第5章 環境の保全と創造をめざした参加型社会の基盤づくり
 
第1節 自主的な活動の推進
 
1 環境教育・学習の推進
 今日の多様化した環境問題に適切に対応し、かけがえのない環境を将来の世代に引き継いでいくためには、県民一人ひとりが今までのライフスタイルを見直し、「県民が生涯学習として取り組む環境に関する 学習と実践」−環境教育−を推進することが重要になっている。
 そのためには、地域住民、民間団体、事業者、学校、行政等の多様な主体が、それぞれの役割を分担しながら、環境に関する学習や活動を進めていく必要がある。
 県においては、平成2年度に「福井県環境教育基本方針」を取りまとめ、情報の提供や指導者の育成等を進めている。
(1) 福井県環境アドバイザー制度
 “環境にやさしい人づくり”の推進を目的として、平成6年6月に「福井県環境アドバイザー制度」が発足している。
 この制度は、環境保全についての有識者や環境保全活動の実践者等を「環境アドバイザー」として委嘱し、公民館、各種団体や学校等が主催する環境問題に関する学習会、講演会等に講師として派遣または 紹介するものであり、平成10年度には28回アドバイザーを派遣した。
 今後とも、幅広い環境問題に対応できるよう、アドバイザーの充実に努めていく。
(2) 地域環境ジュニアパトロールの実施
 21世紀を担う小・中学生が、自分たちの目で身の回りの環境を見つめることにより、環境に対する意識を高めてもらおうと、平成3年度から「地域環境ジュニアパトロール」を実施しており、平成10年度は、 県内各地から17グループが参加した。
 参加グループは、夏休み期間中に、身近な環境をテーマに自分たちの住んでいる地域を調査し、問題点や提案等を話し合い、報告書として取りまとめるとともに、報告会では活動結果を発表し、討論した。
(3) 児童用環境教育副読本の作成
 小学校高学年を対象に、ゆとりの時間、自由研究、体験学習の中で活用できる教材「かんきょうはみんなの仲間−ふくいの環境−」を作成し、各小学校、市町村教育委員会等へ配布している。
(4) 環境教育研修講座
 県教育研究所では、分野別の専門研修で環境教育の研修講座を開講している。この研修では、小中学校の教員が、環境教育の考え方と進め方についての講義を聞いたり、生活排水や酸性雨に関する実験・実習を 行ったりして、学校における環境教育の指導方法について研修を深めるものである。また、理科や社会科(地理歴史・公民)における研修講座においても、環境に関する内容を取り上げている。
 今後、環境教育を学校教育の中に位置付けていくとともに、具体的に何を題材として選択し、どのように教材化していくかといった研究を一層進めていく。
(5) 移動環境教室の実施
 学校等での環境学習を支援するため、小・中学校を対象に移動環境教室を実施し、環境関連ビデオの視聴、大気環境測定車「みどり号」・電気自動車「みどり号ミニ」の説明、環境関連パネルの説明等を行って いる。
(6) 環境月間
 平成9年3月に「福井県環境基本計画」が策定されたことを受け、県民一人ひとりの関心と理解をより一層深め、環境の保全に関する活動を行う契機とするため、国と歩調を合わせて6月を「環境月間」と定め、 県民、事業者、行政が一体となって環境保全活動に取り組む「環境にやさしい参加型の社会」をめざして、各種の行事を実施した。(表3−5−1)
 ア クリーンアップふくい大作戦
 美化活動への取組みを拡大しながら、地域の環境保全に関しての県民意識の啓発を図ることを目的として、平成4年度から、県下一斉に地域住民が主体となって美化活動を行う「クリーンアップふくい大作戦」 を実施している。
 平成10年度は、6月7日(日)を統一行動日として、「生かそう 小さな汗 私たちの環境に」をテーマに、市町村が設定した拠点地区等において、知事や市町村長の参加のもと美化活動が行われたほか、民間 団体、企業においても、それぞれの団体活動を活かした特色ある美化活動が展開され、約62,500人の県民が参加した。また、県においても、自然公園環境美化事業や海の浮遊ごみを回収する海面環境保全事業等を併せて 実施した。
 イ 環境月間街頭キャンペーン
 環境の日である6月5日(金)に、「環境月間」と「環境の日」の趣旨を県民に広めるため、街頭キャンペーンを行った。福井市の繁華街に電気自動車「みどり号ミニ」を配置し、花の苗を通行人に配布して、 環境保全の大切さなどを呼びかけた。 ウ ふくい環境展
 かけがえのない環境を守るために、県民一人ひとりが「地球規模で考え、足元から行動する」意識を持つ契機とするため、平成10年6月10日〜14日に、福井市と共同で“身近なところから温暖化防止”をテーマに 「ふくい環境展」を開催した。
 地球温暖化防止に向けた取組みの紹介を中心に、リフォームファッション優秀作品展示、県内企業の環境関連事業への取組み紹介、環境に関する簡易実験、空き缶やペットボトルのリサイクルの紹介のほか、 環境パネル、電気自動車・ハイブリッド車の展示、ビデオの放映を行った。
 また、小学校の4・5・6年生を対象に実施した環境保全ポスターコンクールの最優秀賞作品、優秀作品10点を含む、計 330点の入賞作品を「ふくい環境展」において展示した。
 「ふくい環境展」は、一週間にわたって開催され、約 3,300名の見学者が訪れた。
 
