています。
県民憩いの森(織田町)
 ここからは、日本海、白山連峰、福井平野等が一望できます。バンガロー村やキャンプ場のほかに、いこいの森センター、遊歩道、休憩所、展望台等も整備されています。


【県内における生活環境保全林整備事業】
 森林のすぐれた自然環境を保全するとともに、県民に憩いとやすらぎの場を提供するために、以下のような施設が整備されています。

県内の生活環境保全林整備事業状況   (平成元年度現在)
番号 名  称 位  置 区域面積
@ 三崎(県民憩いの森) 丹生郡織田町三崎 124ha
A 杣山(杣山史跡森林公園) 南条郡南条町阿久和 131ha
B 河内(若狭森林公園河内の森) 遠敷郡上中町河内 136ha
C 国見岳(国見岳森林公園) 福井市奥平町 196ha
D 安養寺(みどりと自然の村) 武生市安養寺 50ha
E 浄法寺(青少年旅行村) 吉田郡永平寺町浄法寺 55ha
F 刈安山(刈安自然公園) 坂井郡金津町清滝 90ha
G 大島(大山マウントパーク) 大飯郡大飯町大島 47ha
H 今  泉 南条郡河野村今泉 28ha
I 青  井(施工中) 小浜市青井 27ha
J 横  谷(施工中) 遠敷郡名田庄村横谷 95ha
K 八ツ杉(施工中) 今立郡今立町別印 18ha


●山の自然とふれあう活動の例

自然観察ウォーク
 自然観察ウォークは、身近な自然や動植物に親しもうと、県が毎年春と秋の2回行っているものです。第8回自然観察ウォークは、平成元年6月11日に開かれ、自然観察指導員の説明を開きながら、福井市一乗谷付近の野山を散策しました。
バードウォッチング
 近年、山の自然の中で、渡り鳥をはじめとする野鳥の観察活動が、県内各地で行われています。これらの活動は、野鳥の保護活動であるとともに、自然環境の保全にもつながる活動と考えられます。


●森林づ<りを通した保全意識の普及、ふれあいづくりの例

みどりと水の森林基金

 近年の山村、林業をめぐる厳しい情勢の中で、山村の人々の努力のみでは、森林を守り育てることが困難となってきています。このため、県民参加の森林づくりを進めることを目的として、「みどりと水の森林基金」による森林の整備や緑化を推進しています。

緑のオーナー制度

 昭和59年度から林野庁で行われている施策です。国有林について、その管理費、保育費、森林保険料等の費用を負担してもらう契約者を募集し、その契約者には伐採後に利益を還元する制度です。県内では、敦賀市において実施されています。

分収造林・育林制度

 制度の内容は緑のオーナー制度とほぼ同じですが、各自治体を中心として取り組まれているものです。自治体によっては、この制度を中心として契約者との交流会や地場産物の宅配、バンガローの無料貸し出しなど、人とのふれあいづくりが行われています。


●自然の恵みとのふれあいの例

みかん園(敦賀市) 山菜採取園、栗拾い園(永平寺町)

県内の観光農園
市町村 場所 対象品目 規模 開園時期
ha 月旬〜月旬
福井市 佐野 いちご 1.0 5中〜6上
鷹巣 ぶどう 0.5 8上〜9中
いちご 0.4 5中〜6上
さつまいも 0.24 10中〜11上
敦賀市 東浦 みかん 7.0 10下〜11下
沓見 く  り 1.0 9上
武生市 白山 5.5 9中〜11上
丸岡町 為安 いちご 0.3 5上〜5下
朝日町 小倉 ぶどう 0.4 8下〜9中
越廼村 八ツ俣 みかん 4.0 10中〜11中
三方町 岩屋 な  し 3.0 8下〜9下
伊良積 観  梅 6.0 2中〜3中
海山 か  き 0.5 10下〜11下
高浜町 鎌倉 ぶどう 0.7 8上〜9中
(資料:県民手帳)
● 地場産材の有効利用例
地場産材を利用した案内板
(名田庄村)
まちのシンボル塔(美山町)


(2) 水のゾーンの施策・活動

基 本 自 標 推進すべき施策・活動
@ 美しい水と流れの保全を図る ・法令、協定による水質浄化
・生活雑排水対策による水質浄化
・下水道、合併浄化槽の整備・普及
・水源涵養林の保全・育成・ダム調整による水量確保
・生態系保全護岸の整備
・身近な小川、湧水の保全
・水質保全意識の普及・啓発
A 海、川、湖、湧水の水辺景観の保全と創造を図る ・計画的な自然海岸の保全
・水辺開発における周辺環境との調和
・白砂青松、堤防の桜並木等の保全
・海岸の後背地、河川堤防等の緑化
・海、川、湖、湧水のクリーン作戦
・海、川、湖、湧水のシンボルとしての活用
・せせらぎの復活
・磯浜、砂浜の復元
・景観保全意識の普及・啓発
B 水に親しみ、水とのふれあいを促進する ・親水護岸の整備
・水にふれあう施設の整備
・河川高水敷等の公園化
・防波堤、護岸等の修景化
・海や川にふれあうイベントの開催
・河川等への魚の放流
・施設の維持管理体制の確立
イメージ
≪川辺≫
≪海辺≫゜


●水環境の保全を図る環境護岸の例

 景観、親水性、生態系等の保全や利用性の向上等、環境の保全を図る護岸を総称して「環境護岸」といいます。

環境護岸の種類



親水・河川利用護岸 階段護岸
緩勾配護岸
階段・緩勾配組合せ護岸
その他
生態系保全護岸 魚類保全護岸
ホタル保全護岸
その他
景観保全護岸 緑化護岸
修景護岸
既存護岸の垂直緑化
その他の護岸


