第2部 現状と課題

 第1 自然条件

  1 位 置

    本県は、本州日本海側のほぼ中央に位置しており、北は石川県に接し、東南から西南にか
   けては岐阜県・滋賀県・京都府に隣接しています。
    県土の総面積は4,188.38km2であり、全国総面積の1.12%を占めています。

   [位置図]

  2 地 形

    本県は、敦賀市の北東にある山中峠から木ノ芽峠を経て、栃ノ木峠に至る峰で嶺北、嶺南
   といわれる2つの地域に分けられ、地形や気候の面でそれぞれ異った特徴を有しています。
    嶺北地域は、九頭竜川、日野川、足羽川からの土砂の堆積による福井平野を中心に、大野・
   勝山盆地、九頭竜川中流河谷や丹生山地、越前中央山地、岐阜県境に広くつらなる越美山地、
   石川県にそびえる白山山地(加越山地)とそれに続く加越台地等から形成されています。
     嶺南地域は、変化に富むリアス式海岸が続き、沈水から免れた山地と沈水してしまった
     入江・湾が交互に並列しており、各湾や入江の奥には、沈水地を埋積した狭い堆積地が、
    敦賀、美方、小浜の小平野を形づくっています。

  3 気 候

    日本海に面し、北陸の西端に位置している本県は、冬期に曇りや雪の多い日本海式気候に属
   しています。
     しかし、地形や季節風の影響の違いなどにより、嶺南地域は山陰海岸型の気候で、冬の降
   水量は少なく温暖ですが、これに対して、嶺北地域の奥越では、北陸山地型の気候で気温は低
   く、冬期の降雪が多くなっています。
    また、福井平野は、海岸に近い位置にありながら、海の影響の少ない内陸性気候を示してい
   ます。

   [平均気温・年間降水量分布図(平成6年)]

  4 植 生

    本県の自然植生は、暖温帯要素と冷温帯要素とが入り込み、日本列島における自然植生の
   移行帯として、極めて重要な地理的位置にあります。
    本県における植生帯は、若狭湾沿岸地域を中心とする標高 200mまでのイノデ−タブノキ
    群集とヤブコウジ−スダジイ群集を主とする照葉樹(*1)林や標高 800m以上の山地、特に
    奥越山岳地帯を中心とする日本海型ブナ林であるオオバクロモジ−ブナ群集によって代表さ
   れる夏緑広葉樹林(*2)とによって特徴づけられ、学術的にも貴重な自然林となっています。

     (*1)照葉樹:常緑広葉樹のうち、葉に光沢のあるシイ・クスノキ・ツバキなどのこ
    とを言う。
     (*2) 夏緑広葉樹林:ブナ・オオバクロモジなど冬季には落葉する植物からなる樹
    林。福井県内の夏緑広葉樹林は、照葉樹林の二次林として発達するクヌギ・コナラ林と、
    夏緑林帯の自然植生として発達するブナ・ミズナラ林で代表されるとされているが、単調
    なものではなく、トチ・イタヤカエデ・ナラなども多様に混在しています。


  5 動 物

    野生鳥獣の生息状況は、本県に 2,000mを超える高山帯がないことや、延長 410kmに及ぶ
    海岸線を有するものの干潟が少ないことなどにより、高山性の鳥獣や日本列島を縦断する
     シギ、チドリ類の飛来は多くありませんが、森林性の鳥類の種類は比較的多様性に富んで
    います。
     特に、本県で記録される鳥類のおよそ3分の2は冬鳥、夏鳥などの渡り鳥で占められて
    おり、本県が日本海側における重要な渡来経路に当たることを示しています。

 第2 社会条件

  1 人 口

     本県の人口は、昭和40年には 750,557人でしたが、その後順調に増加し、平成7年には
    826,996人(8.10.1現在の推計値は、828,249人)に達しています。
    年齢別構成をみますと、平成7年では年少人口(14歳以下)が17.0%、生産年齢人口(15
   〜64歳)が65.2%、老人人口(65歳以上)が17.7%となっていますが、平成17年度には県民
   の 4.6人に1人が高齢者となることが予想されます。

  2 経 済

   (1) 県内総生産
      平成6年度の県内総生産(県内で生産された価値の総額)は、市場価格による名目で
      3.0兆円、平成2暦年価格による実質(物価上昇の影響を取り除いた価格)で 2.9兆円と
    なっています。