 表3−5−1 環境月間行事実施結果(平成10年6月1日〜30日)
    実践テーマ   「広げよう やさしい配慮を 環境に」
   (サブテーマ)    身近なところから温暖化防止
行事名 実施主体      内容 実施日 実施場所



クリーンアップ
ふくい大作戦


 
県・市町村

環境ふくい
推進協議会

(社)あすの
福井県を
創る協会
6月7日を統一行動日として、各市町村における
拠点地区および一般地区において、美化活動を
実施する他、県における美化事業も併せて実施

 (関連事業)
 ・自然公園環境美化事業
 ・海面環境保全事業
 ・河川美化地域活動推進事業



統一行動日

6/7(日)

 




県下全域


 
「環境月間」街頭

キャンペーン
環境政策課

福井市
街頭において通行人に対し、花の苗を配布し、
「環境月間」「環境の日」の周知等の啓発キャン
ペーンを実施

6/5(金)
 

福井市
(だるまや西部)







ふくい環境展








 






環境政策課

福井市







 
県民の環境に対する意識の普及啓発を図るため、
デパート催事場にて環境展を開催
(テーマ)「身近なところから温暖化防止」
(内容)
 ・地球温暖化防止に向けた取組みの紹介
 ・環境保全ポスターの展示
 ・リフォームファッション優秀作品展示
 ・県内企業の環境関連事業への取組み紹介
 ・リサイクル(空き缶・ペットボトル・
        プラスチック・ガラス等)
 ・空き缶つぶし機の展示
 ・電気自動車、ハイブリッド車の展示
 ・大気環境測定車みどり号の公開
 ・ふるさと福井の自然の紹介
 ・環境情報(みどりネット)
 ・牛乳パックとトイレットペーパーの交換
 ・大気浄化苗木の配布






6/10(水)
  〜
6/14(日)







 






ショッピン
グタウン
 ピ ア







 
環境保全
ポスター
コンクール

環境政策課
 
小学校4、5、6年生を対象に環境保全について
のポスターコンクールを実施
     審査会   5/26(月)
作品展示
6/10(水)
〜14(日)

県下全域
 

環境パトロール
 
環境政策課

関係各課
工場・事業場、自然公園、廃棄物処理施設、
畜産施設、道路、河川、海岸等の一斉パトロール
を実施

6/18(木)
 

県下全域
 
地域環境ジュニ
アパトロール
活動グループの
募集
環境政策課

教育庁学校
   教育課
身近な環境問題をテーマに調査研究活動を行う
小中学生のグループを募集
   応募期限       6/19(金)
   参加グループの決定  6月末
活動期間
7、8月中
(夏休み中)
 

県下全域

 
環境意識啓発

パネル展

環境政策課
 
環境に関するパネル等を展示し、環境問題に対
する意識の高揚、啓発を行う
 
6/1(月)
  〜
6/5(木)
福井県庁
 県民ホール
 
樹木の大気浄化
能力度チェック
環境政策課
 
中学生が中心になって、樹木の大気浄化能力度を
調べるための実験を実施
6月〜8月
 
県下
3中学校
自然観察会
 
自然保護
センター
一般の人を対象に自然観察会を実施
 
6/7(日)
 
敦賀市
池河内
自然観察の森
ガイド
 
自然保護
センター
 
自然保護センター周辺の自然観察会の森の生物に
ついてミニ観察会を実施し、自然環境について
理解を深める
6月中の
日曜日
 
自然保護
センター
 
天体観望会
 
自然保護
センター
天体を観望したり、季節の星座の学習を通して、
自然環境について理解を深める
6月中の
土曜日
自然保護
センター

行事名 実施主体      内容 実施日 実施場所

広報活動
 
広報課
環境政策課
 
新聞、テレビ、各種広報紙、ポスター、チラシ、
懸垂幕等で月間の趣旨や、環境美化に対するPR
を実施

環境月間中
 

県下全域
 
環境科学センタ
ーの施設公開
環境科学
センター
環境科学センターの施設の公開、環境の状況や
センターの業務の説明等を実施
環境月間中
 
環境科学
センター
畜舎環境
美化促進運動
畜産課
 
畜舎環境の美化を進めるための巡回指導および
県営牧場等の畜舎環境の美化モデルづくりを実施
環境月間中
 
県下全域
 
環境衛生
パトロール
各保健所
 
廃棄物処理施設、浄化槽等を対象としたパトロー
ルの実施および廃棄物適正処理の監視指導
環境月間中
 
県下全域
 
ごみスリムスリ
ム運動推進週間
 

衛生指導課
 
ごみの排出抑制、減量化および再生利用の推進に
ついて広域的に普及・啓発を図る
(懸垂幕の設置、テレビスポット放送による啓発)
5/30(土)
  〜
6/5(金)