【親水・河川利用護岸】
・階段護岸
 護岸を階段状にすることで、親水性や利用性を高めようとするものです。特徴的な利用としては、高水敷が球技場や運動場に整備された所にみられる観覧席護岸や船着場を兼ねたものなどがあります。
・緩勾配護岸
 低水護岸の勾配を緩やかにし、高水敷と低水敷問のアプローチを容易にすることによって、親水性を向上させることを目的にしています。
青森県大和沢川の階段護岸 北海道奈井江豊平川の緩勾配護岸

【生態系保全護岸】
 生態系保全護岸は、水中の生物や植物の産卵、成育、洪水時の避難場所としての機能をもつ護岸であり、魚類、ホタル、自然植生、野鳥などの保全を目的としています。
福岡県唐ノ原川のホタル保全護岸 岩手県涼川の魚類保全護岸

【景観保全叢岸】
・緑化護岸
 コンクリート護岸などがもつ無味乾燥さを、護岸の一部に植栽することによって修景する工法です。緑化護岸には、用いるブロックや工法によって、法枠工植栽護岸、連節ブロック護岸、緑化ブロック護岸、コンクリートブロック植栽護岸などがあります。
・修景護岸
 修景を目的として、護岸のデザインや素材などに配慮している護岸であり、自然石護岸やカラーブロック護岸、法枠ブロック護岸などがあります。
東京都仙台堀川の緑化護岸 修景護岸の例(今立町)


●水辺の復活と水質浄化作用

【砂浜の復元と水質浄化作用】
 見た目に美しい白砂青松の砂浜は、水泳などレクリエーションの場としての価値が高いだけでなく、海や湖の水質浄化にも貢献しています。
 砂粒の表面積は見かけよりずっと大きく、表面には微生物が無数に付着し、これらによる有機物の分解などを通して、水をきれいにしています。また、砂には、海や湖の富栄養化の原因となるリンを吸着する性質があります。
 このようなことから、砂浜の保全だけでなく、一部の地域では、これまでのコンクリートの堤防や消波ブロックを撤去することなどによって、砂浜や磯浜を復元させようとする動きもみられます。
コンクリート護岸と消波ブロック なぎさの復活(滋賀県大津市)

【まちの中のせせらぎの復活(東京都江戸川区の中小河川親水公園化)】
 江戸川区の川は、かつては農業用水や舟運に利用され、水泳や魚取り、あるいは洗いものなど、生活の中にいかされてきました。しかしながら、昭和30年代後半から、家庭雑排水が流れ込み、ゴミと悪臭のドブ川と化しました。
 こうした状況の中で、下水道事業が進み、これらの川は不要となったため、跡地利用の検討がなされました。現在では、古川親水公園や小松川境川親水公園などが整備され、河川としてのせせらぎの復活がなされています。
小松川境川(昭和55年) 小松川境川親水公園(昭和60年)


●周辺環境との調和を図った水辺開発の例

ダム周辺の修景化(清水町)
 良好な自然環境の中にある滝波ダムでは、周辺環境と調和した緑化および修景化が図られています。
人工海浜化(小浜市)
 小浜市鯉川海浜公園では、運輸省の「海岸環境整備事業」により延長800mの人工海水浴場が整備されています。


●水をきれいにする例

・河川、海浜清掃活動
 「川の日」、「河川清挿週間」、「海岸愛護月間」などを定めて、住民や事業所、各種団体などが協力しあって行います。また、ポスターや標語の募集、報道機関への協力要請などを行い、運動の普及・啓発を図ります。
・濯桝の設置
 水路等にくぼ地(溜桝)を設け、汚泥を除去するもので、北潟湖や三方五湖周辺で行われています。
・コンポストの設置
 生ごみなどを有機資源として有効利用(堆肥化)するとともに、ゴミ収集の省力化を目的として行います。

浄化施設をつけた排水設置の概念図 家庭でできる浄化対策
@流し台に三角コーナー、ろ紙袋などをセットして、調理くずや食べ残しは回収して流さない。
A食用油や食器の油などは、紙などで吸い取って 回収する。
B洗濯は、石けんをきめられた量を計って使用し、洗濯機にはくず取リネットを付けて、糸くずなどを回収する。
Cし尿浄化槽は正しく使用し、定期的に側溝を清掃して、残土等を回収し、河川へのヘドロ流出を 未然に防止する。

【全市民の手による歴史的水辺の再生(福岡県柳川市)】
 水郷として知られる柳川は、市内を縦横にめぐる堀割によって、都市の基盤がつくられており、遊水池や農業用水、地下水の涵養などの機能のほかに、舟運や魚釣り、川祭りなどにも利用され、市民の暮らしと密接に関わってきました。しかしながら、戦後、農作業の省力化、舟運の衰退、上水道の普及などにより、維持管理がなおざりになり、急速に荒廃汚染が進み、川は親しみの薄い存在となりました。
 このような中で、昭和52年にこれらを下水路に改変し、駈車場などにしようという都市計画が持ち上がりましたが、このとき市役所の担当係長が、堀割の機能と役割を見直し、むしろ浄化して生活に役立てることを逆提言し、これが市民に理解認識されました。このことにより、全市民によるまちぐるみの浄化活動が展開され、堀割はかつての清流を取り戻しました。今では沿岸の緑化や遊歩道化が進められており、潤いのある都市空間を市民や観光客が楽しんでいます。
水辺のプロナード 市民による河川美化活動

【まちの中の河川高水敷の親水公園化(福井市足羽川)】
 足羽川は、足羽山とともに市民の憩いの場として位置づけられ、かつては、足羽川両岸一帯は3月になると、足羽山の緑を背景に桃花が咲きほこり、また、重要な水運の地でした。現在の足羽川は、桃花の代わりに桜が植えられ、花見やこいのぼりの季節、夏祭りの時は大変な賑わいを見せていますが、日常的にはかつての親しみはなくなっています。
このため、日常的に足羽川へ市民を呼び戻そうと、現在、河川緑地として芝生広場や修景施設が整備されています。