   (2) 県民所得
     県民所得は、家計・企業がその年度に得た収入の県全体の合計額ともいうべきもので、
    「雇用者所得」、「財産所得」、「企業所得」から構成されています。
     平成6年度は、 2.3兆円で、前年度に比べ 0.6%増となっており、また、一人当たりの
    県民所得は、 278万円となっています。

  3 土地利用

    平成6年の県土の利用状況をみると、農用地10.8%、森林74.9%であり、その割合は減少
   傾向にあるものの、農林業的土地利用が県土の約86%を占めています。
    この利用形態を、全国、三大都市圏(*1)および地方圏(*2)と比較すると、森林の構成比が
   かなり高く、農用地については低くなっています。
     また、健康で文化的な生活環境を確保するためには、地域の自然・社会・経済・文化に
    配慮した総合的かつ計画的な土地利用に努めることが重要です。

     (*1)三大都市圏:埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、三重、京都、大阪、兵庫の1都2府6県。
     (*2)地方圏:三大都市圏を除く地域。

   [表:県の土地利用の現況と推移]

 第3 環境の現状と課題

 1 大気環境 

  (1) 大 気
    県では、テレメ−タ−システム(*3)に基づく大気環境の常時監視を44か所の自動測定局
   で実施しています。
    その結果、平成7年度の県内の大気環境は、汚染物質濃度で見ると概ね良好な状態にあり、
   また、それらの年平均値はいずれも横ばいの傾向に推移しています。
    項目別の評価は次のとおりです。
    @ 二酸化いおう、一酸化炭素については、全観測局で環境基準を達成しており、良好な
     大気環境が維持されています。
    A 二酸化窒素については、全観測局で環境基準を達成しているものの、道路周辺では
      住居地域などの2倍以上の環境濃度となっています。
    B 浮遊粒子状物質(*4)については、長期的評価(*5)では概ね基準を達成していますが、
     短期的評価(*6)では環境基準の達成率は低い状況です。
    C 光化学オキシダントについては、各測定局で環境基準を超える濃度がみられ、一部の
     地域では光化学スモッグ注意報の発令レベルに近い濃度が観測されています。
    D 炭化水素については、全測定局で国の指針値(*7)を超える濃度が観測されています。

     (*3)テレメ−タ−システム:自動計測した環境デ−タを無線などにより、中央監視
    局に送信し、集中管理するシステム。
     (*4)浮遊粒子状物質:大気中に浮遊する粒径が10ミクロン(1ミクロンは千分の
    1mm)以下の、微細なほこりやちりのこと。
     (*5)長期的評価:一日平均値について、その数値の高い方から順に並べ、上から2
    %分(365日測定であれば、7日分)を除いたところにあるデ−タと環境基準とを比較
    する方法。
     (*6)短期的評価:連続または随時の1時間または1日の測定デ−タを、そのまま環
    境基準と比較する方法。
     (*7) 指針値:光化学オキシダントの生成を防止するために定めた大気中の炭化水
    素濃度(午前6時から9時までの平均値が、0.20〜0.31ppmCの範囲内であること
    )。なお、炭化水素についての環境基準は、9年2月現在、定められていない。

   [グラフ:二酸化いおう・二酸化窒素平均濃度の推移]

  (2) 自動車
    自動車排出ガスによる大気汚染への影響は、今のところ、二酸化窒素でみても、環境基準
   内ですが、その濃度が道路周辺では一般環境の2倍以上となっている現状からみると、現在
   の自動車利用の伸びが今後も続けば、将来の大気環境については十分な注意が必要です。
     さらに、ディ−ゼル車などの排出ガスには、ベンゾ(a)ピレン(*1)と呼ばれる発がん性
    物質が含まれており、今後の課題と考えられます。

     (*1)ベンゾ(a)ピレン:きわめて強い発がん性を有する物質で、ものの燃焼に伴っ
    て発生することが多い。3,4-ベンツピレンとも言う。

   [グラフ:自動車台数の推移]

 2 水環境

  (1) 公共用水域(*2)
    県では、109地点(河川56、湖沼17、海域36)で水質の常時監視を実施しており、
   その結果は、次のとおりです。
    @ 河川では、「健康項目」については、すべての地点で環境基準を達成しています。
      しかし、都市部を流れる一部の中小河川においては、水量が少ないことや当該流域で
     の宅地開発等により、汚濁指標であるBOD(*3)でみると、生活排水による水質汚濁が
     認められます。

