ゴルフ場における農薬等の安全使用に関する指導要綱

福 井 県


(目的)
第1条 この要綱は、ゴルフ場において病害虫防除等に使用される農薬、肥料および着色剤(以下「農薬等」という。)の安全かつ適正な使用を確保するために必要な事項を定めることにより、人の健康の保護および良好な環境の保全に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 農薬 農薬取締法(昭和23年法律第82号。以下「法」という。)第1条の2第1項に規定する農薬をいう。
(2) 肥料 肥料取締法(昭和23年法律127号)第2条第1項に規定する肥料をいう。
(3) ゴルフ場 ホール数が18以上であり、かつ、ホールの平均距離が100m以上の施設および知事が指定する芝のある施設をいう。
(4) 事業者 県内に設置されたゴルフ場を経営し、または管理運営している者、および今後県内にゴルフ場を開設し、経営しようとする者(ゴルフ場の造成工事が着手されたときの当該工事の発注者を含む。)をいう。

(農薬および肥料の購入)
第3条 事業者は、農薬を購入するときは、法第8条の規定による届出のあった農薬販売業者から購入するものとする。
2 事業者は、肥料を購入するときは、肥料取締法第23条の規定による届出のあった肥料販売業者から混入するものとする。

(防除の委託)
第4条 事業者は、病害虫等の防除を委託するときは、法第11条の規定による届出のあった防除業者に委託するものとする。

(農薬等の使用)
第5条 事業者は、病害虫防除等の目的で農薬を使用するときは、法第2条第1項または法第15条の2第1項の規定により登録を受けた農薬を使用するものとする。
2 事業者は、水質汚濁性農薬、魚毒性C類に該当する農薬および土壌残留性農薬については、使用しないものとする。
 また、できるだけ毒性、劇物に該当しない農薬および魚毒性の低い農薬など低毒性農薬を使用するものとする。
3 事業者は、肥料取締法に基づく登録を受けた、または届出のあった肥料を使用するものとする。
4 事業者は、農薬等の使用に当たっては、必要最小限に抑えるものとする。

(農薬表示事項の遵守)
第6条 事業者は、農薬を使用するときは、法第7条に規定する登録に係る適用病害虫の範囲および使用方法ならびに貯蔵上または使用上の注意事項等の農薬表示事項を遵守するものとする。

(農薬等の保管管理)
第7条 事業者は、農薬等の保管管理については、専用の保管庫を設けて農薬等の盗難、紛失、飛散、流出等の防止対策を講じ、適正に保管するものとする。

(従業員および利用者の健康保護)
第8条 事業者は、農薬等の散布作業を行う場合は、防除作業衣の着用、正しい作業方法、使用機器の整備等に配慮し、従業員の安全の確保および健康の保護に努めるものとする。
2 事業者は、農薬等の散布に当たっては、利用者の健康に影響を及ぼさないよう営業終了後などに行い、散布作業後は、その旨を掲示板等で表示して従業員および利用者の注意を促すよう努めるものとする。

(環境の保全)
第9条 事業者は、農薬等の使用に当たっては、気象および地形等の環境条件を十分考慮し、周辺地区への飛散防止策、流出防止対策を講ずることにより、周辺住民、水産動植物および獣畜等に被害を及ぼさないようにするものとする。
2 事業者は、農薬等の使用に当たっては、排出水または地水への浸透水により、水道水源または飲用に供されている井戸等に汚染が生じないようにするものとする。
3 事業者は、農薬等の流出防止を図り、公共用水域の水質汚濁防止に努めるものとする。

(農薬取扱責任者の設置)
第10条 事業者は、農薬等の安全かつ適正な使用および保管管理のために、農薬取扱責任者を置くものとする。
2 前項の農薬取扱責任者は、毒薬及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第8条に定める毒物劇物取扱責任者の資格のある者、または県農薬管理指導士から選任するものとする。
3 事業者は、農薬取扱責任者を置きまたは変更するときは、様式第1号により速やかにゴルフ場の所在地を管轄する市町村長を経由して、知事に報告するものとする。

