第4部 施策の展開 第1 健康で文化的な生活を営むことができる環境 1 大気環境の保全 都市部や工業団地等における大気汚染物質の集積、大気の移流・反応等によって生じ る酸性雨などの問題、有害物質による健康影響のおそれ、大気の組成の変化等による 地球規模の問題など、大気環境に関わる多様な問題が発生しています。 大気汚染物質は工場・事業場、自動車などさまざまの発生源から排出され、これらが 複雑に関連していることから、発生源の排出特性に応じた発生源別対策を実施します。 ア 固定発生源対策 ・大規模工場等に対する硫黄酸化物の排出量の規制や低NOxバーナー、良質燃料、 脱硫・脱硝・集じん装置の採用に関する指導などを行います。 ・硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量について総合的な解析を行い、必要に応じ、削減 目標を定め、計画的な対策を推進します。 ・大気汚染物質の排出量が多い工場等については、地域特性や排出形態等に応じ、 公害防止協定を締結することなどにより硫黄酸化物や窒素酸化物の排出の低減を 図ります。 ・光化学オキシダント対策として、炭化水素類の排出を規制します。また、発生機構 の解明に努め、必要な対策について検討します。 ・浮遊粒子状物質については、発生機構の解明に努め、保全対策を検討します。 イ 移動発生源対策 ・自動車排出ガス対策については、騒音対策と併せ、関係機関が連携を図りながら、 交通流対策、道路構造対策、低公害車の普及などを推進します。 ・環境に配慮した交通体系を構築するため、公共交通機関の利便性の向上等による 利用の促進、交通流の円滑化のための道路整備、および貨物輸送等物流の効率化の ための施設計画について検討を進めます。 ・二酸化窒素濃度が高い道路周辺については、当該地域の実情に応じ、道路構造の 改良などの沿道環境対策や交通流の円滑化のための環状道路の整備などを推進し ます。 ・大気の浄化を図るため、樹木の大気浄化能力を考慮した道路沿道の緑化を進めます。 ・「ノーカーデー」の設定、不必要なアイドリングの停止など自動車利用の合理化や 適切な自動車使用方法について普及啓発を推進します。 ウ 健康被害防止対策 ・光化学オキシダントの高濃度時には、住民の健康被害を防止するため、迅速な注意 報等の発令を行うとともに、事業者に対し燃料使用量の削減を求めます。 ・大気汚染物質のうち、特に発がん性を有する物質について、その環境濃度の把握に 努めます。 2 水環境の保全 水環境を保全するためには、汚濁負荷の低減や水循環の確保、浄化機能の回復、生態 系の保全など総合的な対策に取り組む必要があります。 このため、産業系排水対策などの規制的な措置や、公共下水道等の整備、自発的な 生活排水対策などに取り組み、閉鎖性水域や都市中小河川等について総合的・計画的な 水質保全対策を推進します。 ア 発生源対策 《産業系排水対策》 ・排水基準の遵守を徹底するとともに、生産工程の改善、有害物質等原材料の見直し などの指導、および公害防止協定の締結等を推進し、汚濁負荷の低減と水質環境 基準の維持・達成を図ります。 ・排水処理施設の整備に対する低利の資金融資を行うほか、排水処理に関する調査・ 研究とその成果の普及に努め、事業者の自発的な取組を推進します。 ・農林水産業からの汚濁負荷を低減するため、化学肥料や農薬等の適正使用および 家畜ふん尿の堆肥化など、環境に調和した農林水産業を推進します。 ・公共下水道の計画的な整備を促進するとともに、処理施設の高度化に努めます。 《生活系排水対策》 ・公共下水道や農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽(*1)等の計画的な整備を進め るとともに、処理施設の高度化に努めます。 ・浄化槽の適正な維持管理に関する啓発に努めるとともに、単独処理浄化槽の合併 処理浄化槽への転換を促進します。 ・環境学習や情報提供を進め、家庭における負荷低減の取組を促進します。 ・生活系排水による汚濁が著しい水域については、モデル事業を実施するなど地域 住民の自発的な取組を促進します。 (*1) 合併処理浄化槽:単独処理浄化槽がし尿のみを処理するのに対して、台所・ 洗濯・風呂などの生活雑排水をも併せて処理することができる施設。 イ 閉鎖性水域の水質保全 ・三方五湖と北潟湖の水質を保全するため、汚濁物質の排出抑制、排水処理施設の 整備、流入水路の水質浄化、底泥のしゅんせつ、吸肥植物の植栽を行うなど、流域 の総合的な水質保全対策を推進します。 ・工場・事業場からの窒素・燐の排出を低減するため、引続き「湖沼の富栄養化防止 に関する工場・事業場指導要綱」に基づく指導を徹底します。 ・自然系や農業系負荷の割合が大きいことから、側条施肥田植機の使用など、肥料の 流出防止を推進します。 ・アオコ(*2)等の除去技術について調査・研究を進め、湖沼水質浄化対策の早期実施 に努めます。 ・閉鎖性水域(*1)における公共下水道等整備に当たっては、処理施設の高度化を推進 します。 ・小浜湾等の閉鎖性海域について、環境基準の指定を行い、環境基準を維持・達成 するための水質保全対策を推進します。 (*2)アオコ:窒素や燐の濃度が高い湖沼等において、春から秋にかけて発生し水面 を緑色にする植物プランクトンの一種。 (*1)閉鎖性水域:湖沼あるいは湾の入口が狭いことにより、湖水や海水の交換が悪 く富栄養化の進むおそれのある水域。 ウ 水質浄化能力の維持・回復 ・河川の水質浄化を図るため、産業系排水対策や生活系排水対策に併せ、直接浄化が 効果的な都市中小河川等では、れき間浄化(*2)等による水質改善対策を推進します。 ・水質浄化機能の維持・回復および身近な自然や多様な生態系を保全するため、多 自然型川づくりを推進します。 ・自然浄化機能を活用した農業用用排水路の整備を行います。 (*2)れき間浄化:川床にれき(小さい石)などを敷き、その表面に付着した微生物 の働きにより水を浄化する方法。 エ 水資源の維持 ・健全な水循環と平常時の河川流量を維持するため、緑化や透水性舗装、透水性側溝、 浸透ます等による雨水の地下浸透を促進します。 ・水の循環や保水機能を確保するため、複層林の造成、水土保全施設(*3)の整備等、 森林や緑地の計画的な整備と保全に努めます。 (*3)水土保全施設:水源地の保全と山の土砂の保全を図る施設のことをいい、具体 的には治山ダムや森林の植栽などを指す。 オ 水質異常時対策 ・河川・湖沼・海域における魚類のへい死や油の流出などの水質異常事故を未然に 防止するため、事業者への指導・啓発に努めます。 ・水質異常時においては、国や関係機関等と連携し、被害の拡大防止や原因究明に 努め、原状回復のための必要な措置を講じます。 3 土壌・地盤環境の保全 土壌汚染、地下水汚染、地盤沈下など土壌や地盤環境に係る環境問題は、いったん 発生するとその回復・改善は極めて困難です。 このため、土壌汚染、地下水汚染の未然防止や地下水の適正利用に関する施策を推進 します。 ア 安全な土壌の確保と地下水の保全 ・有機塩素化合物等による地下水汚染を未然に防止するため、地下浸透規制や工場・ 事業場に対する有害化学物質の適正使用・適正管理を指導します。 ・計画的な地下水水質の監視に努めるとともに、地下水汚染地域については、汚染の 実態に応じ、汚染者負担の原則(*4)を基本とした浄化対策を進めます。 ・汚染機構の解明手法や浄化技術に関する科学的知見の充実に努めます。 ・施肥基準の見直しや農地からの肥料流出防止対策、減農薬などに関する新技術の 開発に取り組み、その普及を図ります。 (*4)汚染者負担の原則:環境を汚染する者が、その行為から生じる公害防止等の関 係費用を負担するべきであるという原則。 イ 地盤環境の確保 ・地盤沈下の早期発見と早期解決を図るため、地下水位および地盤沈下量の監視に 努めます。 ・地盤沈下地域においては、引続き「福井県地盤沈下対策要綱」に基づき、地下水の 揚水制限など地下水利用の抑制に関する指導を徹底します。 ・地下水位の低下を防止するため、節水合理化、地下水の循環利用、雨水の地下浸透 などの地下水かん養対策を進めます。 ・持続的で安定した水資源を確保するため、森林・水田などの適正な保全や地下水 かん養に関する方策を検討します。 ・消雪を目的とした冬季における地下水の過剰揚水を防止するため、消雪のための 地下水利用の抑制に関する啓発に努めるとともに、地下水を利用しない効率的な 消雪・融雪方策に関する技術開発とその普及を促進します。 4 有害化学物質対策 科学技術の進展に伴い、化学物質はさまざまの分野に用いられていますが、なかには、 発がん性や毒性、蓄積性等、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす物質も存在します。 これらの有害化学物質については、生産・使用・廃棄の各過程において環境影響を 生じるおそれがあるにもかかわらず、有害性はもとより物性や環境中での挙動等に関す る情報が必ずしも十分とは言えない状況です。 このため、環境濃度の把握に努めるとともに、有害化学物質に関する知見の集積およ びその結果に基づく排出抑制対策を推進します。 ア 排出抑制対策 ・環境への排出を抑制するため、適正使用・適正管理・適正処理等に関する化学物質 対策マニュアルの作成と情報の提供を行います。 ・生産・使用・廃棄の各過程での有害化学物質の環境への排出実態の把握に努めると ともに、新たな排出規制を含め、人の健康や生態系の保全に必要な排出抑制対策を 検討し、有害化学物質による環境汚染の発生を防止します。 イ 調査・研究の充実 ・発生源周辺および一般環境における有害化学物質のモニタリング等、環境濃度の 監視に努めます。 ・有害化学物質に関するリスク、物性などの情報収集を行うとともに、代替技術等の 開発に努めます。 