県下全域
 
公害事犯の
集中取締り
生活保安課
各警察署
公害事犯の集中取締りを実施
 
環境月間中
 
県下全域
 
暴走族追放
ならびに整備
交通指導課
各警察署
暴走族(整備不良車両)の取締り強化月間と定め
県下一斉に取締りを強化
環境月間中
 
県下全域
 
公害防止
自主総点検
特定工場等
 
特定工場等での公害防止施設の操作、管理の自主
的な総点検および環境美化活動を実施
環境月間中
 
県下全域
 

 
(7) ナチュラリストおよびナチュラリストリ−ダ−の養成
 県では、自然とのふれあいを促進し、自然保護思想の普及を図ることを目的に、平成2年度からナチュラリスト養成事業を推進している。
 ア ナチュラリストの登録
 平成10年3月末の登録者数は4,547名で、そのうち69名が観察会の指導員として活動するナチュラリストリーダーに、また、22名がサブリーダーに登録されている。
 イ ナチュラリスト・リ−ダ−の養成
 平成10年度は、ナチュラリスト・リーダーの養成講習会を年2回実施するとともに、6名の県外派遣研修を行った。
 ウ 自然保護の普及啓発誌
 「森遊」(24号〜26号)、「ふるさと福井の自然」(貴重な植物群落)を編集・発行した。
(8) フォレストサポーターの養成
 県では、平成8年度から10年度まで、森林を利用する一般県民に対し、森林・林業に関する知識を付与し、森林の案内や野外活動の指導をボランティアで行うフォレストサポーターを養成している。 (平成10年10月8日現在71名)
(9) その他の普及啓発
 ア 刊行物の発刊
 水、大気、自然、廃棄物等の様々な環境とその問題点について、県民の理解と認識を深めることを目的に、パンフレットの作成・配布を行っている。平成9年度に県において発行された関連の刊行物は 表3−5−2のとおりである。
 
 表3−5−2 ポスター、パンフレット等作成配布状況(平成9年度)
 種類     名称、内容等 作成部数   配布先
パンフレット 「ふくいリサイクルPRESS」    1,000 県民
 チラシ 環境保全、美化に関するチラシ (環境月間用)  37,000 市町村等
 ポスター 環境保全、美化に関するポスター(環境月間用)   1,300 市町村等
  〃
 
省資源・省エネルギー啓発ポスター
           (省エネルギー月間用)
    500
 
市町村、各種団体等
 
 冊 子
 
「かんきょうはみんなの仲間(ふくいの環境)」
              (児童用副読本)
  10,600
 
小学校5年生および
指導者
  〃
 
「ふるさと福井の自然(池や湖のトンボ)」
 (自然保護読本)
  1,000
 
県民
 
  〃 「これからのくらし」(児童用家庭科副読本)  10,000 小学校
 情報誌
 
「森遊(21・22・23号)」   (自然保護関連)
 
   3,000
(1,000×3号)
ナチュラリスト等
 
  〃
 
「福井のくらし」(消費生活関連2ヶ月に1回)
 
168,000
(28,000×6号)
各種団体、町内会等
 
  〃
 
「みんなのかんきょう」
(環境ふくい推進協議会 年4回)
   8,000
(2,000×4号)
協議会会員、市町村
各公民館等
















 
 
 イ スターウオッチング・ネットワーク
 全国星空継続観察(スターウオッチング・ネットワーク)は、星空の観察を通じて大気環境の状態を調査し、大気環境保全について考える機会とするため、環境庁と(財)日本環境協会の主催により、 昭和63年度から実施されている。
 この観察では、毎年度、自主的に観察を行う団体(地方公共団体、学校、市民グループ等)を募集し、観察の手引きに従って夏期・冬期の観察期間に全国一斉に星空の観察を行うことにより、「夜空の 明るさ」等を調べている。これまでの観察結果から、都市の規模が大きくなるにつれて、ネオンや街灯等の照明が大気中のチリ等に反射することにより、星が見えにくくなっていることが確認されている。
 なお、本県からは、県自然保護センター、小浜市役所、オヤット天文クラブ(大野市)の団体が、平成10年度の観察に参加した。
 ウ 水生生物調査
 カワゲラ、トビケラ等の河川に生息する水生生物を指標とした水質の簡易調査は、一般の人にも親しみやすく、誰でも調査に参加できるという利点を持ち、また、その結果が水質汚濁の長期的・複合的な 影響を反映すると考えられている。
 そこで、環境庁は、全国の河川において、一般市民等の参加を得て、水生生物による簡易調査を実施している。
 本県では、平成10年度、小・中学校計12校の児童・生徒 161人と2団体 121人の計 282人が参加している。
 この結果、県内10河川の水質階級が把握され、また、参加者は、身近な河川の水質を体験的に知るとともに、河川の水質保全の必要性や河川愛護の重要性に対する認識を新たにすることができた。 (資料編表8−9
 
