第5章 環境の保全と創造をめざした参加型社会の基盤づくり
 
第1節 自主的な活動の推進
 
1 環境教育・学習の推進
 今日の多様化した環境問題に適切に対応し、かけがえのない環境を将来の世代に引き継いでいくためには、県民一人ひとりが今までのライフスタイルを見直し、「県民が生涯学習として取り組む環境に関する学習と実践一環境教育−」を推進することが重要になっている。
 そのためには、地域住民、民間団体、事業者、学校、行政等の多様な主体が、それぞれの役割を分担しながら、環境に関する学習や活動を進めていく必要があり、県では、情報の提供や指導者の育成等を進めている。
(1) 福井県環境アドバイザー制度
 “環境にやさしい人づくり”の推進を目的として、平成6年6月に「福井県環境アドバイザー制度」を発足させている。
 この制度は、環境保全についての有識者や環境保全活動の実践者等を「環境アドバイザー」として委嘱し、公民館、各種団体や学校等が主催する環境問題に関する学習会、講演会等に講師として派遣または紹介するものであり、平成11年度には21回アドバイザーを派遣している。
(2) 地域環境ジュニアパトロールの実施
 21世紀を担う小・中学生が、自分たちの目で身の回りの環境を見つめることにより、環境に対する意識を高めてもらおうと、平成3年度から「地域環境ジュニアパトロール」を実施しており、平成11年度は、県内各地から21グループが参加した。
 参加グループは、夏休み期間中に、身近な環境をテーマに自分たちの住んでいる地域を調査し、問題点や提案等を話し合い、報告書として取りまとめるとともに、各グループが一堂に会しての報告会において活動結果を発表し合っている。
(3) 児童用環境教育副読本の作成
 小学校高学年を対象に、ゆとりの時間、自由研究、体験学習の中で活用できる教材「かんきょうはみんなの仲間−ふくいの環境−」を作成し、各小学校、市町村教育委員会等へ配布している。
(4) 環境教育研修講座
 県教育研究所では、分野別の専門研修で環境教育の研修講座を開講している。この講座は、小・中学校の教員が、学校における環境教育の考え方や進め方についての講義を聞いたり、ロールプレイによる演習(エコ・ロールプレイ)や水質などに関する実験・実習を行ったりして、環境教育の指導方法についての理解を深めるものである。また、理科や家庭科、社会科における研修講座においても、環境に関する内容を取り上げている。
 今後、環境教育を学校教育の中に位置付けていくとともに、具体的に何を題材として選択し、どのように教材化していくかといった研究を一層進めていく。
(5) 移動環境教室の実施
 学校等での環境学習を支援するため、小・中学校を対象に移動環境教室を実施し、環境関連ビデオの視聴、大気環境測定車「みどり号」・電気自動車「みどり号ミニ」の説明、環境簡易調査等を行っている。
(6) 環境月間
 平成9年3月に「福井県環境基本計画」が策定されたことを受け、環境問題について県民一人ひとりの関心と理解をより一層深め、環境の保全に関する活動を行う契機とするため、国と歩調を合わせて、6月を「環境月間」と定め、県民、事業者、行政が一体となって環境保全活動に取り組む「環境にやさしい参加型の社会」をめざして、各種の行事を実施した。(表3−5−1)
表3−5−1 環境月間行事実施結果
 1.期間  平成11年6月1日〜30日
 2.テーマ 「広げよう やさしい配慮を 環境に」
行 事 名実施主体内      容実施日実施場所
「環境月間」街頭キャンペーン

 
環境政策課
福井市


 
街頭において通行人に対し、花の苗等を配布し、環境月間、環境の日、アイドリングストップ運動およびノーマイカーデーの普及、周知等の啓発キャンペーンを実施6/1(火)

 
福井市
(だるまや西武、
ショッピングシ
ティー・ベル)
クリーンアップふくい大作戦





 
県・市町村
環境ふくい推進協議会
(社)あすの福井県を創る協会


 
6月6日を統一行動日として、各市町村における拠点地区および一般地区において、美化活動を実施する他、県における美化事業も併せて実施
(環境美化関連事業)
・自然公園環境美化事業
 ・海面環境保全事業
 ・河川環境保全活動推進事業
統一行動日
6/6(日)





 
県下全域






 
環境保全ポスターコンクール


 
環境政策課



 
小学校4、5、6年生を対象に環境保全についてのポスターコンクールを実施
 審査会  5/26(水)


 
展示期間
6/3(木)
 〜6(日)
ショッピング
タウンピア


 
環境パトロール

 
環境政策課
関係各課

 
工場・事業場、自然公園、廃棄物処理施設、畜産施設、道路、河川、漁港,海岸等の一斉パトロールを実施6/17(木)

 
県下全域

 
アイドリングストップ運動推進月間

 
環境政策課



 
温暖化の原因である二酸化炭素の抑制を図るとともに、環境に配慮した行動の普及啓発を行う
・街頭キャンペーン、広報誌等による啓発
・グリーンエコーはがきによる啓発
環境月間中



 
県下全域



 
ノーマイカーデーの実施

 
総合交通課


 
自動車交通公害と地球温暖化の防止を図る取組みの一つとしてノーマイカーデーを設定し、自家用自動車の使用自粛と公共交通機関の利用を呼び掛ける毎月1日
(6/1)


