第6章 環境保全に向けた県自らの取組み
1 福井県環境保全率先実行計画
(1) 背景
今日、都市化の進展や科学技術の発達により、生活の利便性が高まる一方で、資源やエネルギーが大量に消費され、地域のみならず、地球全体の環境にも大きな影響を及ぼすようになってきている。
県は、様々な政策や事業を行うという行政の主体としての役割のほか、民間企業等と同様に、各種の製品やサービスの購入・使用や建築物の建設・維持管理など、事業者や消費者としての経済活動を行っている。
特に、経済活動の主体として県の占める位置は大きく、自らがその経済活動に際して環境保全に関する行動を実行することによる環境負荷の低減が大きく期待される。
平成7年3月に公布・施行された福井県環境基本条例では、一人ひとりが自らの日常生活や経済活動のあり方を見つめ直し、県民、事業者および行政の各主体が、環境の保全に向けた積極的な取組みを求めている。
こうしたことから、県民、事業者および市町村に対し、自主的・積極的な行動を求めるためにも、県自らが率先して環境負荷の低減に向けて取り組むことが必要である。こうした状況を踏まえ、県の各機関が
環境保全に向けて実施する行動計画「環境保全率先実行計画−エコロジカルな行政をめざして−」を平成9年3月に策定している。
(2) 計画の構成および概要
本計画は、県自らが事業者・消費者として環境への負荷の低減を図るため、行政を進める中で、省エネルギー・省資源や廃棄物の減量化などに対する目標を定め、
@消費活動における環境への配慮
A建築物の建設に当たっての環境への配慮
B建築物の管理に当たっての環境への配慮
C公共工事に当たっての環境への配慮
について、可能な限り数値による環境負荷削減目標を掲げ、平成13年度を目標年度に置き、平成9年度から実施している。(表3−6−1)
(3) 率先実行計画の実施状況について
平成9年度においては、計画最初の実施年であることから、職員への説明会の開催、紙使用量の削減および廃棄物量の削減についての文書による依頼、庁内放送による節電等の呼び掛けなど、職員への周知を
図った。
計画の実施状況について、今回、第一回目の実施状況を取りまとめた。(表3−6−2)
その結果、おおむね各項目で基準年度比で改善がみられており、特に、燃料使用量の削減の庁舎管理に係る部分については、平成9年度で既に13年度の目標数値を達成している状況にある。また、緑化の推進に
ついては、平成9年度時点の目標値を達成している。
一方、紙類の削減および電気使用量についてはあまり改善がみられず、特に、電気使用量は増加していることから、その削減が今後の課題となる。
なお、各実績数値の増減は、計画の進捗状況によるものだけでなく、各年度の事務量や気象条件などによっても影響を受けるため、平成9年度に改善がみられた項目についても、これが定着するよう一層の取組みを
推進することととしている。
表3−6−1 福井県環境保全率先実行計画の概要
ア 消費活動における環境への配慮
紙の削減 ○再生紙の利用拡大等により、バージンパルプ使用量を平成7年度比で15%削減する。
○使用済み用紙の裏面利用等により、紙類使用量を平成7年度比で10%削減する。
節水 ○節水機器の導入等により、水使用量を過去5年間(3〜7年度)の平均値比で10%削減
する。
節電 ○省エネルギー機器の導入等により、電気使用量を過去5年間(3〜7年度)の平均値比
で5%削減する。
燃料使用の削減 ○空調の適温化等により、冷暖房用燃料使用量を平成7年度比で10%削減する。
○必要最小限の自動車の選択等により、公用車の燃料使用量を平成7年度比で15%削減す
る。
廃棄物の減量 ○ごみの分別回収の徹底等により、紙類のリサイクル率を80%以上にし、可燃ゴミの廃棄
量を平成8年度比で30%削減する。
○瓶・缶等のリサイクルボックスの設置等により、不燃物の廃棄量を平成8年度比で70%
削減する。
その他 ○エコマーク商品等環境負荷の少ない製品の利用拡大を図る。
