◆ふくいの巨木 36.劔神社のクヌギ

 ●劔(ツルギ)神社のクヌギ
    樹 種  クヌギ(ブナ科)
    幹回り  3.8 m
    樹 高  約26 m
    樹 齢  約200年
    所在地  鯖江市下新庄町
    管理者  劔神社

 参道入口の由緒碑を右に見て、石敷きを100m程進んだ正面に本殿が鎮座する。 参道中程の右側奥のクヌギが、何本かある中の最大級である。地上1 m程で、 同じ太さで2本に分かれている。樹皮は不規則に縦に深く裂けている。参道の 両側はスギ成木が多く、その中にクヌギ、モミなどの古木が点在し、2.6mのク ヌギも含めて20本を越している。社叢林(シャソウリン)として古くから保存さ れてきたことが伺える。
 クヌギは雌雄異花で、5月頃に新しい枝の葉のつけ根からひも状の10cmばか りの雄花の穂が多数垂れ下がり、雌花は新しい枝の上部に2〜3個つける。ド ングリに成熟するのは、翌年の10月頃である。ドングリのわん状の皿(穀斗(コ クト))には、多数の細いりん片があり外側にそる。他のドングリ類の殻斗には りん片がない。古名をツルバミといい、実のせんじ汁で衣服を染めた。古くは、 粉にして水にさらし、しぶをぬいて餅にして食べた。材は薪炭材(シンタンザイ) として良材であった。現在ではシイタケの原木として植栽されている。
 劔神社の祭神は、天利劔大神(アメノトツルギオオカミ)・經津主大神(フツヌ シノオオカミ)の二柱で、国内神名帳によると千数百年の歴史を持つという。何 回かの兵火で消失したが、再建されて今日に至っている。碑には、五穀豊饒、 無病息災、開運来福の願いが刻まれている。
 末社に、相殿、境内神社、諏訪神社が祭られている。

(文:八田七郎右ヱ門 写真:吉澤康暢)



ERC.PREF.FUKUI.JP