●水を美しくする活動例

ニ夜の川を美しくする会(敦賀市)
ニ夜の川にコイ等の稚魚を放つ会員たち
海岸の清掃(越前町)
全員参加で海岸美化に努力する住民たち


●水に親しゐ、水とのふれあいを促進する活動例

【「よこはまかわを考える会」のどぶ川イベント(横浜市)】
 川に対する市民の関心を呼び戻し、水辺の活性化を図ろうという目的のもとに、昭和52年、市職員30名が中心となり「よこはまかわを考える会」をスタートさせています。これは、自分たちで川の新しい活用に挑戦してみようと、いくつかのイベントを実践するものです。
(主要な活動)
・屋形舟による夕涼み会
・カヌーフェスティバル
・クリーンフェスティバル
 クリーンフェスティバルは河川清掃のイベント化ともいえる行事で、年1〜2回行われ、清掃自身は、毎週行われています。イベントでは、バーベキュー、もちつき、シンポジウム、バンド演奏、ザリガニ放流、子供主役のアドベンチャーなどを行っています。
(資料:「市民の安全、環境」−シリーズ自治を創る15)
'88カヌーフェスティバル 大岡山クリーンフェスティバル

(3) 歴史のゾーンの施策・活動
基 本 自 標 推進すべき施策・活動
@ 歴史に富んだ地区や建物等の保全を図る ・史跡、名勝、天然記念物の買い上げ・修復
・民俗、無形文化財の保存
・歴史的町並みの保存
・文学碑、記念碑等の保存
・鎮守の森や由緒ある大木の保存
・古い建物、地名等の保存
・文化財等の調査
A 歴史的景観の保全と創造を図る ・歴史的寡囲気に配慮した建物の建築
・看板や広告物、電柱等の景観的配慮
・歴史的資源のシンボルとしての活用
・景勧保全意識の普及・啓発
B 歴史に学び、歴史とのふれあいを促進する ・史跡公園(城跡公園、古墳公園など)の整備
・歴史にふれあうルート(歴史散策路)の整備
・案内板、ガイドブック等の整備
・歴史にふれあう施設の整備と利用の促進
・歴史にふれあうイベントの開催と参加の促進
・郷土史の整理、編纂
・歴史にふれあう施設の維持管理体制の確立
イメージ


●歴史的雰囲気に配慮した建物建築や景観的配慮の例

保存建造物としての指定
 条例や保存会等による活動のなかで、各地域の歴史的建物等を保存建造物として指定し、その保存に努めることが望まれます。特に重要なものは各市町村や住民が買い上げを行って、郷土資料館や休憩所(茶屋など)として、有効に活用していきます。また、買い上げの資金などについては、アメニティ・トラスト等の基金制度を確立していくことが必要です。
景観的配慮の工夫
 保存建造物周辺においては、鋪装の工夫(石畳舗装や落ちついた色彩のブロック舗装など)や景観に配慮し、統一した広告物の設置、敷地内緑化の推進や木塀・生け垣などの連続化を行うなど、歴史性のある景観づくりに取り組んでいくことが望まれます。
(資料:盛岡市アメニティ・タウン計画)

【「重要伝統的建造物群保存地区」制度】
 昭和50年の文化財保護法の改正により生まれた、町並みの“重要文化財〃 の制度です。これで、重要伝統的建造物保存地区に選定されると、町並み整備のための修理修景、消火等の防災施設、民家の買い上げなどの町並み保存事業が進められます。現在、長野県妻寵など25市町村29地区が選定されています。
妻籠宿(長野県)

【全園町並み保存連盟と保存ゼミ】
 歴史的環境保存の住民側の全国的な運動母体として、昭和49年に生まれた全国町並み保存連盟があります。
 同連盟では、住民だけでなく、学者、専門家や行政関係者に呼びかけて、昭和53年に第1回「全国町並みゼミ」を開催し、現在迄に12回を数えています。
(全国町並みゼミ開催地区)
S.53 愛知県 名古屋市、足助町
S.54 滋賀県 近江八幡市
S.55 北海道 小樽市、函館市
S.56 香川県 琴平町
S.57 東京都
S.58 大分県 臼杵市
S.59 長野県 飯田市
S.60 兵庫県 龍野市
S.61 福島県 会津若松市
S.62 三重県 松阪市
S.63 沖縄県 竹富島
H.元 栃木県 栃木市


●歴史的建築物等の保存例

板取(今庄町)
 板取は、かつて北国街道の宿場町として栄えましたが、現在は過疎化が進行し、残っている建物も数軒を数えるにすぎません。しかしながら、伝統的町並みを保存しようと独自の条例を制定し、保護、保存に努めています。
熊川(上中町)
 熊川は鯖街道の宿場町として、また、国境の要衝として栄えたまちで、保存状態が良く、古くからの町並みを今もよく伝えています。 地区でも、「熊川宿保存特別委員会」が結成され、町並み保存に取ワ組んでいます。
朝倉氏遺跡(福井市)
 国の特別史跡に指定されている朝倉氏遺跡では、戦国大名朝倉孝景が一乗谷に築城してから、織田信長に滅ぼされるまでの5代にわたる103年間、栄華をきわめた戦国文化の跡がうかがえます。


●歴史的シンボルとしての活用例

三国町郷土資料館 河野村の北前船館 ライトアップが行われている大野城
町のシンボルとして、かつての龍
翔小学校を模してつくられました。


●名不を利用したまちづくり、むらづくりの例

【巨木の里づくり(佐賀県武雄市)】
 全国のベストテンに入る樹齢3千年のクスの木が2本あり、温泉の町としても知られる佐賀県武雄市は、「ふるさと創生資金」を活用して、平成2年度から「巨木の里づくり」に取り組みます。大クスが生き残った豊かな自然環境を守り、うるおいのあるふるさとづくりを目指しており、事業の内容は次の通りです。
 ・3つの大楠(クス)公園づくり
  市内にある3つの大クス周辺を公園化し、巨木の保護を図ります。また、将来は観光コースも設定する予定です。
 ・平成の森づくり
  市の中心部近くにある柏岳(標高238m)にキャンプ場や宿泊研修施設、森林浴ができるレクリェーションゾーンを建設します。
 ・プロモーションビデオの製作
  「巨木の里づくり」の紹介を含めたビデオを、観光や企業誘致、教育用などに役立てます。
 ・巨木サミットの開催
  全国の巨木、名木を持つ市町村に呼びかけ、巨木サミットを開催し、それぞれの木の歴史を語り、合わせて自然保護のあり方を考えます。