 
県下全域


 
地域環境ジュニアパトロール活動グループの募集環境政策課
教育庁学校教育課

 
身近な環境問題をテーマに調査研究活動を行う小中学生のグループを募集
  応募期間 6/11(金)
  参加グループの決定 6月中旬
活動期間
7、8月中
(夏休み中)

 
県下全域


 
環境意識啓発パネル展


 
環境政策課
廃棄物対策課


 
環境に関するパネル等を展示し、環境問題に対する意識の高揚、啓発を行う


 
5/31(月)
  〜
6/4(金)
福井県庁県民
ホール


 
樹木の大気浄化能力度チェック環境政策課
 
中学生が中心になって、樹木の大気浄化能力度を調べるための実験を実施6月〜8月
 
県下3中学校
 
自然観察会
 
自然保護センター一般の人を対象に自然観察会を実施
 
6/12(土)大野市上小池
 
自然観察の森ガイド
 
自然保護センター
 
自然保護センター周辺の自然観察の森の生物についてミニ観察会を実施し、自然環境について理解を深める6月の第2、第4日曜日自然保護セン
ター
 
天体観望会
 
自然保護センター天体を観望したり、季節の星座の学習を通して、自然環境について理解を深める6月中の土曜日自然保護セン
ター
広報活動

 
広報課
環境政策課

 
新聞、テレビ、各種広報紙、ポスター、チラシ、懸垂幕等で月間の趣旨や、環境美化に対するPRを実施環境月間中

 
県下全域

 
環境科学センターの施設公開環境科学センター環境科学センターの施設の公開、環境の状況やセンターの業務の説明等を実施環境月間中
 
環境科学セン
ター
畜舎環境美化促進運動
 
畜産課

 
畜舎環境の美化を進めるための巡回指導および県営牧場等の畜舎環境の美化モデルづくりを実施環境月間中

 
県下全域

 
環境衛生パトロール
 
各保健所

 
廃棄物処理施設、浄化槽等を対象としたパトロールの実施および廃棄物適正処理の監視指導環境月間中

 
県下全域

 
ごみスリムスリム運動推進週間

 
廃棄物対策課

 
ごみの排出抑制、減量化および再生利用の推進について広域的に普及・啓発を図る
(懸垂幕の設置、街頭キャンペーンによる啓発)

 
5/30(日)
  〜
6/5(土)
県下全域


 
公害事犯の集中取締り生活保安課
各警察署
ごみの不法投棄等の公害事犯の集中取締りを実施環境月間中
 
県下全域
 
整備不良車両の取締り強化交通指導課
各警察署
整備不良車両(暴走族)の取締り強化月間と定め県下一斉に取締りを強化環境月間中
 
県下全域
 
公害防止総自主点検特定工場等
 
特定工場等での公害防止施設の操作、管理の自主的な総点検および環境美化活動を実施環境月間中
 
県下全域
 




































































 
 
ア クリーンアップふくい大作戦
 美化活動への取組みを拡大しながら、地域の環境保全に関しての県民意識の啓発を図ることを目的として、平成4年度から、県下一斉に住民が主体となって美化活動を行う「クリーンアップふくい大作戦」を実施している。
 平成11年度は、6月6日(日)を統一行動日として、「生かそう 小さな汗 私たちの環境に」をテーマに、市町村が設定した拠点地区等において、美化活動が行われたほか、民間団体や企業においても、それぞれの団体活動を活かした特色ある美化活動が展開され、約60,000人の県民が参加した。また、県においても、自然公園環境美化事業や海の浮遊ごみを回収する海面環境保全事業等を実施した。
イ 環境月間街頭キャンペーン
 環境月間の初日である6月1日(火)に、「環境月間」と「環境の日」の趣旨を普及するため、街頭キャンペーンを行った。福井市内2ヶ所でハイブリッドカーを配置し、通行する人に花の苗を配布して、環境保全の大切さなどを呼びかけた。また、6月6日(日)には、敦賀市で花の苗を配布して同様の呼びかけを行った。
ウ 環境保全ポスターコンクール
 小学校の4・5・6年生を対象に行った環境保全ポスターコンクールには、744点にのぼる応募があり、最優秀賞および優秀賞9点を含む計270点の入賞作品展を環境月間中の6月3日(木)〜6日(日)に実施した。
(7) ナチュラリストおよびナチュラリストリ−ダ−の養成
 県では、自然とのふれあいを促進し、自然保護思想の普及を図ることを目的として平成2年度よりナチュラリスト養成事業を推進している。
ア ナチュラリストの登録
 平成10年度末の登録者数は4,783名で、そのうち69名が観察会の指導員として活動するナチュラリストリ−ダ−に、また、22名がサブリ−ダ−に登録されている。
イ ナチュラリスト・リ−ダ−の養成
 平成10年度はナチュラリスト・リ−ダ−の養成講習会を年2回実施するとともに、6名の県外派遣研修を行なった。
ウ 普及啓発
 自然保護の普及啓発誌として「森遊」(24号〜26号)、「ふるさと福井の自然」(貴重な植物群落)を編集・発行した。
(8) フォレストサポーターの活動推進
 県では平成8年度から10年度まで、森林を利用する一般県民に対し、森林・林業に関する知識を付与し、森林の案内や野外活動の指導をボランティアで行うフォレストサポーターを養成した。(平成11年12月31日現在70名)
 平成11年度以降は、林業・森林環境教育分野において「フォレストサポーターの会」を中心に、森林野外体験学習施設・学校林等を活用した一般県民や児童・生徒に対する森林・林業の解説や体験活動の指導を通して、森林・林業の啓蒙普及を図るための積極的なボランティア活動を展開している。
(9) 環境教育・学習の場
 環境教育・環境学習の場として、自然保護センターや海浜自然センターでは、自然保護を普及するため、展示品の充実を図るとともに、自然観察会等の学習の機会を設けている。
 また、環境科学センターや内水面総合センター等の試験研究機関においても、見学者の受け入れや情報の提供など、県民の環境学習を支援している。
(10) その他の普及啓発
ア イベント等におけるPR
 かけがえのない環境を守るために、県民一人ひとりが「地球規模で考え、足元から行動する」意識を持つ契機とするため、平成11年10月22日(金)〜24日(日)にサンドーム福井で開催された「’99越前・若狭の産業フェア」において環境保全コーナーを設置した。環境に関する簡易実験、地球温暖化防止に向けた取組みの紹介、リフォームファッション優秀作品展示のほか、屋外では電気自動車・ハイブリッドカーおよび大気環境測定車の展示を行った。
イ 刊行物の発刊
 水、大気、自然、廃棄物等の様々な環境とその問題点について、県民の理解と認識を深めることを目的に、パンフレットの作成・配布を行っている。平成10年度に県において発行された関連の刊行物は表3−5−2のとおりである。
表3−5−2 ポスター、パンフレット等作成配布状況(平成10年度)
種  類名 称 、 内 容 等作成部数配  布  先
パンフレット「ふくいリサイクルPRESS」1,000県民
チラシ環境保全、美化に関するチラシ(環境月間用)25,000市町村等
アイドリングストップ運動普及啓発チラシ6,000県民
ポスター
 