2 自発的な活動の支援
(1) 環境保全に係る各主体間の連携
 環境の保全に責任を持てる人づくりに向けては、普及啓発の充実や環境教育・環境学習の推進はもとより、県民や事業者が参加できる施策や組織等を充実することが必要である。
 環境の保全に関しては、一人ひとりの行動が大切であるとともに、環境保全を目的とした民間の環境保全団体や企業の活動が重要であり、既に本県においても、様々な団体が活動を行っている。
 県では、平成6年度に、環境保全に係る個人、団体、企業のネットワークと地域に根ざした活動団体の育成を図ることを目的に、各主体が一体となって環境保全活動に取り組むための推進母体として 「福井県環境ふくい推進協議会」を設立している。
 環境基本計画の推進をはじめとして、県民参加による環境保全の取組みを拡大することが今後ますます重要となることから、本協議会の充実を図り、県民、団体、企業間の連携強化に取り組むことに よって、県民一体となった環境保全推進のための体制づくりを進めていく。
(2) 環境教育・学習の拠点整備
 環境教育・環境学習や環境情報の提供を通して、環境の大切さや人と環境との関わりについて考え、環境の価値や環境問題の解決方法等を見いだす能力や行動力を育む上で、環境教育の機会や学習の 場が設けられていることが重要である。
 環境科学センターをはじめ、自然保護センター、内水面総合センター等の関係機関が連携し、また分担して、生涯学習や学校教育等の様々な面において、県民のこうした環境学習の取組みを支援して いる。
 環境問題は、自然科学、社会科学等の分野も含めた総合的な視点に立って、科学的データに基づいて取り組むことが重要であるとして、他県では県民等が学習できる拠点施設の整備が進められつつ ある。本県においても、自然観察等ができる学習フィールドを兼ね備えた学習拠点施設の整備等について、研究を進めていくことが必要となっている。
(3) 環境ボランティアの確保
 環境保全施策や地域における自主的活動を推進するためには、県民各自の行動を促すことが大切である。このため、地域の実情に即したきめ細かな情報をもとに、県民一人ひとりが、「自主的・ 自発的こころ」で環境保全活動に「参加」することとなるよう、地域の核となる人材を育成し、地域住民が連携する体制づくりについて、今後検討を進めていく。
(4) 県民参加の森林づくり
 森林をはじめとする緑は、県民の豊かな心を育み、生活にゆとりと潤いをもたらすなど、豊かな生活を実現する上で重要な役割を果たしており、森林や緑を守り・育てていくためには、こうした 森林や緑に対する県民意識の高揚を図る必要がある。 また、市民グループ等がボランティア活動により森林づくりを行うなど、森林整備に対する新たな動きが芽生えつつあり、情報提供や活動機会の 創出等を通じ、森林づくりに関するボランティア活動を推進していくことが重要である。
 このため、「みどりの日(4月29日)」を含めた一週間を「みどりの週間(4月23日〜29日」として、グリ−ンキャンペ−ンや福井県緑化大会(けんみん森林づくり推進大会)など、緑化に関する 各種イベントを開催するとともに、「木の日(10月8日)」にちなみ、木と花と緑の祭典としてグリーンフェアを開催し、さらに、森林の講演会・グリ−ンコンサ−ト等を通じて、広く県民に木の良さや緑の役割に関する意識の高揚に努めている。
 また、緑化の推進を目的に、昭和25年から始まった「緑の羽根募金」は、平成7年の「緑の募金法」の制定に伴い、新たに、森林の整備、緑を通じた国際協力という目的が加わり、「緑の募金」 として生まれ変わった。この「緑の募金」は、(社)福井県緑化推進委員会を通じて、公園等の公共施設緑化や学校林の整備など、広く活用されている。
 さらに、次代を担う青少年に対し、緑を愛し、守り、育てることを学んでもらうため、緑の少年団を育成しているところであり、緑の少年団が参加する森林づくりの学習や活動等に対する支援を 行っている。(資料編表8−10
 なお、緑の少年団は、平成10年3月現在、46団、 1,769名が組織されている。
 一方、一般市民等が自発的に参加する森林づくりの活動を促進するため、(社)福井県緑化推進委員会を通じて、平成9年4月から、森林づくりボランティアを募集している。
 あわせて、森林づくりボランティアの活動を促進するため、「ふくいの森林づくり体験会」を開催し、体験学習や普及啓発を行っている。
(5) 「環境にやさしい参加型社会」づくりに向けたプログラム
 県民等の環境保全活動を確実なものとするためには、環境保全活動の意義や行政が進める施策について、県民等の理解を得ることが大切である。
 県は、普及啓発事業や、環境教育・実践活動に対する支援事業を進めているが、地域・学校・職場等の「場」や、子供から大人までの「年齢」等の実情に即した施策を展開することが重要な視点と なっている。
 このため、県民・事業者等に期待する取組みや、環境保全活動を促進するための施策等について検討し、県民等の着実な活動に結びつけていくための施策を進めている。
(6) 環境マネジメントシステム
 県では、企業の自主的な環境保全活動への取組みが重要であることから、県内企業における環境マネジメントシステムの導入状況について情報を収集するとともに、実際に環境マネジメントシステム を構築した事業所の専門家やその規格認証のための審査の専門家を講師とした企業への研修会の開催、認証取得のためのアドバイザーの派遣に係る補助、取得に係る融資を行うなど、その普及支援に努めて いる。
 