【新・福井名木10選】
 国際花と緑の博覧会協会と読売新聞社は、平成2年4月から開催される「花の万博」を記念して、「新・日本名木百選」を選定しました。その一環として、本県の候補となる木が「新・福井名木10選」として選ばれています。
 樹種、大きさ、木の姿、人々との結びつきなどを考慮して、以下の樹木が選定されました。
白山神社のカツラ(大野市)
西光寺の大杉(勝山市)
専福寺の大ケヤキ(大野市)
梶神社のタブノキ(三国町)
三峯のイチョウ(鯖江市)
山ノ神神社のトチノキ(敦賀市)
苅田姫神社のムクノキ(名田庄村)
万徳寺のヤマモミジ(小浜市)
西福寺のスタジイ(敦賀市)
円成寺のみかえり松(三方町)
県内一の巨木の白山神社の
カツラ(大野市下打波)


●歴史性をいかした公園整備の例

紫式部公園(武生市)
 源氏物語で有名な紫式部が、若き日を武生で暮らしたことにちなみ、寝殿造り庭園と歌碑、紫式部像、釣殿などが整備されています。
名水歴史公園(上中町)
 名水100選に選ばれている瓜割の滝を中心に、天徳寺馬頭観世音などの歴史性も含めて、一体的な公園整備を行っています。


●歴史にふれあうイベントの例

源氏物語アカデミー(武生市)
 「源氏物語」の作者で知られる紫式部が、青春時代の何年かを武生で過ごした史実にちなんで、源氏物語に関する講義、講演、紫きぶ御膳などのイベントが行なわれています。
縄文まつり(三方町)
 鳥浜貝塚に代表される地区の歴史を背景として、昭和62年より縄文体験村や土笛コンサート、丸木舟競争などのイベントが行なわれています。

(4) まちのゾーンの施策・活動
基本目標 推進すべき施策・活動
@ らしさをいかした魅力ある
都市景観づくりをすすめる
・景観に配慮する意識の普及・啓発
・違法駐車、放置自転車対策の推進
・屋外広告物、看板等の景観配慮
・電線類の地中化
・都市景観ガイドプランの策定
・建築物、構造物のデザイン化、シンボル化
・緑と水をいかしたまちかど空間の創出
・楽しく、情緒ある歩行者空間の創出とネットワーク化
・憩える空間を利用したイベントの開催
・環境デザイン委員会等の設置
・工場敷地内緑化の推進
・コミュニティ道路の整備
・サンクチュアリーの整備
・地場産材の活用
A 住民参加の活力あるまちづくりをすすめる ・まちの自然、歴史、文化等の再発見運動
・ゴミなしクリーン作戦
・生け垣づくり、緑化運動
・協定・申し合わせの活用(建築協定、緑化協定、
地区計画制度、まちづくり申し合わせなど)
・アメニティ計画づくり
・コミュニケーション形成の場の創出
・学校教育、社会教育等を通した環境学習
・むらや他のまちとの交流の実施
・住民利用施設の維持管理体制の確立
B まちの中の緑、水、歴史の保全を図る ・公園、鎮守の森、高木等の保全
・河川、水路、湧水等の水質浄化
・歴史的建築物の保全
C 雪に強いまちの形成を図る ・堆雪場所の確保
・消雪、融雪、堆雪施設の整備
・冬期交通体系の確立
・住民ぐるみの除排雪体制の確立
・雪に親しむイベントの開催
イメージ
≪商業地≫
≪住宅地≫


●魅力ある住宅地景観づくりの手法例

1建築物
 ○配置・規模
 ・前面道路からゆとりをもった配置とする。
 ・既存樹を活用できるよう配置を工夫し、伐採はできるかぎり避ける。
 ・角地はできるかぎり隅切や入隅等により、有効なオープンスペースを生み出す。
 ・アパート、マンションなどは、自動車や自転車の.駐車スペースを確保する。
 ○形態
 ・周囲の家並みとの調和を考慮し、敷地内や筋向かいからなど、いろいろな視点からの景観に配慮する。
 ・建物の周りを緑、花、水で演出する。
 ○正面性
 ・アイストップとなる建築物は、正面性に十分配慮する。
 ・門や玄関先の緑を増やして、奥ゆかしさを演出する。
 ○色彩
 ・遠方からの眺望に配慮し、周辺の家並みや自然環境と調和する色にする。
 ・素材色など、やわらかい色が望ましい。
 ○素材
 ・維持管理を考慮し、長期にわたり変質・変色しないものとする。
 ・反射材の使用は控える。
既存樹を活用できるよう配置を工夫する。 二階に花を置き、正面性に配置する。 門、玄関を一体的にデザインする。


2工作物等
 ○
 ・緑あふれる環境づくりを進めるため、なるべく生け垣とする。
 ・風土にあった落ち着いた感じを持つ素材(石、木など)を使用し、樹木や花を植え込む。
 ・ブロック塀や金網フェンスなどはツル性植物などによって緑化をはかる。
 ○広告物
 ・規模、数は最小限とし、原則として一つの建築物に設置する広告物は一つとすることが望ましい。
 ・広告物の形態は、設置される建築物、周囲の建物、地域の特徴に調和するようなデザインが望ましい。
 ・高さは、建築物より高くしないことが望ましい。
 ・彩度の強い色の使用はなるべく控え、色数も多数使用することは避ける。
 ・風土にあった材質の使用が望ましい。
(資料:松本市建築物、広告物等デザインマニュアル《手引書》)
ツタによりブロックをかくす。 建物より高くしないことが望ましい。