     (*2)公共用水域:河川、湖沼、沿岸海域などの水域。
     (*3)BOD(生物化学的酸素要求量):魚などが生息するのに必要な水中の溶存酸
    素を消費してしまう有機物の含有量を酸素量に換算したもの。数値が大きいほど、水質汚
    濁が進行している。

    A 北潟湖や三方五湖では、水の循環が悪く、流入する窒素や燐が滞留することによって
     富栄養化が進行し、その結果水質が悪化しており、汚濁指標であるCOD(*1)や窒素、
     燐の環境基準達成率は低い状況で推移しています。
    B  海域では、健康項目・生活環境項目のいずれの項目も、すべての地点で環境基準を
      達成しています。

     (*1) COD(化学的酸素要求量):BODの定義に類似した水質汚濁の指標であ
    り、化学的酸化法によって測定される水中の有機物質量を酸素量に換算したもの。湖沼や
    海域の水質に適用される。

   [グラフ:環境基準達成率の推移(BODおよびCOD)]

  (2) 地下水汚染
    福井の水道水は全国に誇ることのできるおいしさを保っています。その理由の一つとして、
   本県は、水道水源の約74%を地下水で賄っており、全国第3位の地下水依存率となっている
   ことが上げられます。
    飲料水といった面から見ても、地下水が極めて貴重な資源となっている一方、地下水は
    その流れが著しく遅いことなどから、いったん汚染されるとその回復は極めて困難です。
    そこで、県では、平成元年度から地下水の水質常時監視を実施しています。
    7年度までの調査により、県内の11地区でトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン
    などの地下水汚染が認められています。

  (3) 水資源
    日本の降水量は、諸外国に比べて多く、世界平均の2倍ですが、日本は国土が狭くかつ
   人口も多いことから、国民一人当たりにすれば、世界の平均値の5分の1にすぎません。
    河川などの表流水であれ、地下水であれ、水は重要な資源です。
    ところが、地下水については、法律上その利用権が土地の所有者に属しているものと考え
   られており、このため一般に地下水は「私水」であると言われています。
    しかし、地下水は県民共有の財産でもあることを県民の共通意識として定着させる努力が
   必要です。
    そうした努力と併せて、例えば、消雪を目的とした冬季における地下水の過剰揚水を防止
   するため、消雪用の地下水利用抑制についての啓発に努めるとともに、地下水を使わない
   方法の技術開発を進めていくことなどが課題と考えられます。

   [グラフ:世界各国の降水量]

 3 騒音・振動・悪臭

   平成7年度の騒音、振動、悪臭に係る苦情件数は全部で 130件あり、うち騒音の苦情は60件
  となっており、苦情の総件数(374件)に占める割合が16.0%と最も高くなっています。なお、
  悪臭の苦情は58件、振動の苦情は12件となっています。
   とくに、自動車騒音については、平成7年度の調査によると、「すべての時間帯で環境基準
  を達成している地点」が全体の19.1%と環境基準の達成率が低くなっています。

   [グラフ:道路に面する地域の環境基準達成率]

 4 廃棄物

  (1) 一般廃棄物
    家庭などから出るごみは、産業廃棄物とは区別して、「一般廃棄物」と呼ばれます。
    平成6年度の一般廃棄物総排出量は 285千t、県民一人当たり一日の排出量は 946gで、
   前年度に比べると約1%増加していますが、ここ数年は概ね横ばいに推移しています。
    一方、平成5年度でみると、福井県の県民一人当たりのごみの処理経費は1万4千円(全
   国平均では1万8千円)となっています。全国的に見ると、ごみの排出量が横ばいであるの
   に対して、処理費用は増加していますが、この背景には、排出されるごみ質の変化と環境
   保全に対応するためのごみの高度処理化のすう勢が考えられます。
    しかしながら、どのように高度処理しても、必ず「灰」が残ります。最終処分場の立地が
   困難さを増す一方の今日、処分場の延命化を図るためには、灰の有効利用について検討を進
   めなければなりませんが、ごみの排出量そのものを抑えるという対策の原点に立ち返って、
   ごみの減量化とリサイクルが繰り返し呼び掛けられています。
    平成6年度のごみの資源化率は 7.3%であり、年々増加傾向にありますが、ごみの減量化
   と資源の有効利用を進めるため、県下の多くの市町村では分別収集と指定ごみ袋制の導入が
   実施されています。
    市町村がごみの処理をするためには税金が使用されますが、ごみ処理には多くの経費が
   かかっていることを住民の人たちに実感してもらうことにより減量化へ誘導することを目的
   として、指定ごみ袋の価格にごみ処理費を上乗せする(言わば、ごみ処理の有料化)自治体
   は、県内で7町となっています。