5 騒音・振動・悪臭の防止 騒音・振動・悪臭は感覚公害として日常生活と密接な関係があり、苦情の多くは工場・ 事業場と住居の混在等に起因していることから、発生源対策とともに、土地利用の適正 化や規制地域の見直しを行います。 ア 騒音・振動対策 ・飲食店等の深夜騒音や拡声器騒音について、規制・指導の徹底を図るとともに、 生活騒音については、県民のモラルやマナーの向上を図るため、各種の啓発を行い ます。 ・自動車の走行に伴う騒音・振動については、関係機関が連携を図り、交通流対策、 緩衝緑地帯の整備、道路構造の改善など総合的な対策を推進します。 ・鉄道や航空機に係る騒音・振動については、実態調査に努め、関係機関と連携し、 必要に応じて発生源対策や土地利用対策、民家等の防音対策に努めます。 イ 悪臭対策 ・発生源対策を指導するとともに、複合臭への対応が必要な地域については、悪臭 物質の濃度規制にかえて嗅覚測定法による規制を導入します。 ・堆きゅう肥の土地還元等、家畜ふん尿の適正処理に係る指導を徹底します。 6 廃棄物・リサイクル対策 大量生産、大量消費を基調とした今日の社会経済システムは、私たちに物質的豊かさ をもたらした一方、資源の採取から廃棄に至る各段階で環境への負荷を高めています。 このため、地球的視野に立った環境の保全や省資源・省エネルギーの視点を踏まえ、 各主体がそれぞれの役割分担のもと、「廃棄物の発生抑制」、「使用済製品の再使用」、 「回収されたものの原材料やエネルギーとしての再利用」により、廃棄物の減量化を 進め、最終的に、利用できない廃棄物を適正に処理することを基調とした、総合的・ 計画的な廃棄物対策を推進します。 ア 廃棄物の減量化・再資源化 ・生産工程・生産技術等の改良など事業者自らによる生産段階における廃棄物の発生 抑制・再資源化を推進するとともに、経済合理性に基づく広域的な有効利用交換 システムの充実を図ります。 ・県民、事業者と廃棄物再資源化業者との連携のもと、市町村における分別収集や 集団回収を推進するとともに、容器包装の再商品化および容器包装廃棄物の発生 抑制を推進します。 ・資源を有効利用するための使用済製品の再利用や再生品の使用を進めます。 ・過剰包装の自粛など、日常生活における廃棄物の発生が少ない生活様式を確立する ため、廃棄物に関する各種情報を提供するとともに、県民等の自発的な活動を促進 する方策について検討します。 ・一般廃棄物の減量化やリサイクルを促進するため、広域的な観点から、排出抑制等 に関する啓発の推進や市町村のリサイクル関連施設等の整備について指導・支援を 行うとともに、ごみ処理の有料化やデポジット制度(*1)など、経済的誘導措置の 活用について検討を進めます。 (*1)デポジット制度:あらかじめ一定の金額を預かり金として、内容物などの価格 に上乗せする方式で、容器等を返却することにより、預かり金は払い戻される。 イ 廃棄物の適正処理 ・廃棄物が適正に処理されるよう、排出事業者や処理業者への指導を徹底します。 ・不法投棄等の不適正処理対策として、啓発やパトロールの実施等による監視の強化 を図ります。 ・建設廃棄物の発生を抑制できる工法の開発、リサイクル可能な資材の開発・導入 などを推進し、「発生の抑制」、「再利用の促進」、「適正処理の徹底」を基本と した発注者・建設業者・処理業者のそれぞれの役割分担に応じた流通システムの 構築などを進めます。 ・事業者・県民に対する啓発活動を充実し、廃棄物の適正な処理・管理およびごみの 散乱防止など、マナー・モラルの向上を図ります。 ・廃棄物の適正な処理を推進するため、長期的な展望に立って環境に配慮した安全で 信頼性のある処理施設と最終処分場の確保に努めます。 ・最終処分場の環境面での安全性と信頼性を向上させるため、事業者に対しモニタ リングの実施や環境保全対策の充実を求めるなど、廃棄物処理における環境配慮を 促進します。 ウ 廃棄物の適正管理 ・産業廃棄物が適正に運搬・処理されたことを確認するための管理票システムである 「マニフェスト」を周知することにより、産業廃棄物の不適正な処理を防止します。 7 災害時・緊急時における環境保全対策 海域における油流出事故や大規模地震などの突発的な事故や災害時において、有害 物質や廃棄物等が発生・排出されることによる二次的な被害を最小限に食い止めるため には、初期の対応が最も重要であり、迅速かつ適切な対策が求められています。 このため、災害時・緊急時における環境保全対策のあり方などについて、調査・検討 を行うことにより、国、自治体などの関係機関が一体となった緊密な連絡体制を整備し、 迅速・的確な対応を図ります。 ・災害時・緊急時における大気・水質・土壌等の汚染や、海洋資源等への生態影響を 調査します。 ・災害などの特性に応じ、早期に大気や水質等の緊急調査を実施し、速やかに結果を 公表します。 ・二次的な環境汚染を防止するため、事業者の有害物質保有状況のデ−タベ−ス化を 図ります。 ・野生鳥獣の救護体制の整備を図ります。 ・自然環境の回復・復元等に関する技術的検討を進めます。 第2 自然と共に生きることができる環境 1 生物の多様性の確保 野生の動植物は、生態系の重要な構成要素であり、また生物の多様性は自然環境の 豊かさの象徴として、人類の生存そのものに欠くことができないものです。 このため、自然的・社会的特性に応じて、多様な野生生物の生息・生育空間を保全 するための施策を推進します。 ・生物の多様性を確保するため、野生動植物の生息・生育状況調査を行い、生息地の 保護等必要な対策を講ずるとともに、結果を、広く公開し、各種開発との事前調整 等に活用します。 ・鳥獣等の保護・繁殖を図るため、生態調査を継続的に実施し、適切な保護対策の 確立に努めるとともに、鳥獣保護区や休猟区域の設定等を行い、積極的な保護を 推進します。 ・自然度の高い地域の保全を図るため、自然公園区域の拡大、自然環境保全地域の 指定等、各種の制度を活用するとともに、ビオトープ(*1)の技術的手法に関する 調査・研究を行います。 ・ビオトープのネットワークの形成を図るため、自然環境に配慮した河川、緑地の 整備や、実のなる木の植栽など、生き物の生息・生育環境に配慮を行います。 ・絶滅のおそれのある種については、モニタリング等詳細な調査および保護・繁殖を 図るための調査研究を行うとともに、生息・生育環境の確保等繁殖のための環境 整備を進めます。 (*1)ビオト−プ:「野生生物の生息空間、生物の回廊」などと訳され、多種類の動 物・植物が一つの生態系を構成し、共同体として生息・生育できるあるまとまりをもった 環境を意味する。 2 多様な自然環境の保全と回復 県民のかけがえのない財産である森林・河川・海岸・農地等の多様な自然環境につい て、個々の地域特性に応じて、適正な保全・回復・活用を図るための施策を検討し、 広範な取組を推進します。 ア 貴重な自然の保全 ・自然環境保全条例に基づき、貴重性の高い自然の厳正な保全を行います。 ・各地域の自然環境の現状を詳細に調査・把握することにより、新たに保全が必要な 地域を明らかにし、必要に応じ自然環境保全条例に基づく自然環境保全地域に指定 するなどの対策を実施します。 ・自然環境を適正に保全していくために特に必要があると認められるときは、土地の 買上げを行うなどの施策を推進します。 イ 森林環境の保全・整備 ・水資源のかん養、生活環境や自然環境の保全と形成、災害の防止など、森林の有す る公益的機能を高度に発揮させるため、森林の機能や特性に応じ、保安林の指定、 治山事業および造林事業による保育の促進や複層林(*1)、育成天然林施業の推進に より、多様な森林整備を行います。 ・良質な飲用水等の安定的な確保を目的とした水源かん養保安林、干害防備保安林や 身近な緑の保全等を目的とした保健保安林等の指定を行い、それらの適正な保全・ 管理を推進します。 ・自然景観の保全、森林緑地の回復および崩壊防止を図る上で、鉱物や土石の採取 跡地の緑化も重要であることから、採取業者に対し、採取跡地の緑化に関する指導・ 監督を行います。 (*1)複層林:樹齢や樹高の異なる樹木により構成された森林。 ウ 農村環境の保全 ・環境に調和した農林業の推進を図り、良質で安全な農産物を安定的に生産・供給 するとともに、これらの生産活動を通じて、農地等が有する環境保全能力の適切な 維持を図ります。 ・豊かな緑・水・ゆとりある空間といった農村地域の良さを活かしながら、生産から、 生活環境、景観までに配慮した農村づくりを進めます。 ・農村が持つ「生物資源保存機能」、「国土保全機能」、「アメニティ維持機能」 などの環境保全機能に十分考慮しながら、農村の環境整備を進めます。 ・農業用用排水路の整備に当たっては、その機能をそこなうことなく、水生生物、 魚介類、水鳥など多様な生物が生息・生育できるよう整備を進めます。 エ 水辺環境の保全 ・河川や海岸、湖沼等の整備に当たっては、生物の生息・生育環境や親水性、景観等 に配慮した工法の採用を推進します。 ・都市部における緑と水に親しめる空間としての役割が一層重視されている河川に ついて、河川の持つ豊かな自然と美しい景観を活かした水辺環境の保全と復元を 図ります。 ・水辺の生態系を保全するため、河川改修に当たっては、瀬や淵の整備や魚がのぼり やすい魚道を整備するなどの多自然型川づくりを進め、水生生物のすみやすい環境 の整備を進めます。 ・河川の自然浄化機能の維持や水生生物の生息に必要な水の流れの確保に努めます。 ・砂防設備の配置、構造に関する方針を示す計画を策定し、自然環境・景観や利用 特性、地域の歴史・文化に係る社会特性を考慮した砂防事業を推進します。 ・魚類や野鳥等の生息環境である自然海岸や藻場(*2)の保全に努めます。 ・生態系や景観など自然環境に配慮した身近な水辺空間や階段護岸等の河川・海岸 保全施設の整備を進めます。 (*2)藻場(もば):沿岸で海中に海草の繁茂しているところで、魚類がよく集まる とされている。 