●魅力ある商業地・業務地景観づくりの手法例

1公共空間
 ○道路空間
 ・電線類の地中化を推進し、すっきりした道路景観を形成する。
 ・歩道部では、地域らしさをかもしだすように舗装の工夫や休憩施設の設置、特色ある植栽化等を行う。
 ・放置自転車の撤去活動を推進する。
 ・ゴミや空き缶等追放を行うとともに、ゴミ箱等の修景化を図る。
 ○公園
 ・緑量感あふれる公園空間をつくる。
 ・公園内では緑、花、水などにふれあえる施設整備を行う
 ・特に、公園の周囲の緑化に努めるとともに、特色あるゲートなどにより、出入り口をシンボル化する。
周辺環境に調和させる。 通りで共通したものでする。

2建築物
 ○配置・規模
 ・セットバック、ピロティーの採用により、道路沿いにゆとりの空間をつくる。
 ・建築物の共同化や隣地との連続した空地の確保などにより、有効な空間をつくる。
 ・用途や規模により緑化スペースを設ける。
 ○形態
 ・建築物との相互関係の中で、連続性を確保する。
 ・道路から見た場合、圧迫感を与えないようにする。
 ・建築物の周りを緑、花、水で演出する。
 ○正面性
 ・アイストップとなる建築物は、正面性に十分配慮する。
 ・ベランダ、窓辺をプランターや鉢植えで飾るなど、立体的な緑化を図る。
 ・店舗等は閉店時の景観に配慮し、照明やシャッターなどを工夫する。
 ○色彩
 ・通りや街区の性格に調和する色にする。
 ・空の青、山の緑、土の色などと調和する色にする。
 ・周囲との調和に配慮し、落ち着いた色を基調とする。
 ○素材
 ・維持管理に考慮し、長期にわたり変質・変色しないものとする。
 ・風土にあった地場産材を活用する。
セットバックにより道路沿いに
空間をつくる。
角地に公共空間をつくる。 街区の性格に調和する色とする。

建築物に調和するデザインとする。
3工作物等
 ○屋外設備
 ・給水塔などの設備の周りは、囲うなどの遮蔽措置を行う
 ・スカイラインをすっきりさせるようにする。
 ○広告物
 ・雑居ビルにおけるテナントの名称表示については、大きさやデザインを統一するなどの工夫を行う。
 ・地域や通りのイメージにあう色調とする。
 ・長期間美しさを維持できるように、耐久性のある素材とする。
(資料:松本市建築物、広告物等デザインマニュアル《手引書》)


●魅力ある工業地景観つくりの手法例

1建築物
 ○配置・規模
 ・建ぺい率を低くおさえ、ゆとりをもたせる。
 ・前面道路、隣地境界線からできるかぎり後退する。
 ・既存樹を活用できるように配置を工夫し、伐採はできるかぎり避ける。
 ○形態
 ・建物全体のバランスのとれた美しさに配慮する。
 ・道路から見た場合、圧迫感を与えないようにする。
 ・建築物の周りを緑、花、水で演出する。
 ○正面性
 ・出入り口周辺には、ゆとりのある空間をつくる。
 ○その他
 ・彩度の低い色調にする。
 ・建築物周囲の舗装等は、その利用目的や周囲との調和をはかる。
 ・長期にわたり、変質・変色しないものにする。
全面道路からできる限り後退する。 存外樹をうまく活用する。 建物の周辺を緑化する。

2工作物等
 ○
 ・長く続く塀などは、歩行者に圧迫感を与えないようにできるかぎり低くして、必要以上に設けない。
 ・高木、低木などによる複合緑化を行う。
 ・よう壁は、圧迫感のない形態、デザイン、緑化に配慮する。
 ○広告物
 ・周辺環境を考慮して、落ち着いた色を使用する。
 ・縦型の屋上看板は避け、建物と一体化した看板とする。
 ・工場等へ誘導する野立て看板は、各社共同で規格を統一するなどの配慮を行う。
(資料:松本市建築物、広告物等デザインマニュアル《手引書》)
金属フェンスは植栽で
目立たなくさせる。
高木、低木による複合緑化を行う。
歩行者に圧迫感を与えないよう,
透過性の高いフェンスをする。
よう壁の圧迫感を軽減する。
縦型のものは避け、建物と
一体化させた看板とする。


●住民と行政によるまち並み景観づくり

【地区計画制度の概要】
決定主体 市町村
決定手続 1.通常の市町村の都市計画決定手続の他、案の作成時における土地所有者等利害関係者の意見の聴取が義務付けられている。
2.計画決定に際し、一定の事項について知事承認が不要である。
都市計画対象区域  市街化区域又は未線引の都市計画区域の用途地域の定められた区域のうち、次に該当する区域
1.市街地開発事業等の事業が行われる又は行われた土地の区域
2.今後市街化する区域て不良な街区の環境が形成される恐れのある区域
3.現に良好な街区の環境が形成されている土地の区域
計画事項 1.名称、位置及び区扱
2.当該区域の整備、開発及び、保全の方針
(1) 地区計画の目標
(2) 土地利用の方針
(3) 地区施設の整備の方針
(4) 建築物等の整備の方針
(5) その他当該地区の整備、開発及び保全に関する方針
3.地区整備計画(地区計画区域の全部又は一部について、次の事項のうちから一つ以上選択して定める。)
(1) 地区施設の配置及び規模
(2) 建築物等の用途制限、建築物の容積率の最高限度又は最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物等の形態若しくは最低の制限又はかき若しくはさくの横造の制限
(3) 現に存する樹木地、草地等で良好な居住環境の確保に必要なものの保全を図るための制限に関する事頂
制限等 地区整備計画を定めた区域について次の制限等が課せられる。
(1) 届出・勧告制度(都市計画法第58条の2)(当該行為に着手する30日前まで届出、計画不適合について市町村長が設計の変更その他必要な措置を執ることを勧告できる。)
(2) 開発許可の基準(都市計画法第33条)
(3) 市町村の条例に基づく制限(建築基準法第63条の2)(建築物の敷地、用途等に関する事項)
(4) 道路位置指定に関する特例(建築基準法第68条の3)(道路の位置の指定は計画に即して行う)
(5) 予定道路の指定(建築基準法第68条の4)
地区施設の整備主体 建築を行う者、開発行為を行う者又は公共団体
決定の助成措置 土地に関する権利の処分に関するあっせんその他の措置
(資料:「地区計画の手引きJ(昭和55年11月 地区計画研究会著)