(農薬取扱責任者の資質向上)
第11条 事業者は、農薬取扱責任者等の関係者を知事が行う農薬安全使用研修会等に参加させるなど、関係者の資質向上に努めるものとする。

(農薬等使用状況の記帳)
第12条 事業者は、農薬等の使用状況について、様式第2号により記帳し、3年間保存するものとする。

(農薬等使用計画の提出)
第13条 事業者は、毎年1月末日までに、当該年の農薬等使用計画について様式第3号により、ゴルフ場の所在地を管轄する市町村長を経由して知事に提出するものとする。
 また、前年の使用状況について様式第4号により、同様に知事に報告するものとする。

(環境の監視および水質の測定)
第14条 事業者は、調整池等において魚類を常時飼育して、水質の状況を監視するほか、ゴルフ場からの排出水の色相および臭気ならびに周辺動植物の異常の有無等について、常に注意を払うものとする。
2 事業者は、農薬等の使用実態を考慮し、ゴルフ場内の地下水および排出水の水質調査を行い、その結果を3年間保存するものとする。

(排出水等の農薬濃度)
第14条の2 排出水および地下水の農薬濃度は、それぞれ別表の指針値を超えないこととする。ただし、河川等の表流水を水源とする水道の取水施設に近接して、その上流に排出水が排出される場合、この排出水の農薬濃度は別表の指針値に1/10を乗じて得た値を超えないこととする。

(被害発生時等の措置および報告)
第15条 事業者は、農薬等の使用により人畜、水産動植物および周辺環境等に被害が発生したとき、または発生する恐れがあるときは、直ちに被害の防止に必要な措置を講ずるとともに、その旨を知事およびゴルフ場の所在地を管轄する市長村長に通報するものとする。
2 事業者は、速やかに原因等を調査し、被害の発生状況について、様式第5号によりゴルフ場の所在地を管轄する市長村長を経由して、知事報告するものとする。

(立入調査および指導)
第16条 知事は、必要に応じて農薬等の使用および環境の保全等に関し報告を求め、または立入調査できるものとする。
2 知事は、事業者に対して、農薬等の使用、環境の保全対策等に関し、指導、勧告を行うことができるものとする。

(補則)
第17条 この要綱に規定するもののほか、必要な事項は別に定める。

  附則 この要綱は、平成2年4月1日から施行する。
  附則 この要綱は、平成3年4月1日から施行する。
  附則 この要綱は、平成3年11月1日から施行する。
  附則 この要綱は、平成5年7月1日から施行する。
  附則 この要綱は、平成9年5月15日から施行する。


別表(第14条の2関係)

            排 出 水 等 の 農 薬 濃 度
                                  (単位:mg/1)
農薬名 排出水の指針値 地下水の指針値
(殺虫剤)
アセフエート
イソキサチオン
イソフェンホス
クロルピリホス
ダイアジノン
トリクロルホン(DEP)
ピリダフェンチオン
フェニトロチオン(MEP)

0.8
0.08
0.01
0.04
0.05
0.3
0.02
0.03

0.08
0.008
0.001
0.004
0.005
0.03
0.002
0.003
(殺菌剤)
イソプロチオラン
イプロジオン
エトリジアゾール(エクロメゾール)
オキシン銅(有機銅)
キャプタン
クロロタロニル(TPN)
クロロネブ
チウラム(チラム)
トルクロホスメチル
フルトラニル
ペンシクロン
メタラキシル
メプロニル

0.4
3
0.04
0.4
3
0.4
0.5
0.06
0.8
2
0.4
0.5
1

0.04
0.3
0.004
0.04
0.3
0.04
0.05
0.006
0.08
0.2
0.04
0.05
0.1
(除草剤)
アシュラム
ジチオピル
シマジン(CAT)
テルブカルブ(MBPMC)
トリクロピル
ナプロパミド
ピリブチカルブ
ブタミホス
プロピザミド
ベンスリド(SAP)
ベンフルラリン(ボストロジン)
ペンディメタリン
メコプロップ(MCPP)
メチルダイムロン

2
0.08
0.03
0.2
0.06
0.3
0.2
0.04
0.08
1
0.8
0.5
0.05
0.3

0.2
0.008
0.003
0.02
0.006
0.03
0.02
0.004
0.008
0.1
0.08
0.05
0.005
0.03