◆ふくいの巨木 52.宝徳寺のイヌマキ

 ●宝徳寺のイヌマキ
    樹 種  イヌマキ(マキ科)
    幹周り  3.77 m
    樹 高  約21.5 m
    樹 齢  約300年
    所在地  三方郡三方町気山切追
    所有者  宝徳寺

 国道27号線三方町気山の三叉路に大きな「宇波西(ウワセ)神社」への案内板 がある。そこを北に折れ、虹岳島(コガシマ)に至る道をたどると左手に湖水が 開けてくる。 渡り鳥、ことに冬鳥の越冬地として全国的にも有名な菅湖(スガ コ)である。 北方の厳しい寒さを避け、えさを求めて飛来したカモが湖面に乱 れ遊ぶ様を横目にして2kmばかりすすむと、前方の石垣の上にイヌマキの巨樹 が見えてくる。
 ここは西風が強いため木はやや東に傾き、更に民家の屋根より高く突き出た 部分は葉の繁りがやや少なくなっている。幹は下から2 m位の所で分岐し、南 側の幹は8 m位で折れているが、東側の幹は10 m位から3つに分岐し、分岐し たあたりに「ソヨゴ」が生え、樹勢の盛んな感を深めている。なお、樹幹は縦 に幾重にも切れ目が走り、空洞も大きく、石垣からはい上がってきたテイカカ ズラがまつわりつき古木の趣を湛え、味わい深い木である。
 このイヌマキのある宝徳寺境内西側には、昔のままに地蔵堂尊が祀られてい る。一方、東側には近年、宝徳寺兼切追(キリオウ)生活改善センターが建てら れ、一見、お寺の雰囲気をとどめていない。

(文:上坂正夫 写真:吉澤康暢)



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