◆ふくいの巨木 38.小浜神社の九本ダモ

 ●小浜神社の九本ダモ      ・国指定天然記念物
    樹 種  タブノキ(クスノキ科)
    幹回り  9.4 m
    樹 高  約16 m
    樹 齢  約400年
    所在地  小浜市城内1丁目
    所有者  小浜神社

 小浜市を流れる南川と北川に挟まれるようにして、小浜城趾がある。この城 趾は現在、小浜神社の境内となっており、ゴヨウノマツ、ケヤキ、スダジイ、 タブノキ等の巨樹が森をなしている。
 酒井忠勝公を祀る社殿右側にタブノキがあり、9本の幹に分岐している事よ り9本ダモと呼ばれ、地元の人達に古くから親しまれてきた。 幹は9本の内、 3本が南側に、3本が東側に、2本が北側に、1本が西側にある。地上1 mの あたりで分岐しているが、西側の1本だけが独立しているように見える。
 この木の衰弱に関しては、昭和37年発刊の書物にもすでに「やや衰弱の徴あ り」と記載されているが、現在、南側の一幹が枯死して8本となり、オオバヤ ドリギの半寄生やフウランの着生も見られ、樹勢の衰えは隠しきれない。
 酒井忠勝公の言行を記した「玉露叢抄」の中に、この木のまつわる話が記載 されていて、忠勝公が小浜城の天守閣を築きあげた寛永15年(1638)には、この 木が相当な勢いで繁っていた事を窺い知ることができる。

(文:上坂正夫 写真:吉澤康暢)


 
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