3 環境情報の提供
(1) 環境情報の活用
 複雑化する環境問題に的確に対応するとともに、地域環境を長期的に良好な状態で保全し、質的に高めていくには、環境の現況に関する正しい認識や問題点の把握と、これらをもとにした合理的な 施策等の推進が重要である。
 さらに、環境保全に関する意識調査によると、県民は、環境問題の重要性は認識しているものの、環境保全活動に取り組むに当たって障害となる点として、「環境問題についての知識・情報が少ない」 ことをあげ、行政に対し“環境情報の提供”や“環境教育の推進”などの施策の充実を求めている。
 このため、大気や水質等の「公害」、植物や動物等の「自然環境」、文化財や風景等の「生活文化環境」および土地利用や人口等の「社会条件」に関する情報等の多種多様な環境情報を体系的に整備し、 行政内部での活用はもとより、県民・事業者もこれらの情報を有効に活用できる「環境情報システム」を構築し、情報化時代に対応した総合的な環境行政の推進を図る必要がある。
(2) 環境情報システムの整備
 環境情報システムは、多種多様な環境情報を総合的・体系的に収集管理し、それらの情報を用いて環境を総合的に評価、解析、提供するなどの機能を有するものである。
 県では、これまで大気の常時監視データや公共用水域の常時監視データをコンピューターで処理するとともに、環境情報の総合的整備として、昭和60年度に「環境利用ガイド事業」、昭和63年度に 「広域環境資源情報基盤整備事業」を実施してきた。
 また、平成4年6月には、環境情報の広域的な活用の推進を図るため、パソコン通信による環境情報ネットワークシステム「みどりネット」を整備し、平成8年1月にはインターネットへの接続も 行っている。
 このシステムは、環境科学センターのホストコンピューターに蓄積された各種の環境情報を電話回線やインターネットを通じて提供するシステムで、利用者が任意に環境に関する情報を検索できる ほか、広報したい情報を入力することができるなどのネットワーク機能を有している。





 
─ 環境情報提供内容 ─
・県内の大気および水質等の状況
・環境保全活動事例
・環境科学センターの業務案内
・環境関連イベント情報 等

(ホ−ムペ−ジのアドレス)
   : http://www.erc.pref.fukui.jp/
(パソコン通信の電話番号)
   : 0776-52-7122

 
(3) 環境情報のシステムの高度化
 今日、環境問題は社会的に関心の高い問題であり、県民等は、県が横断的に持っている環境情報の提供を求めている。また、県自らも、公共工事をはじめ様々の分野において、環境に配慮した施策を 実施するとともに、環境の現況を客観的に評価し、問題点の把握とその対応策について多方面から検討することが必要となっている。
 このような視点に立って、県では、平成10〜11年度において、「各部局に分散している環境情報のデータベース化」、「地図・図形等による環境情報のビジュアル化」、「欲しいときに容易に利用 できるシステムづくり」等の機能を備えた、新たな「環境情報総合処理システム」の開発を進めている。
 このシステムによって、県民等のニーズに応えられる身近で分かりやすい情報や施策の実施に必要な情報を迅速に提供することを可能にし、県民一体となった環境保全活動のより一層の推進を図って いく。
 
 
第2節 環境配慮のための基盤づくり
 
1 規制的手法
(1) 法令等の制度
 事業活動等における環境保全上の障害防止の手段として、大気汚染防止法に基づくばい煙発生施設に係る規制や自然公園法に基づく開発行為の規制など、法令等に基づく規制的手法は行政の基本的な 手法の一つとなっている。
 県では、公害防止条例や自然環境保全条例等を制定しており、よりきめ細かい対応を行っている。
 また、炭化水素類の排出を抑制するための「タンクローリーに係る炭化水素類排出抑制対策推進要綱」を平成10年1月5日から施行している。
(2) 行政指導等
 県では、許認可等において関与する様々な規制的な手続きに際して、環境保全の観点から所要の調整を実施している。また、各種事業等の実施の基盤となる各種計画策定などに際しても、環境の 保全の観点から所要の調整を行っている。
 ア 許認可等に際しての環境配慮の行政指導
 森林法に基づく林地開発の許可や国土利用計画法に基づく土地売買等の届出など、県が関与する許認可等の手続に際しては、環境汚染の未然防止の観点から、所要の調整を行っている。
 イ 計画策定等に係る環境配慮
 上位計画・政策における環境配慮については、県環境基本条例で、県の施策の策定等に当たっての環境配慮を規定している。
 このため、県では、計画や政策の策定に当たって環境への配慮が行われるよう、土地利用基本計画や都市計画等の計画策定などに際して、環境の保全の見地から所要の調整を行っている。
 これらの行政指導等の平成9年度の状況は表3−5−3のとおりである。
 
2 環境影響評価
 環境影響評価(環境アセスメント)は、環境に大きな影響を及ぼすおそれのある開発事業等の計画策定や実施に際して、その環境影響について、事前に十分な調査、予測および評価を行い、 その結果を公表して、地域住民の意見を聴いた上で、地域の環境に配慮した適切な環境保全対策を講じようとするものであり、環境汚染の未然防止のための重要かつ有効な手段である。
 環境影響評価は、国においては、閣議決定による環境影響評価実施要綱、公有水面埋立法などの個別法および各省庁通達等に基づき実施されている。本県では、環境基本条例に基づいてその 推進を図ることとしており、平成4年から「福井県環境影響評価要綱」を施行している。この要綱では、国要綱等の制度では対象となっていない事業の追加と事後監視等の手続を追加し、十分な 環境配慮が必要な大規模な事業について、環境面から適切に誘導することとしている。
 