3 自然とふれあえる場の確保 自然に対する理解と畏敬の念を深めるとともに、自然から心のゆとりや潤いを享受 するためには、日常の生活や余暇等のさまざまの場面において、豊かな自然とふれあう ことが大切です。 このため、自然とふれあうことができる公園の整備や自然とのふれあい活動に対する 支援を推進します。 ア 自然公園等の整備 ・自然に親しむイベントの開催など、自然とふれあうことができる場や機会を提供 するため、自然公園内の施設等の整備・管理を行います。 ・自然公園内の自然保護および利用について、社会情勢の変化を踏まえ、開発行為と の調和を保ちながら公園計画の見直しを行います。 イ 森林や水辺等とのふれあい ・身近な水辺として活用することができるよう、堤防の構造の改良やアクセス路の 整備に努めます。 ・身近な自然を体験し、学ぶことができるふれあいの場として、ホタル・メダカ・ トンボ等の小動物とふれあえる空間の整備を図ります。 ・地域住民による保全活動とも連携しつつ、里地・里山等の二次的自然の保全を図り、 生き物と親しむことができる場の確保に努めます。 ・森林体験や自然観察などの体験学習や森林空間を活用した都市と山村の交流の場 など、滞在型の拠点施設を整備します。 ・都市周辺の森林において、良好な景観の形成や地域住民の身近な憩いの場の提供に 配慮し、防災林機能と保健機能を発揮する森林整備等を進めます。 ・渓流が本来持っている機能を復元し、生き物が活発に活動でき、人が気軽にふれ あうことができる魅力あるいきいきとした渓流づくりを推進します。 ・自然環境学習、スポーツ・レクリエーション、文化活動の場など、多面的な自然と のふれあいの場を整備するため、公園、景勝地、史跡等を自転車道で結ぶなどの 施策を推進します。 ・水辺において、水生生物の観察などの自然学習ができるよう、ワンド(*1)やビオ トープを整備するなどの「水辺の楽校プロジェクト(*2)」を推進します。 ・県民の環境の保全に関する理解を深めるため、自然とのふれあうことができるイベ ントを開催します。 (*1)ワンド:瀬と淵によって椀状を成している入り江で、水草などが繁茂し、魚類 等の水生生物の良好な生息域となるところ。 (*2)水辺の楽校(がっこう)プロジェクト:子供たちの水辺の遊びを支える地域の連 携体制をつくるとともに、自然環境にあふれ、子供たちが自然と出会える安全な水辺を形 成していくプロジェクト名。 第3 快適な日常が実感できる環境 1 潤いと安らぎのある環境の形成 緑は、大気の浄化や温度上昇の緩和、水のかん養などの機能を有するとともに、良好 な景観を形成する大切な要素です。また、緑が生い茂る身近な山々は、人々に潤いや 四季の移ろい、生命の息吹を感じさせてくれます。 このため、潤いと安らぎをもたらしてくれる重要な環境要素である緑や水辺などを 活かした、豊かで多様な緑の空間の整備、街路樹のある歩道や公園・緑地等のオープン スペースの充実などの施策を推進します。 ア ゆとりのある空間の確保 ・四季を実感できる自然環境を活かし、道路利用者に潤いと安らぎを与える沿道スペ ースの整備と適切な管理を行います。 ・風の通り道等にも配慮したゆとりと潤いのある市街地を形成するため、歩道のある 水辺空間や公園・緑地等のオープンスペースの整備に努め、自然を活かした水と緑 のネットワークづくりを進めます。 ・都市公園等を適切に配置、整備します。 ・治水上の安全性の向上を考慮し、日野川等の築堤河川には第2種側帯(*1)を設けた 上で桜等の植樹を行い、緑の空間を保全します。 ・河川の緑の空間と親水公園等を遊歩道等でネットワークとして結び、市民の憩いの 空間を創出します。 ・ゆとりと潤いのある都市環境とするため、都市を代表するメインストリートにおい て、歩くことが楽しめるような広幅員歩道の整備等を促進します。 ・地域特性やレクリエーション施設、環境資源の状況等を考慮しながら、地域の特色 を活かした広域公園等の形成を図ります。 ・広域防災の考え方に立って、防災拠点の確保や被害の拡大防止等に資する緑地、 オープンスペースの整備を進めます。 (*1)第2種側帯:側帯とは、堤防の安定を図るため、または環境を保全するためな どの目的で、堤防の裏側の脚部に非常用の土砂を備蓄する箇所や植樹帯を設ける箇所をい い、第1種側帯から第3種側帯まで定義されている。 イ 緑豊かなまちづくり ・「広域緑地計画」に基づき、都市開発の進展が見られる地域や、市街地と優れた 自然が接する地域において、土地利用の規制や地域制緑地(*2)の指定、施設緑化の 整備など、効果的な緑地の保全や配置を行い、自然環境の保全と都市環境形成の 調和を図ります。 ・景観に配慮しつつ身近な緑を創出するため、公共施設等の緑化を推進するとともに、 適切な管理に努めます。 ・都市内の貴重な空間である道路等について、歩行者や沿道に暮らす人々にとっても 快適なものとするため、地域の気候・風土に合った街路樹等による道路緑化を図る とともに、樹形を生かした管理に努めます。 ・開発許可制度の運用により、無秩序な市街地の拡大の防止や開発行為における緑地 の一部保全・回復など、開発行為との調整を通して緑地への配慮を行います。 ・多様な緑についての情報の発信に努めるとともに、緑に対する県民意識の高揚を 図るため、緑化活動や緑に関するボランティアなどへの参加・協力を促す啓発活動 等を推進します。 ・緑地協定の活用により、緑地の保全や施設緑化への指導を推進します。 (*2)地域制緑地:風致地区制度(風致の維持に支障のない範囲で一定の開発を許容 しつつ樹林地等緑地の保全を図る制度)や、市民緑地制度(土地の所有者の意向を踏まえ た緑地の保全・創造に資する制度)、緑地協定制度、地区計画制度等のこと。 2 良好な景観の形成 景観づくりにおいては、自然や歴史的条件だけではなく、地域の個性に裏付けされた 「美しさ」、「親しみやすさ」、「わかりやすさ」が感じられる空間を形成することが 求められます。 美しく、質の高い景観づくりを進めていくためには、行政・事業者・県民が一体と なった総合的・計画的な取組が重要であり、地域の自然環境や歴史的な建造物等を活か し、これらと調和のとれた美しいまちなみや農山漁村の景観を形成します。 ア 美しく親しみやすい景観の形成 ・道路計画の策定に当たっては、地域の地形や自然環境に配慮した路線選定(エコ ロード)や道路構造の採用に努めるとともに、道路整備に伴って生じた盛土・切土 については、法面に植栽を実施し、自然の回復に努めます。 ・道路の整備に当たっては、動植物の生態系に配慮し自然環境の保全に努めるととも に、海岸や渓谷など周辺景観との調和を図ります。 ・地域性豊かな魅力ある観光地とするため、景観と調和した道路整備を進めます。 ・産業団地の整備に当たっては、工場の外観、植栽等も含めた包括的な景観整備に 対する補助事業などの支援を行います。 ・漁港施設や海岸保全施設の整備に当たっては、漁港本来の機能を確保しつつ、景観 に配慮した構造について検討し、周辺環境と調和した施設の整備を進めます。 ・環境と調和のとれた魅力ある生活空間、都市景観を形成するため、きめの細かい デザイン的配慮を行うなど、沿道の修景(電線の地中化、街路灯、道路標識、舗装 の景観配慮、屋外広告物等の適切な誘導)に努めます。 ・比較的小さな地域を対象に、住民が主体となって、開発行為や建築行為を規制・ 誘導する地区計画制度の活用を進めます。 イ 環境美化意識の醸成 ・まちや身近な河川の美観や自然の景観を維持するための地域住民による一斉清掃 など、自主的取組を支援・推進することにより、県民一人ひとりの環境美化意識の 醸成を図ります。 3 歴史的文化的環境の形成 地域の人々が誇りと愛着のもてる環境を形成するため、歴史的建造物や古いまち なみなどを周囲の環境と一体的に保存し、その活用を図ります。 ・重要伝統的建造物群保存地区にあっては、歴史的風致を維持し、社会生活と調和 しながら文化財としての保存・活用を図ります。 ・古い歴史のおもかげを残す街道・運河等を調査し、保存・整備・活用を図ります。 第4 地球環境保全への貢献 1 地球環境問題への取組 資源やエネルギー消費の抑制や循環的・効率的な利用を図るなど、地球環境への負荷 を低減するための地域からの取組を推進することにより、地球温暖化防止、オゾン層の 保護、酸性雨対策などに取り組みます。 ア 地球温暖化の防止 ・地球温暖化の防止に関する行動計画を定めます。 ・省エネルギーの推進、廃熱エネルギーの利用、クリーンエネルギーへの転換など、 二酸化炭素の排出抑制対策を推進します。 ・緑地を保全・拡大することにより、二酸化炭素の吸収と温度上昇の緩和等を図り、 エネルギー需要の低減を推進します。 ・温室効果ガスの排出実態の把握、対策技術の調査研究を進め、効果的な地球温暖化 防止に関する検討を行います。 ・二酸化炭素の排出の少ない生活様式の定着をめざして、普及啓発を推進します。 ・メタンガス等二酸化炭素以外の温室効果ガスについても、それらの排出抑制対策を 検討します。 ・熱帯雨林地帯の森林資源の減少を抑制するため、木材資源の有効利用を推進します。 イ オゾン層の保護 ・フロン回収を推進するため、回収ルートおよび回収フロンの輸送体制等のシステム を構築し、関係事業者・県民・行政の協力と連携のもと、家電品に含まれるフロン の回収を進めます。 ・フロン等のオゾン層破壊物質の排出を抑制するため、これらの物質を使用しない 技術や機器の採用を推進するとともに、設備の導入を図る中小企業者に対して低利 の資金融資を行います。 ・オゾン層保護に関する事業者・県民の取組を促進するため、情報の提供に努めます。 ウ 酸性雨対策 ・酸性雨の実態把握、植物等の生態系への影響等に関する調査研究を行います。 ・雨水酸性化の原因物質である硫黄酸化物や窒素酸化物の排出抑制対策などを実施 します。 