建築することができない建築物
 A地区では、麻雀屋、パチンコ屋、射的場等を規制するほか、いわゆる「モーテル」を排除するため、ホテル、旅館は建築できないこととします。(B・C地区では、地区計画で規制するまでもなく、現在法律で建築できないことになっています。)

建設物の敷地面積の最低限度
家がごみごみ建つと日当たり)、風通し等が悪くなるので、1区画の正さを185m2以上とします。
Aさんの土地は面積500m2てす。これを分ける場合
このようにどちらの区画も185m2以上にしてください。
もちろん500m2全部を一つの敷地として利用することはできます。

建築物の高さの最高限度
 A地区では特に高さの制限はしません(建築基準法では制約はあります)が、B・C地区では落着いた住宅地とするため最高限度を9mとします。この高さは地磐面からです。

壁面の位置の制限
 お互いの家が、日当たり、風通しが良く、木を植えられる空間があり、まち全体の景観も良くなるようさらに、火災の時には類焼を防げるよう、道路や隣との境界から後退して家を建てるようにします。


【地区計画の実践例(福井市)】
 福井市では、平成元年9月、「福井市地区計画等の案の作成手続きに関する条例」を制定し、平成2年3月、本県では、はじめての地区設定を行いました。
 ・文京地区(1.2ha、約40戸)
   道路に面した1階部分を0.7m後退し、歩行者空間を拡大します。
 ・上北野地区(14.7ha、約80戸)
   ブロック塀などの視界を妨げる塀については、道路から1m下げるか、高さ1.5m以内に抑えます。


●まちの中の線や水とのふれあいの場を創出する例

【都市緑化基金】
 都市緑化基金とは、全国的な募金と各地方における募金によって基金を設立し、その果実(利子)によって住宅地や都市の緑化、貴重な緑の保全、緑化PR事業を促進するものです。
 本県においても、昭和60年に福井市が都市緑化条例を制定し、平成2年度より市都市緑化基金の運用を行い、特に民有地緑化推進の補助金制度により、「道路に面した部分に生け垣等植栽を施す場合、50万円を限度に費用の2分の1を補助する」としています。



【まちの中の緑や水とのふれあいの場】
まちの中のポケットスペース(武生市) まちの中のポケットスペース(福井市)


●まちの再発見運動の例

【環境カルテやアニメティ資源マップによる再発見】
 環境カルテやアニメティ資源マップは、住民が自分たちの住んでいる生活環境の状態を再確認するために、簡潔に文章や地図等で記録するものです。
・カルテ記入の手順
あなたの家を紙のなかほどに書いて、近所とまちの様子を思い出してみよう。
いつもゆくところ、通るみちを書きながら、近所とまちの印象を地図のように書いてみよう
自慢できるところ、手を加えたら良くなりそうなところ、不満を感じるところなどを描いてみよう。
友達や近所の親しい人とできあがりの地図を交換して、印象を語りあおう。
仲の良いグループで、みんなの診断を−枚の地図にまとめてみよう。
@ 日頃見逃している身近な環境の再発見ができます。
A 地域をどうするのかを自分たちが考えるときの資産台帳になります。
B 住民が将来目標にいたるまでどのような関連事項が出てきそうかを地図の上で推察できます。
C 地域が具体的にどう変わったかを住民が確認できます。
(資料:身近な環境づくり、盛岡通著)

【実残例−ふくい宝さがし、ふくい宝まつり】
 これらのイベントは、福井デザインフォーラム推進協議会の主催により行われています。
 ふくい宝さがしは、福井県が持ちつづけた宝をもう一度身近なところから意識し、発掘し、県民一人ひとりが「郷土の誇り」を持つことを目的として、平成元年5〜8月にかけて実施され、各地より約4,500件もの宝が寄せられました。
 ふくい宝まつりは平成2年3月に行われ、宝さがし運動で寄せられた宝のレポートを一堂に展示し、また、ビデオアート、コンサートなど多彩なイベントを実施しました。

【実践例−越前勝山探検隊】
 越前勝山探検隊は、勝山青年会議所創立20周年を記念して昭和63年度と平成元年度に行われています。初回は、市内の隠れた観光資源の掘り起こし、2回目は、“人材”や“市民性”についてスポットを当て、勝山の魅力と個性の再発見に取り組みました。
 参加者は、県内外の有識者や著名人をはじめ、一般募集を含めて約150人に達し、好評を得ています。また、これらの成果を受けて、「越前勝山探検隊」の報告書を作成し、まちづくりに対する提言等も行っています。


●魅力ある都市景観づ<りの実施例

 橋の歴史性を踏まえて、らんかんや照明をデザイン化しています。また、橋上には展望バルコニーが設けられ、ゆとりが感じられます。  らんかんや照明施設、お堀を囲む道路の歩道部舗装は、中心商業地にふさわしいデザインのブロック舗装であり、また縁石には地場産の笏谷石を利用しています。