 表3−5−3 各種計画策定および許認可等に際しての環境配慮の調整件数
















 
計画策
定等に
係 る
環境配
・国土利用計画法に基づく土地利用基本計画変更に係る事前協議
・国土利用計画法に基づく国土利用計画に係る事前協議
・都市計画法に基づく都市計画区域の指定および変更に係る事前協議
・農業農村整備環境対策指針の策定に係る事前協議
  1
  1
  1
  1
        小             計   4

許認可
等に際
しての
環境配
慮の行
政指導



 
・国土利用計画法に基づく土地売買等届出に係る事前協議
・福井県土地利用指導要綱に基づく土地取得事前協議に係る協議
・森林法に基づく林地開発許可申請・連絡調整に係る事前協議
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物処理施設
 設置届出等に係る事前協議
・採石法に基づく岩石採取計画認可申請に係る事前協議
・砂利採取法に基づく砂利採取・洗浄計画等認可申請に係る事前協議
・温泉法に基づく温泉掘さく・温泉動力装置許可申請に係る事前協議
・墓地・埋葬等に関する法律に基づく墓地等経営許可申請に係る
 事前協議
 35
  1
  2
 10

  9
 52
  7
  1
 
        小             計 117
        合             計 121
















 
 
 本県の要綱の手続および対象としている事業は、図3−5−5および表3−5−4のとおりである。
 
 (1) 環境影響評価の審査
 平成9年度には、国の環境影響評価実施要綱に基づく土地区画整理事業に係る環境影響評価が実施されており、県としてこれらに対して審査を行っている。
 平成9年度に実施した審査案件についての環境保全の見地からの意見の概要は次のとおりである。






 
────  環境保全の見地からの意見の概要    ────
  ・ 沿道住居への自動車走行による騒音等の防止対策
  ・ 工業地に隣接する住居地における騒音等の防止対策
  ・ 事業と下水道整備との調整
  ・ 公園の整備に際しての緑地整備への配慮
  ・ 工事中の濁水対策
  ・ 工事中の大気汚染および騒音等の防止対策 他






 
 
 このほか、「公有水面埋立法」など個別法に基づく環境影響評価の実施について審査指導を行っている。(表3−5−6)
(2) 環境影響評価の事後監視
 環境影響評価が実施された事業については、予測の不確実性等を考慮して、影響の重大性や不確実性の程度に応じた、工事中や供用時の環境の状態や環境への負荷の状態、環境保全対策の 効果を調査し、その結果に応じた必要な対策を講ずることが重要である。このため、県要綱では、事後監視を規定し、その結果について県が事業者から報告を受けるとともに、職員による立入調査や 必要に応じて対策の指示ができることとなっている。
 この事後監視として、稼働している原子力発電所および火力発電所については周辺海域における水温の水質状況や大気汚染物質の排出状況等について、また、現在建設中の火力発電所に ついては工事の進捗状況と騒音等の状況について、環境保全対策を実施中のLNG基地についてはその実施状況について、報告を求めている。また、これらの事業に対しては、県として、 立入調査等を適宜実施し、環境保全対策等の実施状況を確認している。
 
 表3−5−4 福井県環境影響評価要綱対象事業
































 
事業の種類      規模等の要件
1 道   路
 
@高速自動車国道の新設、改築
A4車線以上で 10km以上の道路の新設、延長、拡幅
2 ダ   ム
  河川工事
 
@湛水面積 200ha以上のダム新築
A湛水面積 100ha以上の堰の新築、改築
B土地改変面積 100ha以上の湖沼開発、放水路新築
3 鉄   道 新幹線鉄道の建設、改良
4 飛 行 場
 
滑走路 2,000m以上の飛行場の新設、2,000m以上の滑走路増設、
500m以上の滑走路延長(延長後 2,000m以上のものに限る。)
5 埋立、干拓
 
@面積 50haを超える公有水面埋立、干拓
A面積 50haを超える土地改良事業としての埋立、干拓
6 土地区画
  整理事業
面積 100ha以上の土地区画整理事業
 
7 流通業務
  用地造成
面積 100ha以上の流通業務用地の造成
 
8 住宅用地
  造   成
面積 100ha以上の住宅用地の造成
 
9 工業用地
  造   成
面積 50ha以上の工業用地の造成
 
10 農用地造成 面積 500ha以上の農用地の造成
11 発 電 所
 
発電所の新設、増設(火力15万kW以上、地熱1万kW以上、
水力3万kW以上、原子力)
12 工場等の
  建   設
原料もしくは燃料の使用量が重油換算 10kl/時以上または
排水量が 10,000m3/日以上の工場等の新設、増設

13 廃棄物処理
   施設
 
@処理能力 100t/日以上の一般廃棄物焼却施設の新設、増設
A処理能力 100kl/日以上のし尿処理施設の新設、増設
B新設、増設後の面積5ha以上または容積25万m3以上の廃棄物最終
 処分場
14 レクリエー
  ション施設
 
@面積 50ha以上のゴルフ場、スキー場用地造成
A面積 50ha以上の運動・レジャー施設用地造成
B面積 50ha以上の公園事業による施設用地造成
15 その他の
  事   業
1〜14の対象事業以外の事業で、環境に及ぼす影響が対象事業
と同等以上と知事が認定するもの
































