◆ふくいの巨木 58.黒駒神社のナギ
●黒駒(クルマ)神社のナギ ・県指定天然記念物
樹 種 ナギ(マキ科)
幹周り 3.3 m
樹 高 約24 m
樹 齢 約300年
所在地 小浜市西勢
所有者 黒駒神社
JR小浜線勢浜駅から南東約100m程の所に黒駒神社がある。規模は小さいが、
照葉樹を主にした森をなしていてわずかに杉も植栽されている。鳥居そばのタ
ブノキにはマメヅタがはい、上部には半寄生植物のオオバヤドリギが繁ってい
る。モチノキ、スギ、シラカシ、ツバキに囲まれてナギの木がある。
ナギは樹皮が黒褐色でやや滑らかであり、雌雄異株である。 県指定のものは、
雄株で樹勢は盛んである。 すぐ近くに、ほぼひと抱えほどの雌株があり、秋
には多くの種子が落ち芽生えもかなり見られる。
ナギは本州でも中国地方西部、四国、九州、沖縄などに生える暖地性植物で
あるが、この地方に育ったのは、海流の関係であろう。このナギの木である西
勢(ニシセ)区のすぐ傍の加斗(カト)地区に、暖地性植物群落の「蒼島(アオシ
マ)」があり、ナタオレノキで名高い事からも容易に推測できる。
なお、このナギの葉は主脈がなく並行脈が多数あり、ミズアオイ科のコナギ
に似ているところからこの名前が付けられたと言われている。
ところで、黒駒神社の社殿後方には大きな岩があり、更に上はシイの森とな
っていて、林床にはホソバカナワラビ、ツバキ、ネズミモチ等が見られる。こ
の裏山のシイの森も、ナギと共に大切に保存したいものである。
(文:上坂正夫 写真:吉澤康暢)
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