◆ふくいの巨木 62.頭巾山のサラサドウダン
●頭巾山(トウキンザン)のサラサドウダン
樹 種 サラサドウダン(ツツジ科)
樹 高 約18 m
樹 齢 不明
所在地 遠敷郡名田庄村頭巾山
福井県の西の端の高山である頭巾山871mでは、その山体の殆どで杉の植林が
終わり、古来よりの植物生育の様子を見ることは不可能になっているのである
が、幸いなことにその頂上から北に派生する尾根には、昔からの樹木が様々の
姿で残されている。
この尾根は、名田庄村野鹿谷(ノジカタニ)からの登山道ともなっていて、頂
上に近づいた登山者は、それまでの杉の植林地の単調な眺めから一度に解放さ
れて、巨木の生育する景観に触れ、この山の以前から続く宗教性をも感得する
ことになるだろう。
尾根には、福井県の天然記念物に指定されているシャクナゲが、岩場のあち
こちで風雪に耐えた姿で繁り、その上には、ヒノキ、スギの巨木が見事な姿を
見せている。中でも、巨岩の割れ目に根を這わせたヒノキには、誰もが目を見
張ることだろう。
そうした木々が繁茂する中に、大きなサラサドウダンがまじっている。この
木は普通10 m以下の姿で、嶺北の山地に点々と見られるのであるが、頭巾山の
ものは、樹木となって他の木々と互している。
5月終りから6月にかけての花の季節には、鈴生りになったピンクの風鈴状
の花を見上げることができる。
(文・写真:増永迪男)
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