イ 建築物の建設に当たっての環境への配慮
省資源 ○熱帯雨林木材を使用した合版型枠材使用削減等を図る。
省エネルギー ○太陽光等自然エネルギーの導入や、建築物の高断熱化に努める。
その他 ○建設廃棄物の排出抑制、環境負荷の少ない施行法の採用、汚染物質の排出抑制などを推
進する。
ウ 建築物の管理に当たっての環境への配慮
省資源・ ○節電や節水等を推進する
省エネルギー
環境汚染の防止 ○ばい煙発生施設や水質汚濁施設の適正管理やフロン等の回収・適正処理を推進する。
緑化等 ○敷地の緑化や美化等に努める。
エ 公共工事に当たっての環境への配慮
建設廃棄物 ○平成12年度に建設廃棄物の予想発生量の10%弱を抑制する。
の排出抑制 ○平成12年度に建設廃棄物のリサイクル率80%、建設発生土のリサイクル率70%にする。
生態系の保全 ○生物の生息環境の保全・保護等に努める。
緑化等 ○法面の緑化や街路樹の植栽等により、道路緑化済実延長を平成4年度比で平成9年に40
%、将来的に 100%増やす。
○法面の再緑化率を、平成9年度末までに30%、将来的には概ね 100%にする。
○地域環境に調和した景観づくり等に配慮する。
オ 職員の環境保全意識の向上等
研修等 ○自治研修所において環境保全に関する研修を導入する。
○地域の環境美化など環境保全活動に積極的に参加する。
カ 計画の推進体制の整備と実施状況の点検
推進体制 ○推進責任者をおき、環境保全に関する率先実行の啓発に努める。
進捗状況把握 ○推進責任者を通じて当計画の進捗状況を把握する。
○当計画の進捗状況を環境白書等で公表する。
|
表3−6−2 取組み状況(平成9年度実績)
項 目
|
目 標 値
(平成13年度) |
実 績 値
|
9年度値
───────
基準年値 |
紙類の削減
バージンパルプの
使用量削減
紙類の使用量削減
|
15%削減
|
3%削減
|
111t/年
───────
115t/年 |
10%削減
|
1%削減
|
254t/年
───────
257t/年 |
水使用量の削減
|
10%削減
|
6%削減
|
712千m3/年
────────
760千m3/年 |
電気使用量の削減
|
5%削減
|
6%増加
|
4710万kWh/年
─────────
4440万kWh/年 |
燃料使用量の削減
庁舎管理等に係る
使用量
公用車に係る使用量
|
10%削減
|
10%削減
|
3890kl/年
────────
4310kl/年 |
15%削減
|
9%削減
|
645kg /年
─────―─
706kg /年 |
廃棄物発生量の抑制等
紙資源の
リサイクル率
可燃廃棄物の
排出量削減
不燃廃棄物の
排出量削減 |
80%
|
78%
|
|
30%削減
|
*
15%削減
|
385kg/日
───────
452kg/日 |
70%削減
|
*
49%削減
|
154kg/日
───────
303kg/日 |
緑化の推進
道路の緑化延長
法面再緑化率 |
40%増加(平成4年度比 目標年:平成9年度)
(100%増加(平成4年度比 目標年:将来)) |
52%増加
|
30%(目標年:平成9年度)
(100%(目標年:将来)) |
53%
|
*:県庁舎のみの実績
(3) 平成10年度の実施している取組みの状況について
平成10年度においては、各職場における通常の取組みに加え、次のような取組みを実施し、計画のより一層の推進に努めている。
・ 冷房温度の適温化(28度)および夏季の軽装の推進
・ ステッカーの配布などによるアイドリングストップの呼びかけ
・ 普及啓発パンフレットおよびシール等の配布
・ 「職員のしおり」への率先実行計画の登載
・ 庁内放送による節電等の呼びかけ
・ 不燃物リサイクルの推進(不燃物リサイクルボックスの設置)
・ 低公害車の導入(ハイブリッドカー5台)
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