環境保全、美化に関するポスター(環境月間用
1,200
 
市町村等
 
アイドリングストップ運動普及啓発ポスター2,500事業所、市町村、公民館等

 
省資源・省エネルギー啓発ポスター(省エネル
ギー月間用)
500
 
市町村、各種団体等
 
冊子
 
「かんきょうはみんなの仲間(ふくいの環境)」
(児童用副読本)
10,250
 
小学校5年生および指導者
 

 
「ふるさと福井の自然(池や湖のトンボ)」(自
然保護読本)
1,000
 
県民
 
「これからのくらし」(児童用家庭科副読本)10,000小学校
情報紙
 
「森遊」(自然保護関連)
 
1,800
(600×3号)
ナチュラリスト
 

 
「福井のくらし」(消費生活関連2ヶ月に1回)
 
168,000
(28,000×6号)
各種団体、町内会等
 

 
「みんなのかんきょう」
(環境ふくい推進協議会 年4回)
8,000
(2,000×4号)
協議会会員、市町村、
公民館等
 
ウ スターウオッチング・ネットワーク
 全国星空継続観察(スターウオッチング・ネットワーク)は、星空の観察を通じて大気環境の状態を調査し、大気環境保全について考える機会とするため、環境庁と財団法人日本環境協会の主催により、昭和63年度から実施されている。
 この観察では、毎年度、自主的に観察を行う団体(地方公共団体、学校、市民グループ等)を募集し、観察の手引きに従って夏期・冬期の観察期間に全国一斉に星空の観察を行うことにより、「夜空の明るさ」等を調べている。これまでの観察結果から、都市の規模が大きくなるにつれて、ネオンや街灯などの照明が大気中のチリ等に反射することにより、星が見えにくくなっていることが確認されている。
 なお、本県からは県自然保護センター、小浜市役所、福井市進明中学校、オヤット天文クラブ(大野市)の団体が、平成11年度の観察に参加した。
エ 水生生物調査
 カワゲラ、トビゲラ等の河川に生息する水生生物を指標とした水質調査は、一般の人にも親しみやすく、誰でも調査に参加できるという利点を持ち、また、その結果が水質汚濁の長期的・複合的な影響を反映すると考えられている。
 そこで、環境庁は、全国の河川において一般市民等の参加を得て、水生生物による簡易調査を実施している。
 本県では、平成10年度は小・中学校計 12校の児童・生徒 161人と2団体 121人の計 289人の参加を得て調査を実施した。
 この結果、県内10河川の水質階級が把握され、また、参加者は、身近な河川の水質を体験的に知るとともに、河川の水質保全の必要性や河川愛護の重要性に対する認識をあらたにすることができた。(資料編表3−24−1〜3)
 