   [グラフ:ごみの総排出量の推移(県)、ごみの資源化率の推移(県)]

  (2) 産業廃棄物
    産業廃棄物の発生量は、全国的に見ても、一般廃棄物の数倍の量に達しています。
    福井県においては、一般廃棄物の約4倍となっており、その発生量は、平成2年度におい
   て 126万tで、昭和58年度と比較すると約32%の増加となっています。
    また、業種別の発生量でみると、建設業 40.2%、製造業 28.5%、畜産業 14.7%などと
   なっています。
    産業廃棄物については、有効利用率の低迷や建設廃材等の増加、廃棄物最終処分場の不足
   や不法投棄など、解決すべき課題が数多く残されています。

 5 自然保護

  (1) 自然環境保全地域
    県では、高山性、亜高山性植生や優れた天然林が相当部分を占める森林または草原の区域、
   自然環境が優れた状態を維持している海岸、湖沼、湿原または河川の区域、貴重な野生動植
   物の生息地である区域等を、「自然環境保全地域」に指定することにしています。
    なお、平成7年度末現在、敦賀市池河内と池田町楢俣の2か所が指定されています。
    このような原生の自然環境ばかりでなく、人手が加わることにより形成・維持されてきた
   里山等の身近な自然が、開発行為の進展や過疎化、生活様式の変化に伴う薪炭利用の著しい
   減少等のため荒廃してきており、その保全を図っていくことが重要になっています。

  (2) 自然公園
    本県の自然公園は、白山山系の山岳公園である白山国立公園、嶺北の隆起海岸である越前
    加賀海岸国定公園、嶺南のリアス式海岸である若狭湾国定公園、および奥越高原県立自然
    公園の4つがあり、面積は合計61,432haで、県土面積の14.7%を占めています。
    また、若狭湾国定公園には、三方海中公園地区が指定されています。

   [自然公園等位置図]

  (3) 野生鳥獣
    近年、さまざまの開発行為や都市化の進展に伴い、野生鳥獣の生息に適した環境も次第に
   減少してきています。
    一方、野生鳥獣の存在は環境の自然度を表すバロメ−タ−と言われており、人間と共存し
   つつ自然環境を保全し、長期的な展望に立った野生鳥獣保護対策(*1)が求められています。
    なお、野生鳥獣の生息環境については、平成8年11月現在、鳥獣保護区、休猟区および
   銃猟禁止区域として、113か所、面積として83,952haが指定されています。

     (*1) 野生鳥獣保護対策:野生鳥獣の存在は農林水産業に被害を及ぼす場合がある
    ため、有害鳥獣の捕獲など狩猟の管理や適正個体数の管理も含めた総合的な野生鳥獣保護
    対策を進める必要があります。

 6 景 観

   景観は、道路や建築物等の人工的景観と、山や海、川などの自然的景観によって構成されて
  いますが、建築物等の形態や色彩が周囲の景色と不調和であったり、必ずしも自然景観が有効
  に活かされているとは言えない状況が見受けられます。

    平成2年度に行った県民意識調査によると、自分の住む地域の景観について、「良い」が
    40.2%(「良い」8.1%+「まあまあ良い」32.1%)であり、「悪い」が 17.4%(「あまり
   良くない」14.8%+「悪い」2.6%)、「ふつう」と答えた人が38.7%となっています。

 7 都市公園

   本県の都市公園は、平成7年度末現在で都市計画法適用都市7市13町1村の全市町村に
  設置されており、開設公園は、 565か所で面積は 876haとなっています。
   また、都市計画区域内人口1人当たりの面積は、12.35 (全国平均 7.1 )となっています。
   今後、国の長期目標(21世紀初頭20 )を踏まえながら、大規模地震・火災時の避難地、
  救援活動拠点等の都市の防災性の向上に資する公園、身近で利用できる歩いて行ける範囲の
  公園、高齢者・身障者の利用に配慮した公園、広域的なスポ−ツ文化活動等の交流拠点となる
  公園、歴史・伝統・文化・産業等を活かし地域の活性化に資する公園等の整備を推進し、住民
  の多様なニ−ズに対応していく必要があります。

   [グラフ:都市公園面積の推移(県)]