道路植栽 (福島県福島市の県庁前)
(夏季)
(冬期)
 中央分離帯に高木のケヤキを植栽し、広幅貝の道路を分断化して、まとまりを与えています。根本には、低木を配し、周囲を芝で覆って、快適な印象をつくりだしています。落葉樹を用いているため、季節感の演出にも有効となっています。
(資料:道路景観整備マニュアル(案)建設省道路局企画課道路環境対策室監修(財)道路環境研究所、道路景観研究会編著)

歴史性と調和した景観(島根県松江市)
(電線、電柱類の撤去前)
(電線,電柱類の撤去後)
 歴史的町並みとその雰囲気を保存するため、電柱類が撤去され、すっきりとしています。さらに、郵便ポスト、交通標識類の支柱等も渋い色を用いて、目立たなくしています。
(資料:道路景観整備マニュアル(案)建設省道路局企画課道路環境対策室監修(財)道路環境研究所、道路景観研究会編著)


●まち中の緑や水を保全、創造する地域活動の例

木炭利用による水路の水質浄化(福井市)
 木炭利用による水質浄化は、市民団体の間で全国的に広がりをみせている試みで、県内では初めての取り組みです。木炭70kgの設置にあわせて、ニシキゴイ55匹も放流されました。この試みは、県高志林業事務所、福井市、「芝原を美しくする会」が実施しました。
住民参加の花壇づくり(春江町)
 春江町では、各集落に花の苗や球根の配布を行ったり、花壇づくりの講習会の開催や、花壇コンクールの実施などによって、各集落住民が主体となって、花いっぱい運動が積極的に進められています。


●彫刻のあるまちづくりの例

【美浜町】
 美浜町では、自然に調和した彫刻作品を町内に設置するため、昭和63年度から国際美浜野外彫刻ビエンナーレ展を実施しています。これは、初年度に模型作品を公募し、入賞作品については実作を依頼、次年度に設置と同時に実作展で再び各賞を設けるという2か年、単位で作品を残していくものです。
 平成元年度には、久々子寺山公園をはじめとする町内4ケ所8点の彫刻の設置が行われています。
【福井市】
 福井市では、「福井らしい個性あるまちづくり」を目指して、平成元年度より彫刻のあるまちづくりに取り組んでいます。これは、先に策定した「福井市都市景観基本計画」を受けて実施する事業であり、今後10年間で市内に約50体の彫刻を配置するものです。


●県内におけるアメニティづくりの事例

静岡県浜松市駅前広場 兵庫県川西市川西能勢口駅南地区
市街地再開発事業
大阪府大阪市中の島歩行者専用道路 北海道小樽市シンボルロード 埼玉県浦和市うらわセントラルガーデン


(5) むらのゾーンの施策・活動
基本自標 推進すへき施策・活動
@ 風土をいかした個性的な景観づくりをすすめる ・景観に配慮する意識の普及・啓発
・風景と調和した屋外広告物の設置
・風景と調和した家並みづくり
・公共建築物、公共構造物のデザイン化・シンボル化
・風土をいかした緑化
・里山、小川、名木等の地区シンボルとしての活用
・風土をいかした歩行空間の創出
A 住民参加の活力あるむらづくりをすすめる ・むらの自然、歴史、文化等の再発見運動
・ゴミなしクリーン作戦
・生け垣づくり、緑化活動、果木樹づくり
・協定・申し合わせの活用(建築協定、緑化協定、まちづくり申し合わせなど)
・アメニティ計画づくり
・コミュニケーション形成の場の創出
・学校教育、社会教育等を通した環境学習
・まちや他のむらとの交流の実施
・一村一品運動、一村一美運動等
・集落活動、余暇活動の充実(運動会、盆踊りなど)
・住民利用施設の維持管理体制の確立
・雪に親しむイベントの開催
B 地域にあった生活基盤の整備を図る ・生活道路の整備促進
・公園、広場の整備促進
・上下水道、合併浄化槽の整備促進
・住民ぐるみの除排雪体制の確立
C むらの中の緑、水、歴史の保全を図る ・里山、田園、公園、鎮守の森、名木等の保全
・海、河川、湖沼等の水質浄化や水辺の保全
・歴史的建築物の保全
イメージ
≪農山村≫
≪漁 村≫


●個性的な集落景観づくりの手法例

1建築物
 ○配置・規模
 ・美しい眺望を妨げないようにする。
 ・ゆったりとした印象を与えるようにする。
 ・既存樹を活用できるように配置を工夫し、伐採はできるかぎり避ける。
 ○形態
 ・和風を意識した形状、デザインにする。
 ・周囲の山並みと調和させる。
 ・建築物の周りを緑、花、水で演出する。
 ○正面性
 ・門や玄関は建物と一体的にデザインする。
 ・門や玄関の周りの緑を増やして、奥ゆかしさを演出する。
 ・個性を出しすぎると家並みを混乱させるので、周囲の環境にあわせた親しみやすいものにする。
 ○色彩等
 ・周囲の自然、田園風景に調和する彩度の低い色にする。
 ・風土にあった素材(石、木材、しっくい、瓦など)を活用する。
美しい眺望を妨げないようにする 屋敷林を利用する 周囲の山並みと調和させる

2工作物等
 ○
 ・塀は伝統的な和風の造り(屋根瓦付土塀など)または生け垣とする。
 ・風土にあった、落ち着いた感じを持つ素材(木、石など)を使用し、樹木や花を植え込む。
 ・よう璧は、圧迫感のない形態、デザイン、緑化に配慮する。
 ○広告物
 ・広告物の設置される建築物、周囲の建物、地域の特徴に調和するようなデザインが望ましい。
 ・美しい田園風景に調和する色彩にする。
 ・野立て看板は、原則として立てない。
(資料:松本市建築物、広告物等デザインマニュアル《手引書》)
瓦屋根付土塀 野立て看板は景観を乱すので原則として
立てないものとする。