2 自発的な活動の支援
(1) 環境保全に係る各主体間の連携
 環境の保全に責任を持てる人づくりに向けては、普及啓発の充実や環境教育・環境学習の推進はもとより、県民や事業者が参加できる施策や組織等を充実することが必要である。
 環境の保全に関しては、一人ひとりの行動が大切であるとともに、環境保全を目的とした民間の環境保全団体や企業の活動が重要であり、既に本県においても、様々な団体が活動を行っている。
 県では、環境保全に係る個人、団体、企業のネットワークと地域に根ざした活動団体の育成を図ることを目的に、各主体が一体となって環境保全活動に取り組むための推進母体として、平成6年度に設立された「環境ふくい推進協議会」の活動を支援している。
 本協議会では環境教室やシンポジウムの開催をはじめ、情報紙の発行等の各種事業を実施することにより、環境保全活動の普及啓発と県民相互間のパートーナーシップの輪の拡大を促進している。
 県としては、県民参加による環境保全の取組みを拡大することが今後ますます重要となることから、本協議会の活動に対し引き続き支援を行い、県民、団体、企業間の連携強化を促進していくことにより、県民一体となった環境保全推進のための体制づくりを進めていく。
(2) 県民参加の森林づくり
 森林をはじめとする緑は、県民の豊かな心を育み、生活にゆとりと潤いをもたらすなど、豊かな生活を実現する上で重要な役割を果たしており、森林や緑を守り・育てていくためには、こうした森林や緑に対する県民意識の高揚を図る必要がある。
 また、市民グループ等がボランティア活動により森林づくりを行うなど、森林整備に対する新たな動きが芽生えつつあり、情報提供や活動機会の創出等を通じ、森林づくりに関するボランティア活動を推進していくことが重要である。
 このため、「みどりの日(4月29日)」を含めた一週間を「みどりの週間(4月23日〜29日)」として、グリーンキャンペーンや福井県緑化大会(けんみん森林づくり推進大会)など、緑化に関する各種イベントを開催するとともに、「木の日(10月8日)」にちなみ、木と花と緑の祭典としてグリーンフェアを開催し、さらに、森林の講演会・グリーンコンサート等を通じて、広く県民に木の良さや緑の役割に関する意識の高揚に努めている。
 また、緑化の推進を目的に、昭和25年から始まった「緑の羽根募金」は、平成7年の「緑の募金法」の制定に伴い、新たに、森林の整備、緑を通じた国際協力という目的が加わり、「緑の募金」として生まれ変わった。この「緑の募金」は、(社)福井県緑化推進委員会を通じて、公園等の公共施設緑化や学校林の整備など、広く活用されている。
 さらに、次代を担う青少年に対し、緑を愛し、守り、育てることを学んでもらうため、緑の少年団を育成しているところであり、緑の少年団が参加する森林づくりの学習や活動等に対する支援を行っている。(資料編表8−9)
 なお、緑の少年団は、平成11年3月現在、46団、1,793名が組織されている。
 一方、一般市民等が自発的に参加する森林づくりの活動を促進するため、(社)福井県緑化推進委員会を通じて、平成9年4月から、森林づくりボランティアを募集している。
 あわせて、森林づくりボランティアの活動を促進するため、「ふくいの森林づくり体験会」を開催し、体験学習や普及啓発を行っている。
(3) 環境マネジメントシステム
 県内企業における、「環境マネジメントシステム」構築の取り組み状況については、平成12年3月末現在で、既に36社がISO14001の認証取得を行っており、この内、10年度に取得した企業は10社、11年度に取得した企業は14社と大きな伸びを示している。
 県では、技術アドバイザー制度による指導員の派遣、先進的な取組みの事例紹介等による研修会の開催、さらには「地域産業活性化資金」による認証取得経費等への低利融資などを行い、こうした企業のISO14001の認証取得を積極的に支援している。
 また、県は平成12年度中にISO14001を認証取得する予定であり、これまでの作業を通じて得られたノウハウや情報については、今後、企業に積極的に提供を行い、その普及支援に努める予定である。
 
3 環境情報の提供
(1) 環境情報の活用
 複雑化する環境問題に的確に対応するとともに、将来にわたって地域環境を良好な状態で保全し、質的に高めていくには、様々な環境情報の整理・解析に基づき、環境の現況や問題点を正しく認識し、合理的な施策等を推進することが重要である。
 また、県民の環境への関心の高まりとともに、県が横断的に持っている幅広い環境情報の提供が強く求められている。
 このため、大気や水質等の「公害」、植物や動物等の「自然環境」、文化財や風景等の「生活文化環境」および土地利用や人口等の「社会条件」に関する多種多様な環境情報を総合的・体系的に整備し、行政内部での活用はもとより、県民・事業者もこれらの情報を有効に活用できる「環境情報システム」を構築し、情報化時代に対応した総合的な環境行政の推進を図る必要がある。
(2) 環境情報システムの整備
 環境情報の広域的な活用の推進を図るため、平成4年6月、パソコン通信による環境情報ネットワークシステム「みどりネット」を整備し、平成8年1月にはインターネットのホームページへと拡張した。
 このシステムは、環境科学センターのホストコンピューターに蓄積された各種の環境情報をインターネットを通じて提供するシステムで、利用者が任意に環境に関する情報を検索できるほか、広報したい情報を入力することができるなどのネットワーク機能を有している。
  環境情報提供内容 
 ・県内の大気および水質等の状況
 ・環境保全活動事例
 ・環境科学センターの業務案内
 ・環境関連イベント情報 等
(アドレス http://www.erc.pref.fukui.jp/
(3) 環境情報システムの高度化
 環境情報のより一層の活用を図るため、各部局に分散している各種の環境情報をデータベース化し、ビジュアルな情報をインターネット等を通して広く県民に提供する「環境情報総合処理システム」を整備し、平成12年3月から運用を開始した。
 このシステムは、大気や水質等の環境状況をはじめ、自然環境、土地利用状況、文化財等の環境情報をデータベース化し、地図や表等によりビジュアルに表示するもので、インターネットのホームページ「みどりネット」や県の「地域情報ネットワーク」から利用できる。
 また、一部の情報はテレホンガイドシステムにより電話やFAXからも利用できる。(電話番号は0776-52-7122)

