◆ふくいの巨木 35.清根のキタゴヨウ

 ●清根(キヨネ)のキタゴヨウ     ・県指定天然記念物
    樹 種  キタゴヨウ(マツ科)
    幹回り  3.6 m
    樹 高  約20 m
    樹 齢  約200年
    所在地  今立郡今立町清根
    管理者  内藤左重

 今立町から池田町に向かう服部谷を進むと、左折矢印の清根の標板がある。 山すそに向かって進むと、右側最初の家が内藤さん宅である。家の前の小道を たどって山に入ると、5分程で巨木に達する。先祖伝来大切に保存されたもの で、道路からも偉容が望まれ、白い標板もくっきり目につく。周囲には、モウ ソウチクやスギが生育している。
 幹の肌は、マツ特有の縦に割れ目のある荒々しい表皮の様相である。地上1.8 mの所から、10本に枝分かれして立ち上がっている。 いつの時代にか雪損など で芯が折れたものが、萌芽して生命力の強さにより、風雪に耐えて今日に至っ ている姿がしのばれる。
 キタゴヨウは、日本海側の北の方に生育する種で、福井県では南条山地の夜 叉ヶ池や金草山が南西限となっている。アカマツのような純林を作ることはな く、山の斜面に点在している。太平洋側の関東以西から四国九州に分布するゴ ヨウマツと外観上の差異は目につき難いが、ゴヨウマツの種子は倒卵形で、風 に飛ぶための翼が 1cm程の種子体よりずっと短い。キタゴヨウでは楕円形で、翼は種子体の2cm より長い。マツカサの片は横に大きく開く。
 両種とも、古くから園芸植物として用いられ、材は建築、器具、家具、楽器、 彫刻などに用いられる。

(文・写真:八田七郎右ヱ門)


 
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