 
 
 図3−5−5 福井県環境影響評価要綱の手続の流れ  [→図]
 
 表3−5−6 環境影響評価等審査業務内訳(平成9年度)

環 境


影 響


評 価
 

閣議決定

 
・福井都市計画森田北東部土地区画整理事業に係る環境
 影響評価審査
・福井都市計画森田北東部土地区画整理事業に係る環境
 影響評価審査
 1

 1
 

個 別 法

 
・総合保養地域整備法に基づく基本構想の変更に係る環
 境影響評価審査
・公有水面埋立法に基づく知事免許に係る環境影響評価
 審査
 1

 7
 
        合             計 10








 
 
 表3−5−7 環境影響評価等審査件数の推移
    年     度  4  5  6  7  8  9













 
県環境

影響評価

要綱
 
飛行場    1        
工業用地造成        1    
発電所        1*    
廃棄物処理施設        1    
レクリエーション施設          1  
ダムなどその他の事業            

閣議決定
 
道路  1        1  
土地区画整理事業      1       2
鉄道などその他の事業            
省庁通達 電源開発        1*    

個 別 法
 
港湾計画          1  
公有水面埋立  1  1  5  3  5   7
総合保養地域基本構想             1
   小       計  2  2  6  7  8   10
計画策定等に係る環境配慮  3  3  3  19  8   4
許認可等に際しての環境配慮指導  75  72  56  12 131  117
そ の 他  11  9  14  11  17   13
   合         計  91  86  79  49 164  144


















 
  *:同一事業
 
(4) 環境影響評価の実施に必要な情報の充実
 環境影響評価の実施に際して、事業者による適切な環境影響評価の実施や住民等の適切な意見の形成などのために、行政による環境情報の収集・提供が重要となる。 このため、県では、 環境影響評価を支える基盤の整備の一環として、環境影響評価に関連した情報を、環境白書や各種報告書等の印刷物、「みどりネット」(インターネット、パソコン通信)などを通じて提供している。
                        (第3部第5章第1節参照)
(5) 環境影響評価制度の見直し
 国では、中央環境審議会の答申を踏まえて、従来の要綱に比べて制度を充実させた環境影響評価法を平成9年6月に公布し、平成11年6月12日から施行することとなった。







 
 環境影響評価法の主な特徴
○ 対象事業の拡大
○ 事業規模に満たない事業であっても環境影響評価の実施の必要性を個別に判
 定する仕組み(スクリーニング)の導入
○ 早い段階から手続が開始されるよう、調査の方法について意見を求める仕組
 み(スコーピング)の導入
○ 意見提出者の地域限定を撤廃し、意見提出の機会を方法書段階と準備書段階
 の2回設けるなど、住民参加の機会の拡大







 
 
 本県においても、国が法制化したことを踏まえ、平成10年8月10日に、環境影響評価制度の見直しについて福井県環境審議会に諮問し、12月8日に、同審議会から知事に答申が行われている。県では、 この答申を踏まえ、環境影響評価制度の条例化を行うこととし、平成11年3月16日、新たに「福井県環境影響評価条例」を制定している。(平成11年6月12日施行予定)
 
3 公害防止協定
 公害防止協定は、地域の状況や個別の企業の内容に応じたきめの細かい環境保全対策を盛り込むことができ、法令や条例による一般的な規制を補完するものとして有効な手段である。
(1) 協定締結の促進
 本県では、福井県公害防止条例第53条で「事業所は、県または市町村から公害防止協定の締結について申出を受けたときは、その申出に応じなければならない。」旨を規定しており、県は、臨海工業団地で あるテクノポート福井に立地する企業または複数の市町村にまたがる広範囲な地域に影響を及ぼすおそれのある企業について、当事者として協定の締結を進めている。
 協定の内容としては、企業の操業形態等の条件に応じたきめ細かい個別的な公害防止対策を規定するとともに、立入調査や公開の原則、住民に損害を与えた場合の無過失損害賠償責任についても規定を設け、 公害防止対策の実効性の担保などを図っている。
 平成9年度中に県が新たに締結または改正した協定数は13件であり、これまでに締結した公害防止協定数は計63件となっている。(資料編表8−4
 また、多くの市町村においても、公害防止対策に関する公害防止協定や自然環境、農薬使用等の環境保全対策に関する環境保全協定を事業者と締結しており、その締結件数も年々増加している。県は、 公害防止協定等の内容等について市町村から協議を受けた場合、必要に応じ指導・助言を行い、市町村における協定締結の促進を支援している。 
 市町村が締結した公害防止協定数は平成10年3月末現在21市町村 390件、環境保全協定数は5市町村5件となっている。(資料編表8−5
 
 
4 経済的手法の活用
(1) 融資制度による支援
 公害の発生を未然に防止するためには、公害関係法令等を遵守することはもとより、事業者自らが、工場等の公害発生源について、公害防止対策を積極的に講じていくことが必要である。
 また、地球的規模での環境問題に対応するため、脱フロン化の推進、太陽熱等新エネルギーの活用、既存エネルギーの有効活用など、環境保全に向けての積極的な取組みが期待されている。
 本県では、これらの資金需要に柔軟に対応するため、平成6年に定めた「福井県中小企業環境保全対策資金融資要綱」により、公害防止施設等の整備促進および生活環境の保全に向けての事業者の積極的な 取組みの促進を図っている。
 この制度の概要は以下のとおりである。


