 
第2節 環境配慮のための基盤づくり
 
1 環境影響評価
(1) 環境影響評価制度の見直し
 環境影響評価制度(環境アセスメント)とは、環境に大きな影響を及ぼすおそれのある開発事業等の計画策定や実施に際し、事前に十分な調査、予測および評価を行い、その結果を公表して、県、市町村、県民等の意見を聴いた上で、環境に配慮した適切な環境保全対策を講じようとするものである。
 環境汚染の未然防止のための重要かつ有効な手段として、これまで、国においては、昭和59年に閣議決定された「環境影響評価の実施について」をはじめ、公有水面埋立法などの個別法および各省庁通達等に基づいて、また、本県では、国の制度では対象となっていない事業や事後調査の手続を追加した「福井県環境影響評価要綱」が平成4年より施行され、十分な環境配慮が必要な大規模な事業について、環境面から適切に誘導することに大きな成果を上げてきた。
 平成5年11月、環境影響評価の推進が規定された環境基本法が制定されたことをきっかけに制度の充実が求められ、国では平成9年6月に「環境影響評価法」が制定され平成11年6月より全面施行された。
 国が法制化したことを受けて、都道府県レベルにおいても環境影響評価制度の見直しに向けて動き始めた。本県でも環境影響評価法の制定や平成7年3月の「福井県環境基本条例」の制定、同年7月の「福井県行政手続条例」の制定等から、平成10年8月、環境影響評価制度の見直しについて福井県環境審議会に諮問し、同年12月に同審議会から知事に答申が行われた。これを踏まえ、平成11年3月に「福井県環境影響評価条例」を制定し、同年6月、全面施行した。
(2) 福井県環境影響評価条例の特徴
@対象事業の拡充
 環境影響評価要綱の対象事業に加え、本県の環境の特性や環境影響評価法の対象事業を踏まえ、新たに林道、普通鉄道、産業廃棄物焼却施設、土石採取などを対象事業に追加した。
Aスクリーニングの導入
 工法や事業実施地域の環境状況によっては、影響が著しくなるおそれがあることから、必ず環境影響評価を実施しなければならない一定規模以上の事業(第1種事業)と、第1種事業に準ずる規模を有する事業(第2種事業)を定め、第2種事業については、知事が、判断基準に基づいて環境影響評価の実施するかどうかを個別に判定する(スクリーニング)こととした。
Bスコーピング(方法書)の導入
 事業が環境に及ぼす影響は、具体的な事業内容や事業実施地域の環境状況によって異なることから、調査開始前に、事業者は環境影響評価方法書(方法書)を作成し、知事や市町村長、住民から意見を聞いて、調査等の項目や手法を個別の案件ごとに選定することとした。
C住民参加の機会の拡充
 環境影響評価の早期段階から住民が参加できるよう、方法書についても意見提出の機会を設けるとともに、意見を提出できる者の地域の限定を撤廃し、環境保全の見地からの意見を有するものは、誰でも事業者に意見書を提出できることとした。
D評価対象とする環境要素の充実
 福井県環境基本条例で、生物の多様性の確保、人と自然との豊かな触れ合いの確保、環境への負荷の低減、地球環境の保全等を求めていることから、評価対象とする環境要素に生物の多様性、人と自然との豊かな触れ合い、廃棄物、温室効果ガス等を追加した。
E準備書や評価書への「回避」、「低減」、「代償措置」の検討の記載
 できる限り環境への影響を小さくするとの観点から、従来の環境基準等の目標達成に加え、環境影響を可能な限り回避し、低減するための代替案等の比較検討の結果や経過を準備書や評価書に記載することとした。
F事後調査の実施
 予測には不確実性が伴うことから、事業者は工事中や供用後の環境の状況を把握するとともに、その結果を県に報告することとした。また、県は、必要に応じて職員による立入調査や環境保全対策の指示をできることとした。さらに、法対象事業についても事後調査を設けた。
G許認可への反映等による制度の実効性の担保
 対象事業について、県の条例によって許認可等を行う場合には、評価書の記載事項に配慮することとし、法律によって許認可等が行われる場合には、その許認可等を行う者に配慮を要請することとした。また、事業者が条例に定める手続等を行わなかった場合には、適正な手続をとるよう勧告できることとした。
 なお、福井県環境影響評価条例の手続および対象事業については、それぞれ図3−5−3、表3−5−4に示すとおりである。

スクリーニング
(第2種事業の内容等の届出)
 第2種事業を実施しようとする者は、その事業の環境影響評価の必要性の判定を受けるため、その内容等
を知事に届け出る。
(第2種事業の判定)
 知事は、事業内容や事業実施地域の環境特性を踏まえ、環境影響評価を実施する必要性を判定し結果を事
業者と関係市町村長に通知する。

