◆ふくいの巨木 31.横根の大スギ

 ●横根(ヨコネ)の大スギ
    樹 種  スギ(スギ科)
    幹回り  5.8 m
    樹 高  約40 m
    樹 齢  約300年
    所在地  武生市横根町
    管理者  鯖江市中道院

 横根町集落の北の端を山道に向かう。 家並みが尽きる右側に横根寺(オオゴ ンジ)がある。 今は無住で、鯖江市長泉寺町にある“すりばちやいと”で有名 な中道院の管理になっている。 横根寺から舗装道路を100 m程進んだ左手に巨 木がある。根本には地蔵尊が安置されて、霊水といわれる湧水が豊かに流れて いる。日曜日には、これを汲みに訪れる親子連れも少なくない。
 まわりの林に囲まれて、斜面のすそに生えている木は、約4 mで3本に分岐 しており、他の太い1本は道を覆うように水平に伸び、 長さ3.8 mの所で上向 きに伸びている。 これに沿うように、別の幹回り4.9 mの木が伸びていて、門 の姿を形作っている。横に張り出した太い枝や3本立ちの姿は、永年の風雪に 耐えてたくましく生きてきたことを思わせる。
 この木には大杉権現の名があり、養老元年(717)に泰澄大師が、霊松山横 根寺を建立された折のお手植えのスギが、不思議の誓願によって鳥居姿の夫婦 大杉に成長したとの銘板が建っている。
 この道を登りつめた所に、奥の院の建物がある。本尊は観世音菩薩で、イン ドで生まれた観音信仰が6世紀末に、わが国に伝来したものである。
 奥の院の本堂は、1990年不審火によって消失したが、92年に再建の運びとな っている。本堂裏の、市指定天然記念物キタコブシは健在である。

(文:八田七郎右ヱ門 写真:吉澤康暢)



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