エ その他の地球環境問題に対する取組 ・森林の減少、有害廃棄物の越境移動等の環境問題に関して、資源の循環的な利用や 有害廃棄物の適正処理等を推進します。 ・「熱帯雨林保護対策実施要領」に基づき、熱帯産木材の使用削減を図るなど地球 規模の環境保全に配慮した建築材料の利用に努めます。 ・公共施設への太陽光・太陽熱・廃熱利用システム等の導入を図ります。 2 国際環境協力 ・開発途上国などの環境問題解決に寄与することにより、地球環境の保全に貢献する ため、環境分野における研修生の受入れや専門職員の派遣とともに、環境問題に 関するシンポジウムやフォーラムの共同開催について、現地開催も含めて検討する など、環境保全技術交流を推進します。 ・県や大学等の研究機関や民間事業者の環境保全に関する技術・ノウハウ等の開発 途上国への移転を推進します。 ・インターネットを利用することにより、環境保全や国際協力に関する情報を整備・ 発信するとともに、これらの情報の提供等を通して県民・事業者の国際環境協力を 促進します。 ・事業活動の海外展開に際して、適切な環境配慮がなされるよう、事業者の自主的な 取組を進めます。 3 循環型社会づくり 豊かで美しい福井の環境、ひいては地球の環境を保全し、将来の世代に引き継ぐため、 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済システムを見直し、循環を基調とする環境 にやさしい社会づくりに向けた取組を進めます。 ア 資源の循環の促進 ・工場等における水の循環使用や再生利用、中水・雨水の有効利用、また一般家庭に 対する節水など、水の合理的利用を啓発します。 ・リサイクルが容易な製品づくり、廃棄物の分別収集、再生資源や再生品の利用など、 県民・事業者のリサイクルへの取組を促進します。 イ 省資源・省エネルギ− ・事業者に対し、省エネルギー型設備の導入や余剰エネルギーの有効利用、エネルギ ー管理体制の整備・充実など、環境への負荷の少ないエネルギーシステムの導入等 について、普及・促進を図ります。 ・省資源、省エネルギーに関する企業の診断・指導および各種情報の提供や講習会の 開催等を通して、各企業における自主的な取組を促進します。 ・日常生活において多くの資源やエネルギーを消費していることから、省資源・省 エネルギーに対する県民意識の高揚と取組の促進を図ります。 第5 環境の保全と創造をめざした参加型社会の基盤づくり 1 自主的な活動の推進 物質的な豊かさの追求に重きを置くこれまでの考え方を問い直し、環境への負荷の 少ない生活様式や社会経済システムを構築するためには、県民一人ひとりが人と環境と の関わりを認識し、社会全体として、身近な環境問題から地球的規模の環境問題に至る まで、自主的・積極的な取組を進めることが必要です。 このため、人々の価値観や生活様式の変革に向けた環境教育・学習や情報の提供など 自主的な活動を支援・推進します。 ア 環境教育・学習の推進 環境教育・学習を通して、県民一人ひとりが環境の大切さや人と環境との関わりに ついて考え、環境保全の活動に自ら参加する意欲を高めることが大切です。 このため、単に知識の伝達にとどまらない環境教育・学習を進めるため、学校・地域・ 家庭・職場など、さまざまの場における効果的な環境教育の手法を検討します。 ・学校教育の各ステージに合った教員・児童生徒向け環境教育手引書や事例集の活用 をはじめ、科学的根拠に基づく正確な環境情報の提供を通して、学校における環境 教育を推進します。 ・自然とのふれあいを通して、児童生徒の環境に対する理解と環境保全に向けて行動 する心を育てるための指導方法を開発し、普及させるための教員研修に努めます。 ・主体的に行動する児童生徒を育成するため、環境保全に関する調査および実践活動 を支援します。また、これらの活動の普及を図ります。 ・社会のすべての人々が、生涯にわたる学習活動の中で、環境について学び、環境保 全に向けた行動に結びつくよう、環境アドバイザー(*1)の充実や啓発・研修事業等 を展開するとともに、人材の育成と推進体制の整備・拡充を図り、環境学習に取り 組む人々の輪を広げます。 (*1)環境アドバイザ−:環境教育や地域実践活動などについて、専門的な立場から 指導・助言する人。県では、団体等の要請に応じて、講師等として派遣または紹介してい る。 イ 自主的な活動の支援 各主体が一体となった組織づくりや環境保全活動の支援体制を充実することにより、 環境への関心を高め、自発的な活動を促します。 ・県民・民間団体・事業者で組織する「環境ふくい推進協議会(*2)」との協力と連携 を強め、環境保全活動の推進、環境保全団体の育成・支援、情報の提供、各主体の ネットワ−ク化を進めます。 ・体験を通して環境への理解と認識を深めるとともに、人びとの交流や環境教育・ 学習の拠点となる場の整備を検討します。 ・ボランティアが主体性をもって、環境保全活動に取り組むことができるよう、さま ざまの学習機会や情報の提供を進めます。 ・環境保全活動への自発的な参加による「環境にやさしい参加型社会」をめざして、 環境に関する認識の増進や学習の場の整備、活動に対する支援等、自主的積極的な 取組を効果的に進めるためのプログラムづくりを進めます。 ・事業者が自主的に環境マネジメント(*1)を実施することにより、生産・販売・流通 の各段階において効果的な環境保全への取組が促進されるよう、その普及に努め ます。 (*2)環境ふくい推進協議会:環境保全に関する自発的な活動の推進母体として、広 く県民の総意を集め、個人・団体・企業のネットワ−クづくりをめざして、平成6年10 月に結成された。 (*1)環境マネジメント:単に法令等の規制基準の遵守にとどまらず、企業の活動、 製品またはサ−ビスに伴う環境負荷や環境リスクを低減し、発生を予防するための行動計 画を立て、継続的に改善を進める一連の企業の自主的取組。 ウ 環境情報の提供 各主体の環境に関するさまざまの取組を支援するため、環境情報を体系的に整備し、 分かりやすく提供します。 ・環境情報を体系的に収集・整備し、画像等視覚的に分かりやすく加工した情報を 発信するなど、さまざまのニーズに対応した環境情報を効率的に提供します。 ・インタ−ネットなどを利用した環境情報の提供システムについて、県民に広報し、 利用の促進を図ります。 2 環境配慮のための基盤づくり 今日の環境問題は、社会経済活動そのものに起因する環境負荷によってもたらされる ことが多く、とりわけ経済活動の主役である事業者には、環境の保全に対する大きな 責任と役割があります。 このため、規制的手法にとどまらず、環境影響評価の実施、公害防止協定の締結、 経済的手法の活用など、事業活動における環境への配慮を促すことにより、環境への 負荷の低減を図ります。 ア 規制的手法 公害防止に関する規制や自然環境保全のための開発行為の規制等は、これまで、環境 行政の基本的な手法の一つとして、環境保全上の支障防止に一定の成果をあげてきて おり、今後とも、規制的手法の活用を進めます。 また、科学技術の進展等に伴って、新たに生ずる環境問題に対しては、それらの原因 を究明し、規制措置を検討します。 イ 環境影響評価 環境影響評価は、開発事業等を実施する前に、事業者自身がその事業の実施に伴う 環境影響を科学的に調査・予測・評価し、その結果を公表して地域の人々の意見を聴く などして、環境保全に配慮した事業とするための手法であり、今後とも、その推進に 努めます。 ・環境影響評価の実施に必要な情報の体系的整備、解析・予測手法等の充実に努め ます。 ・「福井県環境影響評価要綱」の対象事業を必要に応じて見直すとともに、早期段階 での環境影響評価や代替案の検討などを含め環境影響評価制度の諸課題について、 検討を進めます。 ウ 公害防止協定 公害防止協定は、地域の実情や個別企業の事業内容に対応したきめ細かな規制内容を 盛り込むことができ、法令や条例による規制を補完するものとして有効な手段である ため、企業の操業内容や環境への影響等に応じて、事業者と地元市町村や県との協定 締結を進めます。 エ 経済的手法の活用 環境の保全に寄与する施設への補助・融資を進めるとともに、ごみ処理の有料化等の 経済的負担を課す措置などについて調査研究を進め、必要に応じ、その導入を図ります。 ・環境の保全に寄与する施設の設置を促進するため、中小企業者等に対し、資金融資 を行います。 ・事業者・県民の活動や行動が環境負荷の低減につながるよう誘導するため、ごみ 処理の有料化をはじめ、課徴金やデポジット制度等、公平な経済的負担を課す措置 について調査・研究し、実現可能なものから、順次、その導入を図ります。 3 調査・研究の推進 広範囲の環境問題に対応するため、環境の状況把握、将来予測などに関する調査・研究 を行うとともに、産学官が一体となって、自然科学はもとより、社会・人文科学の分野を 含めた総合的・学際的研究を推進します。 ・環境の状況や将来予測をするため、調査・研究の充実に努めます。 ・生活環境や自然環境等のモニタリングを充実するため、リモ−トセンシング(*1)など 最新技術の導入を進めます。 ・地球環境問題に関する基礎的デ−タについて調査・研究を進めます。 ・解析・予測・評価に関する研究体制を充実し、総合的な環境指標の開発を進め、施策 への反映に努めます。 ・県の試験研究機関の共同研究体制を整備するとともに、産学官による共同研究を進め ます。 ・自然科学はもとより、社会・人文科学の分野を含めた学際的な観点から、環境と地域 経済、環境と地域文化の関係などについて、総合的な研究を進めます。 (*1)リモ−トセンシング:人工衛星などにより、地表から反射・放射される種々の 波長の電磁波を測定し、コンピュ−タ−で処理して地表の状態を映像としてとらえる技術 手法。
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