  スコーピング(方法書の手続き)
(方法書の作成)
 事業者は、対象事業に係る環境影響評価の項目や調査、予測、評価の手法等を記載した環境影響評価方法
書(「方法書」)を作成し、知事や関係市町村長に提出する。
(方法書の公告・縦覧)
 事業者は、方法書について公告を行い、公告の日から1か月縦覧に供する。
(方法書についての意見書)
 方法書について環境の保全の見地からの意見を有するものは、縦覧期間(1月)+2週間までに、事業者に
対し意見書を提出することできる。
(方法書についての知事の意見書)
 知事は、住民意見概要書、関係市町村長の意見福井県環境審議会の意見を踏まえ、事業者に対し環境の保
全の見地からの意見を述べる。

環境影響評価準備書の手続き
(調査等の実施)
 事業者は、知事意見や住民意見を踏まえ、環境影響評価技術指針に基づき、調査、予測、評価の手法を選
定し、環境影響評価を実施する。
(準備書の作成)
 事業者は、環境影響評価の実施後、取りまとめた調査結果や環境の保全のための措置等を記載した環境影
響評価準備書(「準備書」)を作成し、知事や関係市町村長に提出する。
(準備書の公告・縦覧)
 事業者は、準備書について公告を行い、公告の日から1か月縦覧に供する。
(説明会の開催)
 事業者は、準備書の記載内容の周知を図るため関係地域内で説明会を開催する。
(準備書についての意見書)
 準備書について環境の保全の見地からの意見を有するものは、縦覧期間(1月)+2週間までに、事業者に
対し意見書を提出することができる。
(公聴会の開催)
 知事は、準備書についての意見を述べるため、必要があると認めるときは公聴会を開催する。
(準備書についての知事の意見)
 知事は、住民意見概要書、住民意見に対する事業者の見解、公聴会での意見、関係市町村長の意見、福井
県環境審議会の意見等を踏まえ、事業者に対し環境の保全の見地からの意見を述べる。

環境影響評価書の手続き
(評価書の作成)
 事業者は、知事意見や住民意見を踏まえ、準備書の記載内容について検討し、必要に応じ追加調査等を実
施し、環境影響評価書(「評価書」)を作成し、知事および関係市町村に送付する。
(評価書の公告・縦覧)
 事業者は、評価書について公告を行い、公告の日から1か月縦覧に供する。
(免許等への反映・免許権者への要請)
 知事は、評価書の記載内容を事業の許認可の審査に反映させたり、評価書を免許権者に送付して許認可の
審査への反映を要請する。

事後調査
(事後調査計画書の作成等)
 事業者は、工事施工中や供用後の環境影響を把握するために行う調査(「事後調査」)の項目や手法等につい
て記載した計画書(「事後調査計画書」)を作成し、知事に提出する。
(事後調査報告書の作成)
 事業者は、事後調査の結果を記載した報告書(「事後調査報告書」)を作成し、知事に提出する。
(事後調査完了)
 事業者は、事後調査計画書に基づく事後調査が完了した時は、知事にその旨届け出る。

 
 
(3) 福井県環境影響評価技術指針の制定
 事業者が行う環境影響評価が科学的かつ適正に実施されるために、調査・予測・評価および事後調査に関する技術的事項や、方法書・準備書・評価書の具体的記載方法について、すべての対象事業に共通するものとして定めた福井県環境影響評価技術指針を平成11年6月に制定した。
 なお、技術指針の内容については、今後の事例の積み重ねや科学的知見の進展等、必要に応じて見直していくこととしている。
(4) 環境影響評価の審査案件等(北陸新幹線(南越−敦賀間))
 環境影響評価法に基づいて北陸新幹線(南越−敦賀間)の方法書に係る環境影響評価が実施され、県として審査を行っている。
 このほか、「公有水面埋立法」など個別法に基づく環境影響評価について審査指導を行っている。(表3−5−5)
 表3−5−5 環境影響評価等審査業務内訳(平成10年度)

 
環境影響評価法・北陸新幹線(南越−敦賀間)の方法書に係る環境影響評価審査
個別法・公有水面埋立法に基づく知事免許に係る環境影響評価審査
 
 表3−5−6 環境影響評価等審査件数の推移













 
      年         度10
県環境影響
評価要綱


 
飛行場      
工業用地造成      
発電所   1※   
廃棄物処理施設      
レクリエーション施設      
閣議決定
 
道路     
土地区画整理事業     
鉄道      
省庁通達電源開発   1※   
個別法

 
港湾計画      
公有水面埋立
総合保養地域基本構想      
      合         計10
  ※:同一事業
表3−5−4 福井県環境影響評価条例の対象事業
事業の種類福井県環境影響評価条例
 第1種事業の要件第2種事業の要件
1 道路の建設
高速自動車国道
一般国道・県市町村道
林道

すべて
4車線以上かつ長さ10q以上
幅員6.5m以上かつ長さ20q以上

──────
4車線以上かつ長さ7.5q以上10q未満
幅員6.5m以上かつ長さ10q以上20q未満
2 河川
ダム・堰
放水路・湖沼開発
水位調整施設

湛水面積 100ha以上
改変面積 100ha以上
改変面積 100ha以上

湛水面積 75ha以上 100ha未満
改変面積 75ha以上 100ha未満
改変面積 75ha以上 100ha未満
3 鉄道の建設
新幹線鉄道
普通鉄道・軌道