●住民と行政によるむらづくりの手法例
【集落地域整備法と集落地区計画】
 集落地域整備法(昭和62年6月2日公布)は、都市計画区域と農業振興地域とが重複している地域の基礎的な生産、生活単位である集落とその周辺の農用地を対象とし、都市環境と農業の生産条件との調和のとれた計画的な整備を推進することを目的として、制定されたものです。

【集落地区計画の仕組み】
(1)集落地区計画は、集落地域整備基本方針に基づき、市町村が地域住民の意向を十分に反映しながら都市計画の一つとして定める計画です。
(2)集落地区計画は、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、集落地域の特性にふさわしい整備及び保全が必要と認められる地区について、
 @ 地区内の居住者等の利用に供される道路、公園等に関する事項
 A 建築物の用途・形態・敷地等に関する事項
 B その他土地の利用の制限に関する事項
 を総合的かつ一体的に一つの計画として定めるものです。
(3)集落地区計画が定められた区域では、その計画に従って、
 @ 届出・勧告制度
 A 開発許可制度
 B 建築基準法に基づく市町村の条例による制限によって開発行為、建築物の建築などの規制・誘導が行われるとともに、市街化調整区域内であっても、当該計画に適合した開発行為が許可されることになります。


●漁村の特性をいかしたシンボルの例

海岸にアートを(河野村)
 国道305線沿いの海岸に、信楽焼の陶板を組み合わせたカラフルなレリーフが取り付けられています。
防波堤に壁画を(越前町)
 越前漁港の防波堤に、鳥や魚をデザインした壁画が完成しています。殺風景だった漁港の景観が明るくなりました。


●まちや他のむらとの交流の例

【市民農園による交流】
 セカンドハウスでの田舎暮らしや農業体験ツアーが静かなブームになるなど、都市住民の間で、土とのふれあいを求める動きが活発化しています。市民農園は、市町村等が農家から土地を借りて、一般市民に提供するシステムです。西ドイツの市民農園ともいえるクラインガルテンは、野菜づくりのほか、公園、コミュニティ、老人の予防医学の場としてなど様々な役割を担っています


【体験学習や地域活動による交流】

ザ・百姓体験ツアー(池田町)
 日頃農作業に縁のない都会の人たちに、米作りの苦労や喜びと池田町の豊かな自然を知ってもらうことを目的に、毎年開かれています。
そば道場(今庄町)
 そば処として知られる今庄には、そばに関する知識に触れ、そば作りが実際に体験できる道場があります。
リサイクル運動(永平寺町)
 連合婦人会が地域づくりの実践として、空きビンなどのリサイクル運動に取り組んでおり、今年で5年目を迎えています。
 町内に運動が定着してくる中、美しい町から文化の町をめざして、この収益をいかし子供を対象とした大昔楽会などが展開されており、住民が一体となった個性的な地域づくりが進められています。


●風土をいかした活力あるむらづくりの例

【住み良さ日本一の村づくり(宮崎村)】
 日本一の住み良い農村は宮崎村−国土庁の主催する平成元年度「農村アメニティ・コンクール」で宮崎村が最優秀賞に選ばれました。伝統文化「越前焼」の復興を図りながら、現代と調和した活力ある村づくりが、認められたものです。
 宮崎村は、「土と炎と緑のふるさと」を村づくりのスローガンに、「越前焼」の復興、陶芸村の整備を昭和48年からとりかかり、全国から若手陶芸家を受け入れて、村の活性化を図っています。
 生活環境の整備にも熱心で、平成2年には下水道事業が供用を開始し、ほ場整備率もほぼ100%に達しています。また、宮崎小学校には自然を利用した学校自然公園を整備し、自然環境保全を教育に取り込んでいます。
 さらに、景観の形成にも積極的に取り組み、庁舎、公民館等、公共施設の壁面を陶芸の村にふさわしいワインカラーのタイル張りで統一し、農村と調和した景観を演出しています。このほか、全国規模のイベントを企画し、「ハープフェスティバル」、「日本六古窯サミット」などの開催で都市住民や他市町村との交流を深めています。
日本六古窯サミット・フォーラム 切妻屋根と田園風景 役場前

【全町公園化のむらづくり(上中町)】
 上中町は、昭和59年度に、県内でいちはやく「上中町アメニティ・タウン計画」を策定しています。以来「全町公園化」の基本方針のもとに、様々な施策、活動が展開されています。これらの施策、活動は集落の自治活動の中で実践されているものが多く、熊川地区の歴史的町並み保存運動、天徳寺地区の名水歴史公園にみられる、自然や歴史、生産活動など、集落の個性をいかしたむらづくり、集落公園づくりなどが、集落で展開されています。
地区のビジョンを話し合う上中町大鳥羽区の人たち
住民ぐるみのむらづくり みんながつくる集落公園
地区のビジョンを話し合う上中町大鳥羽区の人たち

【全員参加のむらづくり(滋賀県高月町雨森地区)】
 雨森地区は、戸数170戸、520人が住む湖北の静かな農村です。ほとんどの家が三世代同居という農村の標準的な世帯構成です。
 外見からは、昔ながらの景観を残す農村ですが、6年前から始まった地域ぐるみの活動には、目を見張るものがあります。若い人たちが中心になって様々な行事や祭りを行い「全員参加」をモットーに快適なむらづくりが展開されています。また、郷土出身の儒学者、雨森芳洲の顕彰運動を進めています。
 当地区のむらづくりの発端は、地区で行われた全員参加のソフトボール大会でした。子供から老人までが興じている姿をみて、若い人たちが村の良さを再確認し、自分たちが中心となって「何かおもしろいことをやろう」ということから始まりました。そして、ファミリーゲートボール大会、区民運動会、コイのぼりの川渡しなどの区民全員参加のイベントが展開され、恒例となっています。
 また、地区を流れる小川をきれいにし、コイを放流したり、花壇をつくったり、美しい村の景観づくりも行われています。
昔からの家並みを残す集落景観 花に飾られ、きれいに清掃されている小川