 
@融資対象者
  県内において引き続き1年以上同一の事業を営んでいる中小企業者
A融資対象経費
  公害防止に必要な機械設備および工場移転のための建物等を取得するために
 必要となる設備資金(別に定める)
  環境保全に必要な機械設備を取得するために必要となる設備資金(別に定める)
B融資の条件
  ア 融資限度
    原則として、100万円以上3,000万円以内で、かつ、所要事業資金の80%以内
  イ 融資期間
    7年以内(据置期間1年以内を含む)
  ウ 融資利率
    年 2.0%(平成10年12月9日現在)
  エ 保証料率
    年 0.7%(保証料は県が補給)
  オ 担保・保証人
    県信用保証協会の定めるところによる
  カ 取扱金融機関
    県信用保証協会が約定を締結している金融機関であって、知事に別に指するもの


















 
 
 また、この福井県中小企業環境保全対策資金制度のほか、公害防止のための融資制度がある。(資料編表8−6
 
(2) ゴミの有料化、課徴金、デポジット制度
 ごみ処理手数料の有料化については、減量化の効果は期待でき、賛成であるという意見がある一方で、不法投棄を誘発するおそれがあるという反対意見があるところである。
 また、課徴金制度やデボジット制度については、「福井県ごみ減量化・リサイクル日本一推進計画検討会議」において、リサイクルの推進に効果的であるという意見も出されたが、全国レベルで取り組むべき であるとの意見もあるところである。
 これら経済的手法については、検討すべき課題も多いことから、今後も継続して検討を進めていく必要がある。
 
第3節 調査研究の推進
 
(1) 環境の将来の予測のための調査、研究の充実
 環境基準の達成状況を把握するため、大気汚染の状況や公共用水域の水質汚濁の状況等を常時監視するとともに、発生源の監視調査を実施している。これらの結果に基づいて、公共用水域における類型指定計画や 大気観測局の適正配置計画等の策定を行い、環境保全政策を適正に実施することとしており、今後とも、環境の状況把握や将来予測をするためのシミュレ−ション技法の開発など、調査・研究の充実に努める。
(2) 地球環境問題に関する調査・研究の推進
 県では、昭和48年度から、酸性雨モニタリング調査、土壌・植生モニタリング調査等を独自に実施している。今後も、酸性雨による生態系への影響など、時間的広がりを持つ地球環境問題に関する基礎的デ−タに ついて、国等の機関と連携しながら、調査・研究を進めていく必要がある。さらに、平成7年度からは、環境庁が進めている全国酸性雨調査に参画し、「国設越前岬酸性雨測定所」において調査を実施している。また、 夜叉ケ池(今庄町)においても、環境庁の委託を受けて、平成6・10年度に酸性雨による陸水への影響を調査している。
(3) リモ−トセンシング等の最新技術の導入
 従来からの環境監視モニタリング手法では、限定された調査地点近傍の環境状況の把握にとどまってしまうという課題がある。これに対して、環境を多面的に把握できるリモ−トセンシング等の最新技術が近年、 注目されつつある。本県でも、リモ−トセンシングの技法を用いて、湖沼の水質状況の把握等に試験的に取り組んでいる。今後とも、リモ−トセンシング等の最新技術の導入を進めて、生活環境や自然環境等の モニタリングの充実に努めていく。
(4) 総合的な環境指標の開発
 環境基本計画に定められた長期目標達成に向けて、施策の効果的な実施を図るためには、目標の達成状況や目標と施策の関係を具体的に示す総合的な環境指標が有効であると考えられる。
 そこで、環境基本計画の実行や進捗状況の点検、計画の見直し等に活用していくため、総合的な環境指標の開発を進め、施策への反映に努めていく。
(5) 県の試験研究機関の共同研究体制の整備、産官学による共同研究
 現在、県の試験研究機関9機関による環境技術会議が設置され、環境関連の調査研究の調整を行っている。これまで、社寺林等における杉枯れの問題や湖沼の浄化について共同研究を行ってきたところであり、 今後とも、県の試験研究機関の共同研究体制の整備を図っていく。
 産官学による共同研究の例として、県立大学と県環境科学センタ−がナホトカ号重油流出事故後の微生物を利用した重油除去や分解実験を共同して実施している。 今後とも、このような事例を踏まえて、 県科学技術振興会議を通じた産官学による共同研究を進めていく。
(5) 環境と地域経済、環境と地域文化等の総合的な研究
 複雑化する環境問題に的確に対応するとともに、地域環境を良好な状態で保全し、質的に高めていくには、環境の現状に関する正しい認識や問題点の把握とこれらをもとにした合理的な施策の推進が重要である。 そこで、自然科学はもとより、社会・人文科学の分野を含めた学際的な観点から、環境と地域経済、環境と地域文化の関係などについて、総合的な研究に取り組む先進的な自治体がみられており、本県においても、今後、 このような視点に立った研究体制の充実を図って行くことが大切である。
 

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