 8 地球環境問題

   通常、「地球環境問題」とは、以下の9種類のことがらを指しますが、これらの問題は相互
  に複雑に絡み合っています。
   @ オゾン層の破壊         A 地球の温暖化
   B 酸性雨             C 熱帯林の減少
   D 砂漠化             E 開発途上国の公害問題
   F 野生生物種の減少        G 海洋汚染
   H 有害廃棄物の越境移動

  (1) オゾン層の破壊
    地球上のオゾン(03)の大部分は成層圏に存在し、オゾン層と呼ばれています。
    オゾン層は、よく地球に着せられた宇宙服に例えられるように、太陽光に含まれる短い
   波長の有害な紫外線のほとんどを吸収し、地上の生物を守っています。
    ところが、冷媒や洗浄剤などに使われるフロンなどの物質によって、オゾン層が破壊され
   ることが知られてきました。また、オゾン層が1%減少すると、皮膚がんが2%、白内障が
   0.6〜0.8%増えると言われています。
    一部のフロンは、国際的にも製造が中止されていますが、既に、市場に出廻っている分が
   大気中に排出されるのを防止する必要があります。

  (2) 地球の温暖化
    人間の活動により、大気中では、二酸化炭素などの温室効果ガス(*1)の濃度が急激に上昇
   しており、地球の気温が上昇することが懸念されています。
    IPPC(「気候変動に関する政府間パネル」)によれば、現在のペ−スで二酸化炭素の
    濃度が増加すると、21世紀末には、全地球の平均気温が2℃上昇し、海水面が50cm上昇
    すると予想されており、国際的にも、国内的にも、地球温暖化の主な原因物質である二酸化
   炭素の排出抑制が求められています。
    しかしながら、二酸化炭素の排出を減少させることは、エネルギ−消費の抑制なしでは
   不可能であり、最も対策の困難な地球環境問題の一つです。

     (*1)温室効果:大気中の二酸化炭素やメタンなどが、地表面からの赤外線放射を吸
    収し、宇宙空間に逃げる熱を大気にとどめることにより、地表面と大気が暖められる現象。

   [グラフ:二酸化炭素県内排出内訳(1990年)、世界の二酸化炭素排出量(1991年)]

  (3) 酸性雨
    樹木被害をもたらすとして、とくに欧米などで問題化している酸性雨の原因物質は、大気
   中の硫黄酸化物や窒素酸化物と考えられていますが、その生成メカニズムや汚染物質の広域
   的な移流・拡散の実態などについては、まだ未解明な部分が多く残されています。
    こうした酸性雨問題について、県では、福井市、敦賀市、勝山市、越前町の4地点で降雨
   の通年調査を実施しています。
    その結果、降雨の年平均pH(*2)は全国とほぼ同一レベルにあるものの、その数値は 4.5
   〜 4.7の範囲にあって酸性化しています。
    今のところ、植物に対する直接的な可視被害は確認されていませんが、今後、土壌に対し
   て酸性降下物の影響が及ぶ可能性も指摘されています。

     (*2) pH:水などの酸性の強さを表す数値であり、中性のときのpHは7。数値
    が小さくなるほど酸性が強くなることを意味する。なお、大気汚染が全くない場合の降雨
    の理論上のpHは5.6とされている。

   [図:全国の降雨のpH状況]

 第4 環境に対する県民意識

   県では、平成7年度に、「環境」をテ−マに、県政広聴員等 1,000名を対象としたアンケー
  トを実施しました。

 1 福井県の環境が他県と比較して優れている点

   「水のきれいさ・おいしさ」と答えた人の割合が、 65.0%と最も高く、次いで、「空気の
  きれいさ」(63.1%)、「森林の豊かさ」(32.1%)などの順となっています。

   [棒グラフ]

 2 福井県の環境づくりを進めていく上で重要なこと

   「ごみの減量化」と答えた人の割合が、46.3%と最も高く、次いで、「水質の保全」(37.1
  %)、「下水道の整備」(31.0%)などの順となっています。

   [棒グラフ]

 3 環境保全のために日頃から心掛けていること

   「古新聞、空き缶、空き瓶などのリサイクル・廃品回収に心掛けている」と答えた人の割合
  が、61.3%と最も高く、次いで、「天ぷら油、生ごみ、食べかすなどを下水や川に流さないよ
  うにしている」(46.5%)、「ごみの分別を行っている」(42.6%)などの順となっています。

   [棒グラフ]

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