すべて
10q以上

──────
7.5q以上 10q未満
4 飛行場滑走路長 2,000m以上滑走路長 1,500m以上 2,000q未満
5 発電所
水力発電所
火力発電所
地熱発電所
原子力発電所

出力 3万kW以上
出力 15万kW以上
出力 1万kW以上
すべて

出力 2.25万kW以上 3万kW未満
出力 11.25万kW以上 15万kW未満
出力 0.75万kW以上 1万kW未満
──────
6 公有水面埋立・干拓面積 50ha超面積 40ha超  50ha以下
7 土地区画整理事業面積 100ha以上面積 75ha以上 100ha未満
8 流通業務用地造成面積 100ha以上面積 75ha以上 100ha未満
9 住宅用地造成面積 100ha以上面積 75ha以上 100ha未満
10 工業用地造成面積 50ha以上面積 40ha以上 50ha未満
11 廃棄物処理施設
廃棄物最終処分場
廃棄物焼却施設
し尿処理施設

面積 30ha以上
処理能力 100t/日以上
処理能力 100kC/日以上

面積 25ha以上 30ha未満
処理能力 75t/日以上 100t/日未満
処理能力 75kl/日以上 100kl/日未満
12 工場等の建設燃料使用量 10kC/時以上燃料使用量 7.5kl/時以上 10kl/時未満
 排水量 1万Q/日以上排水量 7,500m3/日以上 1万m3/日未満
13 レクリエーション施設の建設
ゴルフ場・スキー場
運動・レジャー施設

面積 50ha以上
面積 50ha以上

面積 40ha以上 50ha未満
面積 40ha以上 50ha未満
14 自然公園事業面積 50ha以上面積 40ha以上 50ha未満
15 農用地の造成面積 500ha以上面積 400ha以上 500ha未満
16 土石採取面積 30ha以上面積 25ha以上 30ha未満



































 
「第1種事業」:必ず環境影響評価を実施しなければならない一定規模以上の事業
「第2種事業」:第1種事業に準ずる規模を有し、環境影響評価の実施の必要性を個別に判断する事業
 
(5) 事後監視の状況
 事後監視として、稼働中の原子力発電所および火力発電所については、周辺海域における水温の水質状況や大気汚染物質の排出状況等、敦賀火力発電所2号機については、工事の進捗状況と騒音の状況等、大阪ガスLNG基地建設計画については、知事意見に基づき整備が進められている環境保全エリアの状況等の報告を求めている。
(6) 環境影響評価の実施に必要な情報の充実
 今回制定された福井県環境影響評価条例については、その概要をまとめたパンフレットを作成し、市町村や関係事業者等に配布し、周知を図っている。
 また、これまでに実施された環境影響評価や、現在進行中の対象事業に関する情報(方法書、準備書等の縦覧期間や縦覧場所、説明会の開催日時、知事意見など)を、県の環境情報に関するインターネットホームページの「みどりネット」を通じて提供している。
ホームページアドレス http://www.erc.pref.fukui.jp/info/assess
2 環境保全の事前審査
 県では、許認可等において関与する様々な規制的な手続に際して、環境保全の観点から所要の調整を実施している。また、各種事業等の実施の基盤となる各種計画策定などに際しても、環境の保全の観点から事前審査を行っている。
(1) 許認可等に際しての環境配慮の行政指導
 森林法に基づく林地開発の許可や国土利用計画法に基づく土地売買等の届出など、県が関与する許認可等の手続に際しては、環境に配慮した事業の実施が行われるように行政指導を行うなど、所要の調整を行っている。
(2) 計画策定等に係る環境配慮
 県環境基本条例第10条では、県が講ずる施策の策定および実施に当たっては、環境の保全について配慮するものと規定している。
 このため、県では、土地利用基本計画や都市計画等の計画策定などの計画や政策の策定に当たっては、環境の保全の見地からの配慮が行われるよう所要の調整を行っている。
 これらの行政指導等の平成10年度の状況は表3−5−7のとおりである。
 表3−5−7 各種計画策定および許認可等に際しての環境配慮の調整件数












 
許認可等に
際しての環
境配慮の行
政指導




 
・国土利用計画法に基づく土地売買等届出に係る事前協議17
・森林法に基づく林地開発許可申請・連絡調整に係る事前協議
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物処理施設設置届出等に係る事
前協議

 
・採石法に基づく岩石採取計画認可申請に係る事前協議
・砂利採取法に基づく砂利採取・洗浄計画等認可申請に係る事前協議43
・温泉法に基づく温泉掘さく・温泉動力装置許可申請に係る事前協議
小          計80
計画策定等
に係る環境
配慮

 
・国土利用計画法に基づく土地利用基本計画変更に係る事前協議
・国土利用計画法に基づく国土利用計画に係る事前協議
・山村振興法に基づく新山村振興計画に係る事前協議
小          計
合            計83
 
