◆ふくいの巨木 55.明通寺のカヤ
●明通寺のカヤ ・小浜市指定天然記念物
樹 種 カヤ(イチイ科)
幹周り 3.45 m
樹 高 約13 m
樹 齢 約500年
所在地 小浜市門前
所有者 真言宗御室派明通寺
国道27号線を小浜から東に約3kmたどった所に東市場がある。そこをすぎる
と三叉路があり、ここを右折して更に1.5km程すすむと明通寺に着く。
大同元年(806)、坂上田村麻呂(サカノウエノタムラマロ)の創建にかかる
この寺は、若狭地方を代表する国宝、重要文化財の宝庫で、現在も山岳仏教の
盛んであった往時の面影を多く留めている。庫裡(クリ)の石段を登りつめた高
い石垣の脇にカヤがあり、その周りにチャ、シラカシ、キヅタ、ナンテン、ツ
バキ、ニワトコの若木が、更に根元の斜面にはシャガ、ヤブソテツ、アカソ、
イノデ、タニウツギが見られる。
このカヤは、明治初期に庫裡が火災に合った際、傷をうけたとの事で、幹に
深い傷痕を残している。市の天然記念物に指定された昭和35年頃から、衰弱が
目立ってきたが近年になってやや下部の葉が多くなり、幹の中程には、コナラ、
ヤブソテツが生え、古木の趣を湛えるまでに回復してきた。
明通寺にはこのカヤの木の他にもスギなど巨木が多く、これらの幹には、白
い斑点のように地衣類が付着し、静寂で幽すいな雰囲気をかもし出している。
(文:上坂正夫 写真:吉澤康暢)
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