◆ふくいの巨木 59.菅野家のイチイ
●菅野(スガノ)家のイチイ ・敦賀市指定天然記念物
樹 種 イチイ(イチイ科)
幹周り 2.8 m
樹 高 約11 m
樹 齢 約300年
所在地 敦賀市奥麻生
所有者 菅野喜祐
敦賀市疋田(ヒキタ)検問所を左折し、約 3.5km東に進むと麻生口(アソグチ)
に、更に約1km入ると奥麻生(オクアソ)に着く。この静かな山里の道路左手に
菅野家があり、石垣の上にスギが、更にその後方にイチイがある。東側には竹
林、西側にはスギ、南側には家屋、北側には作業小屋がありこの木の四方をと
り囲んでいるので、標高約200mで風当たりの強い地区の割には強風から守られ
ている。
このイチイは、1.5 m程の高さで二又していて、一方は幹周り約2m、他方は
約1.5 mで、西側の太い方の幹は更に二又している。 特に目立った欠損箇所は
ないが、この辺りは1〜1.5 mの降雪も珍しくなく、 特にそのために枝折れす
る事があるという。
イチイは北海道、本州、九州までの山地、または亜高山に自生する一方樹陰
に育ち、刈込みにも丈夫なため生垣にしたりして民家に植栽される雌雄異株の
植物であり、ここの木は雄株である。
なお、イチイの名については、仁徳天皇がこの木で笏(シャク)を作り、これ
に位階(イカイ)の正一位を授けた事によりつけられたという説がある。材質は
緻密でやや固く光沢は美しい。そのため、天井板、床など装飾的部分の建築材
として利用されている。
(文:上坂正夫 写真:吉澤康暢)
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