3 公害防止協定
 公害防止協定は、地域の状況や個別の企業の内容に応じたきめの細かい環境保全対策を盛り込むことができ、法令や条例による一般的な規制を補完するものとして有効な手段である。
 本県では、福井県公害防止条例第53条で「事業所は、県または市町村から公害防止協定の締結について申出を受けたときは、その申出に応じなければならない。」旨を規定しており、県は、臨海工業団地であるテクノポート福井に立地する企業または複数の市町村にまたがる広範囲な地域に環境影響を及ぼすおそれのある企業について、当事者として協定の締結を進めている。
 協定の内容としては、企業の操業形態等に応じた個別的な公害防止対策を規定するとともに、立入調査や公開の原則、住民に損害を与えた場合の無過失損害賠償責任についても規定を設け、公害防止対策の実効性の担保などを図っている。
 平成10年度中に県が新たに締結または改正した協定数は13件であり、これまでに締結した公害防止協定数は計64件となっている。(資料編表9−4)
 また、多くの市町村においても、公害防止対策に関する公害防止協定や自然環境、農薬使用等の環境保全対策に関する環境保全協定を事業者と締結しており、その締結件数も年々増加している。県は、公害防止協定等の内容等について市町村から協議を受けた場合、必要に応じ指導・助言を行い、市町村における協定締結の促進を支援している。
 市町村が締結した公害防止協定数は平成11年3月末現在20市町村386件、環境保全協定数は5市町村5件となっている。(資料編表9−5)
 
4 融資制度による支援
 公害の発生を未然に防止するためには、公害関係法令等を遵守することはもとより、事業者自らが、工場等の公害発生源について、公害防止対策を積極的に講じていくことが必要である。
 また、地球規模での環境問題に対応するため、脱フロン化の推進、太陽熱等新エネルギーの活用、既存エネルギーの有効活用等、環境保全に向けての積極的な取り組みが期待されている。
本県では、これらの資金需要に柔軟に対応するため、公害防止施設等の整備促進および生活環境の保全に向けての積極的な取り組みの促進を図ることを目的として、昭和46年10月に定められた「福井県公害防止施設等整備資金融資要綱」を改め、平成6年4月より「福井県中小企業環境保全対策資金融資要綱」を定めている。
この制度の概要は、以下のとおりである。
○融資対象者
 県内において引き続き1年以上同一の事業を営んでいる中小企業者
○融資対象経費
 公害防止に必要な機械設備および工場移転のための建物等を取得するために必要となる設備資金
 (別に定める)
 環境保全に必要な機械設備を取得するために必要となる設備資金(別に定める)
○融資の条件
 ア 融資限度
    原則として、100万円以上3,000万円以内で、かつ、所要事業資金の80%以内
 イ 融資期間
    7年以内(据置期間1年以内を含む)
 ウ 融資利率
    年2.0%(平成12年2月18日現在)
 エ 保証料率
    年0.7%(保証料は県が補給)
 オ 担保、保証人
    県信用保証協会の定めるところによる
 カ 取扱金融機関
    県信用保証協会が約定を締結している金融機関であって、知事が別に指定するもの


















 
 
 
第3節 調査研究の推進
 
(1) 環境の将来の予測のための調査、研究の充実
 県では、環境基準の達成状況を把握するため、大気汚染の状況や公共用水域の水質汚濁の状況等を常時監視するとともに、発生源の監視調査を実施している。これらの結果に基づき、汚染・汚濁原因の解析や将来の予測・評価を行い、監視体制の見直しや環境保全政策の推進に活用している。
 今後とも汚染・汚濁の解析手法や将来予測のためのシミュレーション技法の開発など、調査・研究の充実に努める。
(2) 地球環境問題に関する調査・研究の推進
 昭和48年度から、酸性雨モニタリング調査、土壌・植生モニタリング調査等を独自に実施している。今後も、酸性雨による生態系への影響など、時間的広がりを持つ地球環境問題について、国等と連携しながら、調査・研究を進めていく必要がある。さらに、平成7年度からは、環境庁が進めている全国酸性雨調査に参画し、「国設越前岬酸性雨測定所」において調査を実施している。また、夜叉ケ池(今庄町)においても、環境庁の委託を受けて、平成6・10年度に酸性雨による陸水への影響を調査している。
(3) 有害化学物質に関する調査・研究の推進
 従来から、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物による地下水汚染など有害化学物質に関する調査・研究を行っているほか、環境庁の「化学物質環境安全性総点検調査」に参加している。また、平成9年度から、健康影響の恐れのある有害大気汚染物質18物質について実態調査を行っている。
 また、平成12年度から、ダイオキシン類や環境ホルモンの研究施設の整備に着手し、地域に密着した調査・研究を進めることとしており、今後とも、最新技術の導入を図り、有害化学物質による環境汚染の未然防止に努めていく。
(4) 総合的な環境指標の開発
 環境基本計画に定められた長期目標達成に向けて、施策の効果的な実施を図るためには、目標の達成状況や目標と施策の関係を具体的に示す総合的な環境指標が有効であると考えられる。
 そこで、環境基本計画の実行や進捗状況の点検、計画の見直し等に活用していくため、総合的な環境指標の開発を進め、施策への反映に努めていく。
(5) 県の試験研究機関の共同研究体制の整備、産官学による共同研究
 県の9試験研究機関では、環境技術会議を設置し、環境関連の調査研究の調整を行っている。また、幅広い分野から総合的に研究する必要のある課題については、共同で研究を進めており、これまで、社寺林等におけるスギ枯れの問題や湖沼浄化対策について共同研究を行ってきた。
 特に、湖沼浄化対策については、県立大学や国立環境研究所と研究成果の情報交換を図っており、今後とも、産・官・学による共同研究を進めていく。
 

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