◆ふくいの巨木 25.螢ヶ宮の大カツラ
●螢ヶ宮の大カツラ ・宮崎村指定天然記念物
樹 種 カツラ(カツラ科)
幹回り 9.8 m
樹 高 約30 m
樹 齢 約600年
所在地 丹生郡宮崎村八田
管理者 宮崎村八田区
武生市から丹生郡宮崎村に向かう、県道八田地区の左にカーブする地点の左
側の道路下に、スギも混じっている小さな森にこの巨木がある。
地上2 m程の所より同じような太さの幹が8本伸びており、内の1本は枯死
している。幹の先端が一部枯死している部分もあるが、樹勢はよい。大野市下
打波白山神社や今庄町夜叉ヶ池登山道のカツラに比べて、根本からの萌芽は少
なくて細い。幹には、不規則な幹回りをした周囲1 mと1.8mのフジが巻き上が
っていて、春には見事な青紫色の花をつける。さらに、幹回り1 mのケヤキも
1本斜上している。カツラは雌雄異株(雌花だけを着ける木と、雄花だけを着
ける木)でこの木は雄株である。
カツラの木そのものが神で、20 m四方程の境内には小さな祠(ホコラ)はある
が螢ヶ宮の社殿ではなく、自然木を神として信仰した古代の名残りと見られる
珍しい存在である。
村誌によると、「神木カツラの木を『神あおい』とか『三つ葉の神』といい、
神木のある所を螢ヶ宮という。仁賢天子のみ子賢策太子がおられ、武烈に追わ
れてこの地にこられたが、形見として螢を奉じられた。よって神祭りには螢を
さし上げる(原文そのまま)」と出ている。
(文:八田七郎右ヱ門 写真:吉澤康暢)
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